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フィットが今年8月にマイナーチェンジ ヤリスやノートに比べ売れない現状  RSも追加して巻き返しなるか

 ホンダフィットが今夏の8月にもマイナーチェンジする情報を入手した。現行モデルの登場が2020年2月13日だから2年半ぶりの商品改良となる。

 現状、フィットはヤリスやノートに比べると、「売れていない」状態だ。稼ぎ時といえる直近の3月の新車販売台数を見ると、1位のヤリスは1万7442台、4位のノートは1万5312台に対し、フィットはこの2車種の約半分、8460台。ライバルに対して、ちょっと頼りない数字である。

 はたして、この2年半ぶりのマイナーチェンジで巻き返しが図れるのか? その中身を見ていこう。

文/遠藤徹
写真/ホンダ、トヨタ、日産、ベストカーweb編集部

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■待望のRS、6MT仕様が帰ってくる

 フィットのマイナーチェンジの内容はBASIC(ベーシック)、HOME(ホーム)、LUXE(リュクス)、NESS(ネス)のフロントグリル小変更、フロントバンパーのデザイン変更。

 そしてCROSSTAR(クロスター)のルーフレール、フロント&リアアンダーガード装備、合革コンビシートなどの採用でSUVテイストを強化する。

 今回のマイナーチェンジの最大の目玉といえるのが、RSの追加で、待望の6速MTも用意される。ガソリンNA、e-HEV(ハイブリッド)の両モデルに設定のRSグレードが設定される。

 プライムムース内装、足回りの強化、タイヤサイズのインチアップ、新アルミホイールの装備などで、従来モデルに比べて一段上のスポーツ走行を実現させるのが狙い。合わせて今夏に予定されている騒音規制の強化など法規規制にも対応させるといった比較的規模の大きいラインナップ強化策となるはず。

写真は特別仕様車のFIT e:HEV HOME Maison。ここからフェイスリフトと共に、RSグレードが追加されるという。スポーティさを捨てたかのような初期型のイメージを変えることができるか

 現行フィットはライバルのトヨタヤリス、日産ノート、トヨタアクアには販売面で大きく水をあけられている。

 現行モデルの登場はヤリスが2019年12月20日、ノートが2020年11月24日、ノートオーラが2021年6月15日、アクアが2021年7月19日にフルモデルチェンジ。フィットに比べるとヤリスはほぼ同じ時期だが、あとの2車種は1年以上も新しいので、新車効果がまだ効いているぶん、優位に販売展開ができている優位性がある。

 フィットが他のライバル車に対して商品力が比較的優位に展開できているのは室内の広さ、質感などである。

 これに対してヤリスは大幅に路線変更をした、特徴のあるデザインを採用。ノートは騒音低減や走りのポテンシャルアップを実現した改良型e-POWERユニットを搭載し、引き続きワンペダル走行で差別化を図り、よりハイクオリティで同クラスモデルにしては珍しい、3ナンバーサイズを採用したノートオーラをラインナップしている。

 予防安全面ではトヨタや日産車にオプション&標準装備されているパノラミックビューモニター、ブラインドストップモニターなどが、フィットにはオプションないしは標準でも設定されていないのが不利になっている。

 ただアクアは前モデルでネックになっていた室内の広さは拡大し、多少解消したものの、前モデルに対して代わり映えのしないエクステリアデザインでまとめているので、新車効果が一段落したら、今後は苦戦に転じる可能性がある。

 現行フィットは首都圏の例だと最も売れているホームが全体の40%を占め、次いで特別仕様車のカーサが20%、上級のリュクスとSUVテイストのクロスターが15%、法人向けのベーシック10%といった販売構成比になっている。

■魅力でライバルたちを動揺させられるか

 今回の改良ではクロスターやRSの販売増に力点が置かれている。これによって強力なライバル車を追撃、トップシェア奪還を目指す構えである。最近の新型車は使い勝手の向上、走りのポテンシャルアップ、安全対策強化などでのラインアップの強化が中心となっている。

巷で人気の「なんちゃってSUV」、クロスターはノーマルの全幅1695mmに対して1725mmとなるため3ナンバー登録だ。マイナーチェンジで今よりもっとSUVテイストが強まる?

 今年2月の登録実績でみるとヤリス1万417台、ノート9788台、アクア6317台、フィット5359台であり、フィットが苦戦しているように思える。しかしながら詳しく分析すると、そうでもない状況も伺える。

 同クラストップセラーのヤリスは半分以上を占めるヤリスクロスが2月実績で5814台であり、ハッチバック車のヤリスは4603台に過ぎないので、ハッチバック車だけだと、フィットの方が売れ行きは良いということになる。ノートは約半分がプレミアムモデルのノートオーラであるから、これを分けて比べるとやはりフィットに分があるといえなくもない。

 アクアとはわずか958台の僅差であるから、今回の改良がうまく行けば抜き返せる位置にあるといえるだろう。

 フィットのマイナーチェンジはシリーズ全体では見栄えを良くし、新鮮さを取り戻し、個々のラインアップではSUVテイストのクロスターをより遊び感覚を強めた仕立てを盛り込み、RSで走りのポテンシャルアップを図るというのが狙いになっているといえるだろう。クロスターはヤリスクロスと対抗し、RSはGRヤリス、ノートオーラニスモなどのライバル車となる。

 現行フィットはまだ通常ペースで販売をしており、4月上旬時点での納期は3ヵ月程度となっている。

 首都圏にあるホンダカーズ店で売れ筋のホーム(車両本体価格215万500円)に有料色のプラチナホワイトパール、ライセンスFセット、リモコンエンスタ、RCエンスタATT、フロアマット、ETC2.0、マッドガード、オートリトラミラー、ナビOPアンテナ、リアカメラdeアンシンプラス3、ナビ、ドアバイザー、ドラレコ前後、ボディコーティングなど60万円強のオプション&付属品をつけてひいてもらうと法定、法定外費用を含めて250万円弱が提示された。

 これを50万円の頭金で60回均等払いの残価設定クレジット(実質金利3.5%)で組むと初回が3万7515円、後の58回均等払い3万6100円と出た。初回交渉での値引き提示額は下取り車なしで20万円だという。通常は15万円程度を限度としているが、マイナーチェンジが近いのと、キャンペーン期間なので、多少の上乗せが可能な状況にある。

■証言1:首都圏メーカー資本系営業担当者

「フィットRSが今夏に追加され、シリーズ全体ではマイナーチェンジを受けるというのは聞いているが、これ以上の具体的な変更内容はまだ明らかになっていない。対抗するヤリス、ノート、アクアに対してはライバル車の多くがフィットよりも新しいので、そのぶん新型車効果や安全装備が遅れているので、苦戦を強いられている部分がある。
 ただフィットは室内の広さや使い勝手、クオリティでライバル他車よりも優れているので、マイナーチェンジすれば巻き返しは可能と予想している」。

■証言2:競合メーカー営業担当者

「フィットはマイナーチェンジやRSの追加で、巻き返しを図ろうとしているようだが、ヤリス、アクアとも追い付かれることはないと予想している。それよりもこちらはトヨタ系列店扱いだから、競争が激しいので生き残りが厳しい状況にある」。


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