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このメルセデス・ベンツの新しいSUVは素晴らしい気品を備えている。新型メルセデスGLCに試乗した我々は、このSUVが、同分野で非常に高いハードルを設定していることに確信を得た。初のドライビングレポート。

メルセデスも、SUVに関しては昔とは違う。テストドライバーのペーター コルブ(56)は、次のカーブに向けてスピードを出し過ぎたため、すぐにスポーツモードのボタンを押した。そして、この全長4.72メートルのSUVは、ブレることなくレーンに沿い、滑らかにカーブを走り抜けていくというスポーティなコーナリングを実現する。

サスペンションコントロールやサイレントグライディングなど、他の種目がこれだけうまくいっているのであれば、それも可能だと納得がいく。今、我々は新型「メルセデスGLC」のまだ極秘のプロトタイプで走行中。ワールドプレミアは2022年6月1日、ディーラーでの発売開始は9月の予定である。

とりあえず今回は、ジンデルフィンゲン周辺の道路を走りまわる。それはどういう意味かと言えば、このクルマは安全性を板金にしたもので、リアアクスルまで一緒に4.5度ステアリングし、その結果、回転直径はわずか10.8mとなっていて高度な動力性能を発揮してカントリーロードを駆け巡るのだ。

ワイドスプレッド: ロールスタビライザーのおかげで、GLCは非常にスポーティにカーブを曲げることができる。でも、ふわっとした足回りも可能だ。

まだコックピットにはカバーがかかっているが、このクルマはおすすめだ。「Cクラス」を見て、すべてを一段上に考えて、ビンゴ! 「GLC」にはセンターコンソールの端にXXLサイズのディスプレイがあり、最高の機能を備えたボイスコントロールシステムが備わっている。そして、ピーター コルブがクロールモードで運転中、フロントカメラが下の道を映し出し、エンジンをフェードアウトさせたのだった。今まではランドローバーでしか知りえなかった機能だ。

GLCの足元スペースが拡大

新型「GLC(メーカーコード: X254)」は、新型「Cクラス」の「MRA2」プラットフォームを採用し、先代モデルから全面的に改良されたモデルだ。購入層はより広いスペースを求めているので、車幅は6センチも広くなり、その結果、足元も広くなっている。

広々としてラウンジ: 新しいGLCのリアではのびのびと過ごすことができる。乗り降りも素晴らしく楽で、頭と足のための十分なスペース、良好な着座位置が兼ね備わっている。

トランクルームも50リッター増えて、600リットルになっている。また、プラグインハイブリッド仕様ではより多くの電気走行距離を得たいということで、バッテリーを12.8kWhから23kWhにアップグレードし、WVモードでも100km以上走行できるようにしている。また、急速充電を行えば、30分で充電することも可能となっている。

信号待ちからも非常にスムーズにスタートできる

メルセデスは2022年秋以降、ガソリン車またはディーゼル車としてプラグインハイブリッドを提供する。ゴトゴトしない信号待ちからのスムーズなスタートや、余分なブーストをかけた加速を経験したことがある人なら、見逃すことはできないだろう。試乗車は、265馬力の4気筒ディーゼルと23馬力の追加電力を搭載し、トルクは550Nmに達する。しかし、より良い発泡材、より高い断熱性、より良いドアシールのコンセプトなどによって、全体的にとても静かな空間が提供されている。

265馬力の4気筒ディーゼルを23馬力の電動モーターがアシストする。発進時や加速時にそのことに気づく。

この車は、全然、ディーゼルに思えないのですが?そう言うと、ピーター コルブがカーブの手前でスポーツボタンを押し、サウンドチューニングのおかげでエンジンが嗄れたガソリンエンジンのように語りかけてきた、なんて嬉しい感覚なのだろう。夏には我々自身の手で運転する予定だが、それまでが待ち遠しい。貼られた箔の下には大きな気品がある!大きな財布が必要なのだろうか?ベースモデルは、5万ユーロ(約660万円)からとなっている。

結論:
このSUVは、4.70mクラスの新しいベンチマークになるはずだ。コンフォートサスペンションはスポーツもでき、プラグインはディーゼルもあり、センターコンソールのXXLサイズのスクリーンはその頂点にあるものだ。

【ABJのコメント】
メルセデス・ベンツの「GLC」も新型になる時期となった・・・。とはいっても、現行の「GLC」がどんな形だったか正直思い出せないし、新型が街を走り出しても、きっとどっちが新しいので、どっちが古いのかわからない、そんな気もするが、形の問題よりも現代に必要なのは環境性能やエレクトロニクスデバイスの進化のほうが重視されるのだから、そういう意味ではそろそろ大幅改良の時期を迎えたわけである。

ちょっと安心したのは、ちゃんとディーゼルもガソリンエンジンもプラグインハイブリッドモデルとして存在していたことで、BEVだけではなくてよかった、そういうところにもはや一喜一憂するような時代なのである。

走行性能や室内空間は、今のモデルでも決して劣ってはいないし、アップデートされてはいるかもしれないが、絶対的な問題ではない。世の中の趨勢や制度に追われての環境性能向上や、日々進化しているエレクトロニクスデバイスをいかに遅れることなく進化させ、対応していかせるかが今の自動車メーカーに必須とされる部分なのである。(KO)

Text: Andreas May
加筆: 大林晃平
Photo: Mercedes Benz AG