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 2022年3月ですでに受注を終了し、まもなく5月にはフルモデルチェンジが予想されているクラウン。新型は伝統のFRから一転、FFで4WDという前例のない仕様と言われているほか、スポーツワゴンタイプなどのラインナップも予想されている。

違反車両を追跡開始する大阪府警察の220系クラウン覆面。16インチのアルミホイールを履く姿は、初期型の2.0Bの様相だが、グリルには「RS」エンブレムが!!

 一方で、220系クラウンパトカーは一般市販向けクラウンの生産終了とは関係なく、2021年12月頃から200系クラウンパトカーなどの後継として、まずは警ら用のパトカーが全国に配備され始めた。そして今年の1月頃からは覆面パトカーと交通用パトカーも配備・活躍をはじめたのである! そう、これからが「旬」なのだ。その220系パトカーの詳細をお届けしよう!

文・写真/有村拓真

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220系クラウン覆面&交通パトカーは何台導入された? どこに配備される? そしておいくら?

 今回ご紹介する220系クラウンパトカーは、正式名称が交通取締用四輪車(※白黒パトカー)と交通取締用四輪車(反転灯)(※覆面パトカー)となっている。

 2021年度に国の予算で一括購入されており、白黒パトカーが240台とされる。1台あたりの価格は約449万円となる。また、覆面パトカーは107台で、こちらの1台あたりの価格は約432万円となっている。

 全国ほとんどの都道府県に配備され、これにより前任車である200系クラウンや210系クラウンアスリート、高速隊などで使用する130系マークX覆面も引退したところが多い。210系クラウンアスリートの更新は予想外だが、一部の県の高速隊などでは走行距離が大幅に多く、耐用年数より早いタイミングで更新対象となったようだ。

ここが覆面パトの見破りポイントだ!!

 220系覆面パトカーに採用されているボディーカラーはホワイト、シルバー、ブラックと三色あるが、ブラックが配備された県は少数なので、見かけたらよりラッキー(?) かもしれない。足回りに関しては、16インチのアルミを履いており、2WDの警ら用や交通パトと全く同じ仕様となる。

 全体的なエクステリアは、220系クラウンがデビューした2018年当時の廉価グレードである2.0Bをほぼそのまま使用している雰囲気である。これはドアノブもボディーと同色なのが特徴の一つだ。

 しかしながら、フロントグリルとリアにはRSのグレードエンブレムが付いている。本来、RSグレードならばアルミは18インチであるが、210系アスリートなどと違ってこのあたりのものは採用されず、結果として16インチのアルミを履く2.0BグレードにRSエンブレムが付いた「ヘンな仕様」となってしまった。


総理の警護任務に借り出された広島県警察の覆面。警護任務のためにアンテナが増設されている。ベースが2.0Bの低グレードのため、廉価さが目立つ

 またトランク部分にはスポイラーが備わっており、フロントバンパーはRS系などに見られるメッキ装飾が施されている。この部分に関しては警ら用を含む白黒パトカーにも装備されている。

車体色はシルバー、ホワイト、ブラックが現時点では確認されている。ウインカーは「RS」グレードではシーケンシャル式となるのだが、覆面仕様ではい一般的な点滅式

 さらに、市販のRSグレードならばシーケンシャルウインカーとなるが、こちらも採用されていないため通常の点滅タイプのウインカーとなっており、いかにも市販の仕様とは違うチグハグな警察車両らしい専用装備の数々がパトカーマニアの探究心をくすぐる。

 また、ほとんどの県でボディー上の警察無線アンテナレス化が進んでおり、車内のリアダッシュボードなどに設置されていることが多く、秘匿性が増している。

交機隊員に聞く!! 異例の排気量がゆえにパワー不足⁉

 パトカーを国の予算などで購入する際、その用途に応じて警察庁などが作成した仕様書を元に、各メーカーがそれに見合うスペックの車両を用意して入札を行うが、その枠に当てはまるスペックの歴代交通パトカーや覆面パトカーは、最高出力280~300ps級の3~3.5リッター以上の大排気量エンジンを採用し続けてきたのである。

 しかしながらここへきてその伝統が崩れてしまった。警ら用パトカーに限り、寒冷地向け4WD仕様には、2.5リッターのハイブリッドモデルi-fourが採用(最高出力184ps、最大トルク22.5kgm、システム出力226ps)されているが、それ以外の警ら・交通用・覆面はなんとすべて同じ2リッターターボ車が採用(最高出力245ps、最大トルク35.7kgm)されてしまったのである。これは前例のないことで、今後もこのような取り組みが続いていくのか、パトカーマニアの関心を大いに誘っている。

 警ら用のパトカーを運用する複数県の警察官らに話を伺える機会があったが、街中での取締りやパトロールには特に支障もなく、さすがクラウンは快適だという意見を聞くことができたが、今回の交通用パトカーや覆面はワケが違った。

交通取締用パトカーも全国的に活動を開始した。写真は警視庁に納入されたものだが、白黒仕様は240台が納入され、ほぼ全国の都道府県に配備されている

 今まで3.5リッタークラスのクラウンアスリートなど歴代車種を操ってきた高速隊や交機隊員らからも話を伺うことができた。致命的に加速が悪いというわけではないが、今まで慣れた感覚と違う加速のため、戸惑いもあるという。一方で、フロント部分が軽くなり、200系クラウンのような取り回しやすさを感じるので、220系の方が使いやすいといった意見もあり、あちこちの隊員からさまざまなお話しを聞くことができた。

 市販のモデルに乗る一般ユーザーならそこまで違和感なく加速しているだろうが、パトカーや覆面パトカーのトランクには、多種多様な警察装備品を積載していることもあり、このあたりの重量も加速に悪影響しているようだ。また、高速道路などで違反車両を追跡する際は、相手もかなりの速度を出しているため、追いつくのに少々時間がかかることも目立ってきているという。いくらターボ車とはいえ、2リッタークラスのグレードがパトカーになるのはなかなか厳しいものがあるのではないだろうか。

 ちょうどの全国交通安全運動も始まったため、全国的に積極な活動が予想される。

 覆面、パトカーともに交通取締りが主な用途として導入されているので、その勇姿を見られることになるが、自分が取締り対象にならないようにこれからもどうぞ安全運転で!

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