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 若い頃どれだけスマートでいようと、加齢には敵わない。30代後半から皮下脂肪は蓄積し、多くの人がメタボ体型になりがちだ。特にコロナ禍で運動不足に陥ったという人も多いはず。

 そこで本稿では、毎日の通勤時や移動中に渋滞に巻き込まれた時など、車中にできるちょっとした筋トレ方法を紹介していきたい。目的や部位に応じて、当然ながら運転操作には支障をきたさない、さまざまな負荷、運動について解説する。

 今回は、特に車内にいながら取り組める手軽な筋トレメニューを取り上げる。指導担当は、40代になってからマッチョ体型となった筋トレの鬼、自動車ライターのマリオ高野だ!

文/マリオ高野
写真/マリオ高野、フォッケウルフ

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■まずは姿勢キープで筋肉に負荷をかける

 長渕剛と清原和博ファンが高じて、筋トレ好きの中年になった自動車ライター、マリオ高野48歳です。コロナ禍で出張は減ったとはいえ、長距離・長時間の運転をする機会は多く、車内で実施できる筋トレを日夜考案しています。

自宅でトレーニングに取り組む筆者。こんなマッチョ体型にならないまでも(笑)、ダイエット目的でも運動を取り入れたい!

 運転中に本格的な筋トレに励むのは危険ですし、そもそも無理ですが、ちょっとした工夫で効果的な刺激を身体に与えることは十分可能。ごく軽めの筋トレでも身体中の血流を活発化させられ、疲労軽減や集中力を維持する効果があるので、安全運転にもつながります。

 また、サービスエリアなどでの休憩中に実施するとリフレッシュ効果が極めて高く、ロングドライブには欠かせません。そこで今回は、誰もが簡単に車内で実施できるカー・エクササイズ(筋トレ)をいくつか紹介しましょう。

◆      ◆      ◆

 まず、車内で効果的に行えるものとしてオススメなのは「アイソメトリック」と呼ばれるトレーニングです。やり方は、関節を動かさず、静止した状態で一箇所の筋肉に力を入れるだけ。子どもから女性、お年寄りまで誰もがどんな場所でもできます。

 腕を少し曲げて力こぶしを作る時の力の入れ方、といえばわかりやすいでしょう。息を吐いてお腹を凹まし、その状態をキープするのも腹筋の「アイソメトリック」のトレーニングになります。クルマのシートに座っている状態で、ほぼ全身のどこの部位でも適度な刺激を入れられるのです。

 まずは手始めに、超簡単ながら意外と効くトレーニングをやってみましょう。停車中、普通に座ってる状態から両手を合わせて祈るような姿勢を作ります。両手の手のひらは互いに強く押し付けるように力を入れると、それだけで大胸筋に刺激が入るので、このまま10秒以上、ツラくなるまで力を入れ続けます。

手のひらを合わせて合掌! 腕から胸にかけて力を入れる

 しんどい、と思ったらそこでやめてOKです。10数秒ほど休んだら、また同じ動作を行います。3セットもやれば十分で、胸まわりが張るような感覚が得られたら成功です。ひどめの渋滞、または信号待ちで停車するときに行うと、心身のリフレッシュ効果も得られます。

■ステアリングやシートを利用した筋トレ

 さらに応用編として、別パターンも紹介しましょう。停車中、両手を逆手にして(手のひらを自分の方に向けて)ハンドルの一番上あたりを握り、ハンドルにしがみつくような感じで力を入れます。これだけで大胸筋に刺激が入りますが、先ほどの手を合わせる動作を行い、大胸筋がすでに疲れている状態からやると、なお効果的です。

ステアリング上部を下から握り、下に引っ張る感じで力を入れる

 これに慣れてくれば、大胸筋への刺激は走行中にも入れられます。ハンドルのやや下あたり、時計でいうと8時20分ぐらいを握りながら、ハンドルを軽く上に持ち上げるような感じで力を入れ続けます。体格にもよりますが、チルト調整を一番下にした状態で行うとなおいいでしょう。

