<p>「お巡りは高卒だろ」と吠え…岸田首相秘書官の息子が警察トラブル | 週刊文春 電子版</p><p>卒業式を終えた早大生たちが赤ら顔で練り歩く夜の東京・高田馬場。酔客が行き交う駅前ロータリーで怒号が響き渡ったのは、日付を跨いだ3月26日未明のことだった。5、6人の警察官を相手に大立ち回りを演じていたのは――。</p><p>卒業式を終えた早大生たちが赤ら顔で練り歩く夜の東京・高田馬場。酔客が行き交う駅前ロータリーで怒号が響き渡ったのは、日付を跨いだ3月26日未明のことだった。5、6人の警察官を相手に大立ち回りを演じて…</p><p>卒業式を終えた早大生たちが赤ら顔で練り歩く夜の東京・高田馬場。酔客が行き交う駅前ロータリーで怒号が響き渡ったのは、日付を跨いだ3月26日未明のことだった。5、6人の警察官を相手に大立ち回りを演じていたのは――。 関係者が“事件”の顛末を明かす。 「深夜1時半過ぎ、タクシーの乗車を巡り、早大4年の学生と20代の会社員との間でトラブルが発生したのです。つかみ合いの末、交番から警察官が駆けつける事態に。会社員が『イヤホンを壊された』と主張したため戸塚署で双方の事情聴取を行うことになった」 そんな中、興奮しきった学生の口から飛び出したのは、こんな発言だった。 それから数十分後、同署に駆けつけ深々と頭を垂れたのは、経産省出身の荒井勝喜(まさよし)総理秘書官(54)だった。 荒井秘書官 「政務の首席秘書官を務める嶋田隆元経産次官の下に6人の事務秘書官がいますが、中でも総理と過ごす時間が一番長く、出張にもよく同行し、さながら第二政務秘書官のようになっているのが荒井氏。総理が2008年に消費者庁設置に向けた担当大臣を務めた際、準備室の企画官として仕えた頃からの縁もある。昨夏には他の局長よりも若い53歳で商務情報政策局長に抜擢され、91年入省組では断トツの次官候補。経産省初の私学出身次官になると目されています」 岸田首相 荒井氏が“異能の官僚”と言われる所以は、その一風変わった経歴にある。横浜市立南高校時代はラーメン屋のアルバイトに明け暮れ、卒業後は横浜市役所に就職した。そこで優秀さに目を留めた上司に「市役所でも大学を出ていなければどうにもならんぞ」と勧められ一念発起。早大政治経済学部に進学し、奨学金を得ながら卒業したという。 入省後は順調に出世した。 「安倍政権時代の16年には出世コースの大臣官房総務課長に就任。通常2年で交代しますが、異例の3年間務めたのは、安倍首相や当時秘書官だった今井尚哉氏が望んだためと言われます。官僚は政治家に怒鳴られると萎縮するものですが、荒井氏は顔色一つ変えないため、『胆力がある』と評価が高い」(同前) 安倍氏と今井氏(左)も荒井氏を高く評価 そんな荒井氏が可愛がるのが、父と同じ早稲田で学び、公務員宿舎でともに暮らす息子だ。警察トラブルから約1週間後。荒井氏に取材を申し込むと、開口一番「お恥ずかしい」と恐縮し、事の顛末を語った。 「その日は卒業式で酔っ払っていて、どっちが先にタクシーに乗るかで揉めたらしいんですね。息子は身体が大きくて人相も悪いもので、お巡りさんが自分のほうにたくさん来ちゃったと。本人から電話がかかってきて『なんか俺が悪者になっているんだ』って」 荒井氏は戸塚署に急行、息子に代わって会社員に謝罪し、イヤホンの弁償代として3万円を支払って示談が成立したという。「親父は総理秘書官」発言について問うと、「バカ息子で」と繰り返す。 「親の職業を言わないでほしいんですけどね……こんなふうになっちゃうから(笑)。『そんなことはやっちゃいけない』と息子には言ったんです。僕の父親は神奈川県警で高卒なんですよ。息子は自分のおじいちゃんがそうだったからそう言ったのかもしれない。息子も反省しています。総理には伝えていませんが、嶋田政務秘書官には『すみません』と。警察出身の栗生(俊一)官房副長官にも伝えました」 嶋田氏 「警察官に頭下げまくって謝りまくって、相手の被害者にも謝って、もう大変でしたよ。あの日は、その後また朝6時に国会答弁で出勤。睡眠30分で(笑)」 息子のトラブルは、持ち前の胆力や調整力をもってしても想定外だったようだ。</p>