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 富士スピードウェイでの金曜専有走行で、2022年の戦いの火蓋が切って落とされた全日本スーパーフォーミュラ選手権。3月の公式合同テストに続き、リザルト上の各車のタイムは走り出しのこのセッションから極めて僅差となっている。

 そのなかで4番手と、まずまずのタイムを残したのが、今季DOCOMO TEAM DANDELION RACINGへと移籍を果たした大津弘樹だった。

 昨年、Red Bull MUGEN Team Gohより初のフル参戦を果たした大津弘樹は、第6戦もてぎで優勝。さらなる上位での活躍に期待がかかるなか、今季は新たな環境のもとレースへ臨んでいる。

 鈴鹿の公式合同テストの際、ダンデライアンのクルマにはダウンフォースを感じると語っていた大津。富士の公式合同テスト、そしてこの開幕戦の専有走行を経ても「その印象はあまり変わっていない」と言う。

「かと言ってセクター2が特別速いかというとそういうわけではなくて、やはりセクター3が走りやすいようにセットアップしています」

 ダウンフォースと並び、もうひとつ大津が好感触を得ているのがダンパーだ。

「吉田さん(吉田則光エンジニア兼監督)のクルマに乗った過去のドライバーもよく言うことだと思いますが、たとえば縁石に乗ったときのショックの収まりがいい。リヤの懐が深い感じがしますし、タイヤの動きをよりリニアに感じられ、自分が思ったようにタイヤ、クルマを動かしにいける。それが走りやすさにつながっていると思います。コンディションが悪くなったときとかにも、走りの幅が増えると思いますね」

「やはりバネ(スプリング)を柔らかくするのとダンパーを柔らかくするのは違いますし、ダンパーは(減衰特性など)いろいろなやりようがある。その調整を、うまくやってもらえていると思います」

 とはいえ、ダウンフォースと足回りのセットアップの関係性など、ダンデライアンの車両への適合は「まだ苦戦中」で、富士においては「セクター2をもっと速く走らないといけない」と大津は現在の課題を明かす。

 実際、90分間の専有走行ではショートランでセットアップを繰り返し、中盤まではタイムシートの下位に埋もれていた。だが、セッション終盤になって「いい要素」が見つかり、タイムアップ。その部分を「さらに深掘りして、合わせ込んでいきたい」と大津は土曜日朝の予選に向けた展望を語る。専有走行最後のアタックで、足りない部分は見えてきているようだ。

 一方で、3月の富士での2日間の公式合同テスト初日がウエットになったこと(午後のセッションは降雪で中止)、そして金曜専有走行もセットアップに費やしたことから、ロングランは「まったく試せていません」と苦笑する。決勝に向けては、まだいくつか“壁”がありそうだ。

 移籍を果たした今年、「もう“ルーキー”という言い訳はできないという緊張感、プレッシャーは感じている」と表情を引き締める大津。

「初戦から結果を残すために移籍させてもらったと思いますし、まずは自分の力を出し切ることに集中したい」

 新たな環境とクルマへ試行錯誤を続けるなか、接戦が予想される第1戦の予選で、まずは大津の現在地が判明することになる。

2022スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2022スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)