ステアリング下部を握り、上へ持ち上げるように力を入れる

 ただしこのようなステアリングを使ったパターンの場合、操作に影響が出ると大変ですから、何度も曲がるような市街地での走行中はなるべくやめておきましょう。高速巡行中の眠気冷ましとして、またサービスエリアなどで食事したあとに、上がった血糖値を下げる(燃焼させる)目的で行うのがいいと思います。

 停車中のわずかな時間を利用して行えるのが「ディップス」と呼ばれるトレーニングです。胸、上腕三頭筋、一部肩の筋肉に刺激が入ります。筆者の愛車BRZの場合、左手はコンソールボックス、右手はドアのアームレストに置いて腰を浮かせ、ツラくなるまでキープ。ミニバンやSUVなど、頭上高に余裕のあるクルマがやりやすいです。

両手の力だけで腰を浮かせて身体を支える

「ロングドライブでは腰痛がツラい」、という悩みを抱えるドライバーに試してほしいのが、体幹強化系の「アイソメトリック」トレーニングです。停車中、リクライニングを寝かせた状態で、お尻以外をすべて浮かせる姿勢を限界が来るまでキープ。手は前で組むか、頭の後ろにまわすなどして、より腰まわりがラクになる姿勢を探ってみましょう。

クルマに臀部のみ接地させた状態をキープする

 腹筋や背筋、太ももあたりがピリピリしますが、全身の血行促進に大変効果的で、意外と腰まわりがスッキリします。サービスエリアでのトイレ休憩時など、停車するたびに行えば疲労軽減効果も高いのでオススメです。

■車内に小道具を持ち込めば幅が広がる!

 次はちょっとした小道具を使ってトレーニングの幅を広げてみましょう。1L以上のペットボトルがあればダンベルの代わりになり、脇を締めて肘を固定したまま肘を曲げる「アームカール」など腕のトレーニングができます。

 筆者は以前、自宅で使っていた5kgのダンベルを2本愛車に持ち込み、停車中にトレーニングしようと試みましたが、使い勝手が悪すぎてダメでした。5kg程度でも車内で使うにはかなり重く、愛車の内装を痛めたり、怪我をするリスクが高まります。その点、ペットボトルなら出先で簡単に入手できますし、空のペットボトルをトランクなどに積んでおけば、使うときだけ水道水を入れて重くすればよいので、無駄な重量物になることもありません。

 男性でも2Lのペットボトルなら意外と効かせられるので、オススメです。1Lだとちょっと軽すぎますが、動作を速くする、または極端に遅くするなどして負荷を増やす工夫をすれば、身体が軽く温まる程度には効かせられます。

脇を締めて肘を固定したまま肘を曲げる動作を繰り返す

 応用編として、停車中、シートのリクライニングを倒せば愛車のシートが「インクラインベンチ」の代わりとなります。シートを倒してアームカールを行うと可動域が広くなり、ストレッチ効果もあって上腕二頭筋への刺激が入りやすくなります。

シートを倒すことで「アームカール」効果は高まる

 経験上、ダンベルを車内に持ち込むのはお勧めしませんが、もっと小さくて軽い器具なら車内でも普通に使えるモノがあります。それは、昔からある握力トレーニングの定番アイテム「ハンドグリップ」です。運転中、手のひらに刺激を入れると覚醒効果が高く、普通にグーとパーを交互に繰り返すだけでもいいのですが、ハンドグリップを使えば圧倒的に効果は高まります。

 車内では、渾身の力で握らないと握れない硬さのモノは使わず、0.5秒程度で握り切りれるような、わりと柔らかめのハンドグリップで、速く、回数を多めにこなすイメージで行うのが良いでしょう。鍛えるというより、神経系のリフレッシュ狙いという感じです。

早く、回数をこなすことを目標にするべし!

 愛車に持ち込める筋トレグッズは「ブルワーカー」もオススメです。40~50代以降の中年には昔懐かしの(?)筋トレグッズですが、今もなお健在のロングセラー商品。若干かさばりますが重くはないので車内に携帯しやすく、座った状態でもできる種目は結構ありますし、サービスエリアや出張先のビジネスホテルの部屋などでも使いやすいので、オススメです。

ブルーワーカーが1本あればさまざまな運動ができる
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