バスに限らず長時間乗り物に乗ると腰が痛い! なんて苦痛な思いをする方も多いハズ。いろいろ試すも一体どれが一番ベストなのやら……そこで今回はパーソナルトレーニングを行っているプロの元、長時間バスに乗っても疲れない座り方を伝授! もっとも負担のかからない座り方とはどんなモノなのか!?
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:株式会社JIZAIE・株式会社KALOS BEAUTY TECHNOLOGY
着座姿勢
通常はオンラインで行うのだが、取材のため特別に対面で取材に応じてくれたのはZENNAチーフトレーナーの末吉史英さん。撮影のためにモデルになってくれたのは同社広報担当者の渡邉さくらさん。解剖学を学んだ末吉さんはヒトの骨格や筋肉がどのように作用しているのかを考慮して教えてくれた。
すべての悩みの原因は血流の阻害によるものなので、ここで紹介するのは血流改善だと考えていただいて差し支えない。そもそもヒトは立っている方が自然で着座する方が不自然なようにできているという。
しかし座らなくてはならないので、問題はどこの部位を使って座るかということのようだ。普通に座ると楽な姿勢に見えても仙骨に体重が掛かりそのままの姿勢を続けると腰が痛くなる。背もたれに背を投げ出しても根本的には変わらない。
座る際に意識したいのは、お尻を座面奥深く突き出し、背を立てるとヒトの背骨はS字カーブをしているので自然に腰と背もたれの間に空間ができる。この状態で背もたれにもたれかかるとかなり怖い。
それが最も負担のかからない座り方だという。なのでこの腰の空間に座布団やタオルを入れる。やみくもに腰がくっついた状態でタオルを入れても何の役にも立たない。詳細は画像ギャラリーも参照していただきたい。
運転士の肩や腕の痛み
大型車のハンドルは最近でこそ小さくなったが乗用車よりは大きく、腕を回す半径も大きくなる。これはトラックでも同様だ。腕が張ることにより肩や首が痛くなるのもこれが原因であることが多いという。
そこで一度腕を後ろに回し、手のひらを上(前)に向けてからハンドルに手を添えると肩の付け根の骨格が正常な状態になり疲れにくくなる。女性が手を前に組んでお辞儀するCAさんのような姿勢も、同じ要領でやると非常に美しく自然に見える。
ヒトは寝るときに脱力すると手のひらが上になるのが本来のつくりだという。しかし現代人は無意識に力が入る事が多く「大の字」に寝るという方法以外は手のひらが下になっているのではないだろうか。寝る際にはストレッチなどで余計な緊張をほぐしてから手のひらを上にするとよいだろう。
足の疲れ・むくみ・傷み
着座姿勢は運転士・乗客共通だが、足については乗客の悩みだろうか。そもそも足が疲れるのは血流が悪くなる事により、酸素や栄養が届かない結果として起こる。むくみも同様だ。痛みは体が発する危険信号なので、これを無視すると道路交通と同様に(体の)事故につながる。
運転士は足は常に運転操作のために動かしているのでそこまではないものの、乗客にとっては深刻だ。血流を押し上げる筋肉はひざより下が弱いので、最も簡単な方法は足を挙げて伸ばし、血流とふくらはぎのポンプが機能しやすい状態にする。
これについてはレッグレストやフットレストがあれば積極的に活用すればよいが、自分の力でしばらく足を挙げておくだけでも改善する。
お金を使って手っ取り早く改善
腰でも足でも痛みがひどければ整形外科を受診することは言うまでもないが、乗客として乗車する際には少しお金を使って解決してしまうのも手だと末吉さんは言う。例えば足であれば市販の圧着ソックスが有効のようだ。
足のむくみは筋肉が相対的に弱い女性に多く、一般的な市販品は女性用が多いため男性用で最適なサイズのものをECサイト等で探して購入するのが良さそうだ。
腰については記者が見つけてきた商品を専門家でもある末吉さんに見てもらった。カロスビューティーテクノロジーが販売する「BONE Active」は仙骨ケアのアイテムで医療機器ではないが、骨盤を前に締めこみ腰をいつでも準備OKにしてくれるサポートベルトと、温熱で血流を改善し、電気刺激で筋肉を動かすことによりほぐすことが装着するだけで一度にできるのが分かるということだった。
本品は小型でリモコン付き、温熱に使用するバッテリーはモバイルバッテリーとしても使用でき不要であれば取り外せる。腰に当てるパッドは銀繊維を織り込んだ布パッドなのでジェルもクリームも不要。よって家ではもちろんだがバス乗車中やそれ以外の活動中にも常に使用できるのが特徴だ。
ビューティーケア製品の会社なので、女性の仙骨ケア用に作られた製品だが延長ベルトも含まれているので男性でも使用可能だ。
路線バスでの立ち方
路線バスで立ち席になる場合は、つり革や手すりにつかまることは安全上必ずしてほしいところだが、立ち方によっても揺れや加速度を受け止めることが容易になる。
立つスペースにより立ち方は異なるが、基本的には進行方向に向いて腰の幅程度に足を開いて立つのが最も楽で安全なのだが、この際に意識的に足の外側に体重をかけることで安定して立つことができる。
とはいえ、たいていは外を向いて進行方向に横向きに立つケースが多いと思われる。その際には十分なスペースがあれば進行方向側の足を進行方向に向けて反対側の足は進行方向に直角に立つ。
この際に進行方向に向いている足には体重を掛けず、バスが加速や減速をする際にこの足で荷重を調節することにより受ける。こういう立ち方では体は自然に真横ではなく斜め前方に向くことになるが進行方向に向かって立つよりも邪魔にはならないはずだ。
それでもスペースがなければ横を向くしかないが、腰の幅くらいに足を開き足の外側に体重を掛けるように立てば安定する。もちろんつり革や手すりにつかまっていることが大前提だ。路線バス車内の混雑状況により使い分けていただきたい。
ドライバー全般にも電車にも応用可能
これらの着座や立ち方、アイテムの使用は一般的なことなので、体に合わせて最も楽で安定したヒトの骨格に反さない正しい姿勢を調整すればよい。
バスに限らないドライバー全般や乗客にしてもバス以外の電車や普段の生活で着座する際の参考になるので、日常生活を健康で快適に過ごす一つの参考にしていただきたい。
投稿 プロトレーナー直伝!! 長時間でも疲れないバスの着座姿勢はお尻の位置がキモだった は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。