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 2022年のスーパーフォーミュラ開幕戦、第1戦富士は優勝を争う緊迫したトップバトルが象徴的だった一方、スタート直後からアクシデント、トラブル、そして接触によるペナルティが絶えない、荒れた展開ともなった。中継モニターでは映らなかったアクシデントや接触を含め、レース直後のドライバーたちに聞いた。

 スタートでまず驚かされたのが、フロントロウ2台の出遅れ。スーパーフォーミュラ初ポールポジションを獲得した笹原右京(TEAM MUGEN)と、デビュー戦で2番グリッドの佐藤蓮(TEAM GOH)に聞く。

●笹原右京 予選PP/決勝19位「何が起きたかわからなかった」
「本当に何が起きたのかわからない状況でした。自分としてはシグナルが消えるまでいい感じの雰囲気で、消えた瞬間にクラッチをリリースしていい感触だったのですが、そこで急にパワーがなくなってしまった。それが自分のミスなのか、クルマ側なのか、今チームのみんなと原因を精査しています。ただ、自分としてはこれまでと同じで手順は何も変えていませんでした。初ポールでしたが、気持ち的にもいつもと同じで、むしろ15号車になってから長い距離をテストでも一度も走っていなかったので、もう、なるようにしかならないなと気持ち的にもライトで、すごく集中できていました。いずれにしても残念です」

「直後は再スタートできる気配もなかったので、アンチストールも入らないくらいで、主電源も落ちてしまっていて為す術がなかったので、気持ちを切り替えて、ピットからスタートできることは分かっていたので、その後はとにかく速いペースでガンガン走ろうと思っていました」

「レースペースも結果的にはすごく調子が良くて、途中ダンロップコーナーに入る手前で左リヤタイヤにアクシデントが起きて突然パンクしてしまったのですけど、それも含めて、今年のタイヤに関して僕らにはわかっていないことが多いですね。本当に予選の天国から地獄に落とされた感じの内容でした(苦笑)。ただ、ラップダウンしていたので周りに迷惑がかからないように走っていた状態でも、クルマの手応えは大きく感じることができたので、明日のレースに関してはポジティブに考えています」

2022年スーパーフォーミュラ第1戦富士決勝
痛恨のストールでポールポジションからスタートで大きく順位を下げてしまった笹原右京(TEAM MUGEN)

●佐藤連 予選2番手/決勝9位「笹原選手を意識しすぎてしまった」
「スタートに関しては隣の笹原選手がストールしてしまったようで、笹原選手を意識しすぎてしまって、タイミングが遅れてしまいました。メカニカルな部分ではなくて、ドライバーの部分が大きいと思うので、そこは改善しなきゃいけない部分ですね。毎回同じスタートを切れるようにエンジニアさんとも話して明日に向けて改善したいです。信号を見つつ、隣のクルマが視界に入っていたので。その後のレースペースは結構良くて、トップとも遜色なかったと思うので、悔しい気持ちはありますが、得られたものも大きかったので、明日はしっかり上位で走っていいポジションで終えられるように組み立てていきたいです」

2022年スーパーフォーミュラ第1戦富士決勝
デビュー戦予選2番手スタートから、スタートで出遅れてしまった佐藤連(TEAM GOH)

 グリッドの後方では松下信治(B-Max Racing team)もストールをしてしまったが、トラブルが原因だった模様。再スタート後も3度ピットインするなど、苦労の多いレース展開となってしまった。

●松下信治 予選14番手/決勝20番手「ECUにトラブルがあった」
「ECUにトラブルがあって、1回目のピットインで直らず、2回目で直って、その後はいろいろなことを試していました。あの順位だったのでいろいろテストもしたかったのですけど、まずはECUが壊れていたので。スタートもその問題があったと思います。詳しくは話せないのですけど、普段は出ないようなデータが出てしまった。予選の時は大丈夫だったのですけどね。まあ、流れが悪いですが、何とか明日もう1回予選があるので、ガラッと変えてトライしてみたいなと思います」

2022年スーパーフォーミュラ第1戦富士決勝
ECUのトラブルでスタートで遅れ、その後も3度のピットインをすることになった松下信治(B-Max Racing team)

