米国食品医薬品局(FDA)は、英グラクソ・スミスクライン(GSK)などが開発した新型コロナウイルス感染症に対する抗体医薬「ソトロビマブ」の緊急使用許可(EUA)を取り消した。感染力が強いとされるオミクロン株の派生型「BA.2株」に対する有効性が低いと判断した。変異株に対する効果低下でEUAが撤回された抗体医薬は3剤目。
ソトロビマブはコロナウイルスに対する中和抗体。ウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質の受容体結合部位(RBD)に結合することでウイルスの細胞侵入を阻害するよう設計されている。だがオミクロン株は変異部位の多くがRBDに集中しているため、RBDを標的にした中和抗体の効果低下が懸念されている。
FDAなどの研究によると、BA.2株に対するソトロビマブの有効性が低いことが分かってきた。米国では同株の感染が主流になってきていることから、全州を対象にソトロビマブのEUAを取り下げた。GSKなどは同剤のBA.2株に対する中和活性は維持されていると主張し、高用量製剤の開発も検討している。
米国では、オミクロン株に対する効果が低下したとしてスイス・ロシュなどの抗体療法「ロナプリーブ」、米イーライリリーのバムラニビマブ・エテセビマブもEUAが取り消されている。
新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)
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