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罠 七 隆助はみちのことで梅に感謝をのべたいとも思いつつ、「兄上は、わたしにだけは意地悪なのよ」琥珀(こはく)色の大きな瞳を細め、みちに訳知り顔で囁(ささや)く顔を見ると、意地でも言ってやるかという気になる。隆助は身を切るような寒さの中、濡れ縁を水拭きしていたみちに、