ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、日本政府は8日午後、ロシア外交官の一部を国外追放する方針を決定した。ドイツとフランスは4日、デンマークとイタリアは5日にロシア外交官を国外追放とするなど、EUではロシア外交官の国外追放が相次いでいた。今回の日本政府の決定は、西側諸国と足並みをそろえる狙いがある。
外務省によると日本が外交官を国外追放した例は、過去に3例しかなく、今回は異例の措置と言える。ただ、政府はロシア側からの報復措置を懸念し、国外追放とするのは一部の外交官に限られると見られる。ロシアの報復措置としては、在ロシア日本国大使館の外交官の国外追放が考えられる。その場合、ロシアにいる邦人保護の業務に支障をきたす可能性がある。
駐車違反件数のワースト1位はロシア
このニュースが報じられるとネットでは、政府の決断を評価する声や、「もっと早く追放するべきだった」との意見とともに、「ロシア外交官が起こした駐車違反の罰金を回収できるのか」といった意見が散見された。
ロシア外交官追放する前に踏み倒した駐車違反の罰金ちゃんと徴収しときなよ
国外追放対象のロシア外交官の中に駐禁を特権で踏み倒した輩がいるのなら、駐禁に伴う罰金払わせてから追放してほしい。
駐車違反の罰金踏み倒しは回収しとけ!
昨年3月、自民党の三宅伸吾参議院議員が行った国会質疑で明らかになったところによると、在日外交官による駐車違反の罰金未納額は年間4千万円に上る。違反件数の国別ワースト1位がロシアで2位が中国だった。警察庁のデータによると、違反件数は2018年が3948件、19年は2615件、20年は1137件。
罰金を支払わないまま5年間の時効を迎えた件数もロシアが最多で、2018年度は1140件、2019年度が1101件だった。駐車違反1件あたりの罰金が1万5000円とすると、未納のまま時効の5年を過ぎた罰金の総額は、ロシアだけで2018年度が1710万円、2019年度が1651万円になる計算だ。
外務省は対策を強化するも…
外交官の交通違反が相次ぐ理由として、外交官や外交使節団に不可侵権と治外法権が認められる「外交特権」がある。外交特権があるため、相手方の同意を得ない限り、財産の差し押さえができない。「外交関係に関するウィーン条約」の第22条には、次のように記載されている。
使節団の公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される。
外務省は昨年4月、外交官の駐車違反の問題に関して、次のような措置を発表した。
今般、外務省は、駐日外交団車両による駐車違反問題に対する更なる措置として、警察庁と連携して、繰り返し違反を行う車両について、個別に注意喚起し、違反金納付を更に強く求めることとしました。また、国際法及び国内法令に従って実施している駐日外交団車両に対するガソリン税免税措置に関し、外務省が該当車両に対し免税購入のための証明書を発給する際、違反金の納付を確認することとしました。
駐車違反金の納付が確認できない場合、毎年のガソリン税免税証明書を発給しない措置を取る、それまでより一歩踏み込んだ強い措置が昨年から取られているが、罰金の未納金は完全には回収できていないだろう。
今回国外追放が決まった8人に駐車違反の該当人物がいるのかは不明だが、いまのままだと、国外追放により罰金は踏み倒されてしまうとのネット民の懸念は拭えないだろう。