もっと詳しく

 2022年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権より名門ウエスト・サリー・レーシングとのジョイントチームを発足したMBモータースポーツは、世界初の共通ハイブリッド機構を導入する新シーズン開幕に先駆け、新たな公式開発ドライバーにチャーリー・マーティンを起用するとアナウンスした。2022年後半にはWSRが走らせる『BMW 330e Mスポーツ』のテストが予定されている。

 マーク・ブランデル率いるMBモータースポーツは、FK8型ホンダ・シビック・タイプRやフォード・フォーカスST時代から関係の続くジェイク・ヒルを継続起用し、2022年は新たにMBモータースポーツ・パワード・バイ・ロキットとしてBTCCに参戦。車両もWSR謹製のワークススペックBMWを走らせる。

 そのFR車両へのスイッチを決断したチームで、新たな公式開発ドライバーに就任したマーティンは、2021年に地元ブリットカー・チャンピオンシップのうち『プラガR1』のワンメイク・クラスに参戦。今回の契約は、彼女のパーソナルスポンサーを務める物流系高性能輸送機器大手であるekロボティクスの支援により具現化した。

 これまでも社会支援活動の一環として、LGBT+コミュニティの認知度を高めることに熱心に取り組んできたマーティンは、並行して地元イギリスのジネッタGT5チャレンジや、ドイツ・ニュルブルクリンクの耐久シリーズ(NLS/旧VLN)でレースに参戦し、BMW M240iをドライブして本家24時間レースでクラス4位完走も果たしている。

 前述のホンダ時代から、MBモータースポーツは“開発ドライバー”と称して女性ドライバーを起用し、その後のキャリアアップをサポートする役割を果たしてきたが、今回のマーティンもその道筋をトレースするひとりと目されており、現在DTMドイツ・ツーリングカー選手権で2年目のレギュラーシーズンを迎えるエスミー・ホウキーの足跡を再現することが期待される。

■「彼女自身が将来の機会を探求するのに役立つはず」とブランデル

地元ブリットカー・チャンピオンシップや、ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS/旧VLN)に参戦してきた
2021年はチェコのマニュファクチャラー、Praga製の『R1』を使用したワンメイク・クラスで戦った

「私のバリューパートナーであるekロボティクスとともに、こうしてROKiTやMBモータースポーツとチームを組むことができて本当にうれしく思う。BTCCは英国でもっとも権威あるチャンピオンシップだし、そこでもっとも成功を収めたチーム(WSR)のひとつとジョイントできるのは光栄以外の何者でもないわ」と語ったレスター出身のマーティン。

「BTCCがその長い歴史の中で、もっとも“グリーン”なシーズンに着手しようという記念すべき瞬間に、彼らと協力してステアリングを握る機会が与えられることは、どんなドライバーにとっても素晴らしい瞬間ね。ekロボティクスに心から感謝したいし、彼らはこれを可能にするのを助けてくれた」

 このジョイントチームでもスポーティングディレクターを務める元F1ドライバーのブランデルは、このプロジェクトにマーティンを起用することに歓迎の意を示すとともに「チャーリーは真のプロであり、彼女のチームでの新しい役割は、彼女自身が将来の機会を探求するときにも役立つはずだ」とエールを送った。

「まずは、チャーリーとekロボティクスをチームに迎え入れることができてうれしいよ。多様で包括的な文化に力を与えることは、私やチームにとっても非常に重要であり、彼女やパートナーたちも等しく共有する情熱であることを知っている」と続けた1992年のル・マン24時間覇者でもあるブランデル。

「彼女のキャリアの次のステップを踏み出すのを助けるため、一緒にこの機会に踏み出すことを楽しみにしている。チャーリーは本当にインスピレーションを与えるキャラクターであり、彼女の野心と熱意はチームにとって大きな財産になるだろうね」

現在はDTMでランボルギーニをドライブするエスミー・ホウキー。グローバル進出の足掛かりが、このチームでの役割となった
「彼女のチームでの新しい役割は、彼女自身が将来の機会を探求するときにも役立つはずだ」とマーク・ブランデル