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出光興産(木藤俊一社長)は8日、2021年3月期第三四半期の決算を発表した。2021年4月から12月の連結決算は、最終損益が1999億円の黒字(前年同期は75億円の赤字)だったことが分かった。2019年4月の旧昭和シェル石油との経営統合以降で最高益。グループ全体での売上高は、4兆6,472億円(前年同期比+44.7%)だった。同社は売上高増加の理由を「原油及び石炭等の資源価格の上昇など」としている。

東京・東銀座の出光興産旧本社(編集部撮影)

「補助金なんかいらん」の世論

この発表を受けて、ネットでは「ボロ儲けしている石油元売りに補助金なんか必要か?」といったような声が相次いで寄せられている。

石油元売りはウハウハですね

補助金を元売りに出しても何の効果もないってことよ。

安いガソリンを値上げして売るから儲かるわ。補助金なんかいらん

政府は1月25日、ガソリン価格の高騰抑制措置として出光興産を含む石油元売各社に、ガソリン1リットルあたり3円40銭の補助金を支給することを決めた。2月3日からは、さらなるガソリン価格の値上がりが予想されることから、補助金を1リットルあたり3円70銭に引き上げている。

しかし、補助金はあくまでガソリン価格の高騰をできるだけ抑えるための措置。ガソリン店頭価格の低下につながるかは、補助金案が明らかになった当初から懸念されていたことだ。実際に、補助金が支給されている現在でも、ガソリン価格に目立った変化は見られていない。

野党「トリガー条項発動を」

flyingv43/iStock

こうした状況の中、「補助金を出すよりトリガー条項の凍結解除をした方が効果的」という意見が政治家や識者から相次いでいる。レギュラーガソリン1リットルの価格が、3か月連続で160円を超えた際に、租税特別措置法で定められた揮発油税(ガソリン税)の上乗せ分の25.1円を引き下げる措置を発動する俗称が「トリガー条項の凍結解除」だ。

日本維新の会の音喜多駿政調会長は次のようにツイートし、政府のガソリン価格政策の見直しを要求している。

トリガー条項の凍結を解除して、減税した方がシンプルかつ効果的。補助金をばら撒くために将来的な増税を匂わせるのでは本末転倒。いつまでその場しのぎの弥縫策を続けるのか!

立憲民主党伴野豊衆院議員は、1日に行われた衆院本会議で次のように述べ、政府に方針転換を促した。

「補助金はあくまで卸売り価格さらなる高騰を抑制するための措置でしかないことから、家計負担の軽減という観点からは不十分。直接的かつ十分に家計の負担を軽減するならば、やはり揮発油税のトリガー条項を発動すべき。実際に小売価格の値下がりにつながるか分からないわずか3.4円の補助金支給か、発動されれば確実に小売価格が約25円下がるトリガー条項の発動か、どちらが優れている政策かは自明の理」

また、JAF(日本自動車連盟)の公式ツイッターアカウントは次のようにツイートしている

何度も申しますが、現在のガソリン税は”Tax on Tax”や”当分の間税率”など不可解な仕組みで到底理解・納得できません。補助金などの対策ではなく、そもそも不可解な課税形態を見直すべきです

普段は、自動車事故防止を呼び掛けるツイートが大半のJAF公式アカウントが、こうした政治的なメッセージを寄せるのは異例だ

補助金のような間接的な価格抑制策ではなく、トリガー条項の凍結解除をすれば、それだけで1リットルあたり25.1円を引き下げることができる。税金が原資の補助金を石油元売に支給する必要もない。

しかし、こうした声に対し、岸田首相は売り文句の“聞く耳”は持たないようで、7日には、トリガー条項の凍結解除について「今の段階で触ることは考えていない」とにべもなかった。13年ぶりにレギュラーガソリンの全国平均価格が1リットル170円以上になった今、トリガー条項の凍結解除をしないのであれば、ガソリン価格が一体いくらになったら政府は考えるのだろうか。