 同じくスタートでは小林可夢偉(KCMG)が珍しくジャンプスタートのペナルティ。

●小林可夢偉 予選20番手/決勝18位「動くハズはないので僕もビックリしました」
「クラッチの遊びの部分、その手前の遊びにいかないくらいのところでちょっと戻していたんですけど、なぜかわかりませんがクルマがそれで反応して動いてしまいました。ちょっと意味がわからなくて、普段なら動くハズはないので僕もビックリしました。今年はあまりスタート練習もできてないので、そのあたりの確認もできていない状況なので、痛かったですね。クルマも速くないので、どんなにもがいても今日はポイントが獲れなかったと思うので、まずはクルマを速くしたいですね。今のクルマではまったく勝負にならないのでレースを走っていて悲しくなりました」

 スタート直後のコカ・コーラコーナーでは、福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)とジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)が接触。ジュリアーノが福住に追突する形になり、ジュリアーノはドライブスルーペナルティを受けてしまった。

●ジュリアーノ・アレジ 予選9番手/決勝17位「福住選手にごめんなさい」
「今日は予選もまあまあだったし、レースでもポイントを獲れなかったので、嬉しいレースではなかったですね。コカ・コーラコーナーの接触については、福住選手にはごめんなさいの気持ちです。あの時は福住選手もまわりのドライバーも早めにブレーキをして、トラフィックで混雑していたのでコンタクトを避けるのが難しい状況だった。僕にとっても残念でした。その後もコンタクトでノーズに穴が空いて、フロントウイングにダメージがあったので空力バランスが全然違って、パフォーマンスを出せませんでした。明日のレースに向けて今日、チームと一生懸命勉強して、明日パフォーマンスアップしたいです」

2022年スーパーフォーミュラ第1戦富士決勝
福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)を追突してしまい、ノーズ先端に穴が空いてしまったジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)

●福住仁嶺 予選13番手/決勝リタイア「明日のレースを考えて自分でクルマを止めました」
「スタート練習では安定していなくて不安があったのですけど、本番のスタート自体は悪くなくて、まわりはストールしたクルマがいたり、そのクルマに影響されて加速が鈍ったクルマがあったりしたなかで、シングル(9番手以内)くらいの順位まで上げられていいところ走れているなと思っていたらコカ・コーラコーナーのアプローチで後ろからジュリアーノ選手にヒットされてしまいました。左のフロアとタイヤが向こうのフロントウイングと当たる形になって、タイヤがカットしてバーストしてしまいました。頑張って戻ろうかと思ったのですけど、バーストしたタイヤで走っちゃうと足回りのアーム類にダメージが出てしまうこともあるので、明日のレースを考えて、そこは自分で判断してクルマを止めました。テストでも全然ロングを走れていないので、一度レースしてのパフォーマンスを見たかったですね」

2022年スーパーフォーミュラ第1戦富士決勝
オープニングラップのコカコーラコーナーで追突を受けてマシンを止めた福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSEp)

 その後のダンロップコーナーの立ち上がりでは、大津弘樹がスタートで出遅れた佐藤連に追突する形になり、佐藤はスピン。大津にはドライブスルーのペナルティが課された。

●大津弘樹 予選10番手/決勝16位「予想よりも前が詰まった状況だった」
「牧野選手とダンロップコーナーの進入で争っていて、僕がイン側からブレーキングして、止まりきれなかったわけではないですし、タイヤもロックしたわけではなかったのですけど、僕の予想よりも前が詰まった状況でヒットしてしまいました。スピンさせてしまいましたし、佐藤選手には申し訳なかったと思います。僕としてもあまりにも残念な結果になってしまいましたが、幸い明日もレースがあるので気持ちを切り替えて頑張りたいと思います」

2022年スーパーフォーミュラ第1戦富士決勝
ダンロップコーナーで追突してしまい、ペナルティを受けてしまった大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 2レース制で、1レース目は慎重な展開になるかと思いきや、スタート直後から波乱とその後のバトルが満載となった開幕戦。事前の公式テストと10度以上異なる温かいコンディション、そして強烈な追い風に新しくなったヨコハマタイヤでロングランを出来てないドライバーがほとんどで、多くの未知数の状況のなかで、序盤から混沌の展開となったが、果たして翌日の第2戦はどのような内容になるのだろうか──。