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節分の季節恒例のJAIA(日本自動車輸入組合)主催の輸入車試乗会が、大磯プリンスホテルを舞台に開催された。コロナ禍の影響で残念ながら中止となってしまった昨年から早1年。今回開催できたことは多くの関係者のご努力の賜物であり、ますは心から感謝の言葉をおくりたい。今回から数回に分けてレポートをお届けする。存分に楽しんでいただきたい。まず第一回目はメルセデスのSクラスとCクラスのドライビングインプレッションをお届けする。

1982年の第1回開催から数えて今年で記念すべき40周年を迎えた「JAIA輸入車試乗会」、日本自動車輸入組合主催する自動車ならびに一般メディア向けの有名かつ評判の高い毎年恒例となる歴史あるイベントである。
毎年、各メーカーおよびインポーターから50台(!)以上のニューモデルが、大磯に集結、自動車専門誌、自動車関連のTV番組、自動車専門ウェブサイトなど、毎年100媒体前後という、たくさんのメディアによって、抽選で割り当てられたモデルに試乗し、レポートするという、文字通り、一大イベントだ。
ちなみに、我々が取材した当日には、「CG TV」の収録で、松任谷正隆さんも参加しておられた。
今年も、アウディ、アルピナ、BMW、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、VW、アルファロメオ、フィアット、アバルト、ランボルギーニ、ジャガー、ランドローバー、ミニ、シトロエン、DS、プジョー、ルノー、ジープ、キャデラック、シボレー、ボルボなどなど、錚々たるメーカーから、エキサイティングなモデルが66台(!)も集結して、参加したメディアのメンバーをワクワクさせた。
我々、メディア関係者にとっては、年に一度の大きな楽しみでもある。

そんな「第41回JAIA試乗会」会場には、AUTO BILD JAPANのスタッフ6名が全員集結。
有難いことに、さまざまなジャンルの魅力的な輸入車17台を試乗することができた。

今回から数回に分けてレポートする。
まず第一回は、幸運にも乗り比べて見ることのできた、新型「メルセデスSクラス」と新型「メルセデスCクラス」から報告しよう。

メルセデス・ベンツS400d と メルセデス・ベンツC200アヴァンギャルドを直接乗り比べてみる。

今回の試乗の課題は、「新型Cクラスは、Sクラスの何割くらいのメルセデス・ベンツらしさを持っているのだろうか」を検証すること、これにつきる。
瓜二つと言われる相似形の現行の「Cクラス」と「Sクラス」、その中でも今回は快適でラグジュアリーなことに関しては満点と言われる「S400d」が「Sクラス」側の代表を務める。

果たして「S400d」は、旧来からの「Sクラス」が持っている安楽で安心感に溢れ、何も疑うことなく選んで間違えなしの洋食屋のビーフシチューのようにトロットロの極上サルーンであった。
いくつかの操作性(特にシートコントロールは改悪)とタッチ式ディスプレイなどに関してはまだなじみがないこともあり、改善を要すると思われる部分もいくつかあったものの、メルセデス・ベンツという自動車としてはこれぞホンモノ、直球勝負の味付けだった。少なくとも私の考える、まごうかたなきメルセデス・ベンツとはこういうクルマのことである。

蛇足ながら、(重箱の隅をつつくようで申し訳ないが)フードマスコットのスリーポインテッドスターが、シートをどう調節しても上半分しか見えなかった。昔は根元までくっきり見えたものなんだけどなぁ、といちゃもんをつけながら後ろ髪を引かれるように「S400d」から降りた。

メルセデス・ベンツS400d:
トロットロな快適性でありながら、徹底的に安心感を与えながらびしっとまっすぐ走る感覚、これこそ旧来からのメルセデス・ベンツの魅力が詰まった、まごうかたなきメルセデス・ベンツ。あえてケチをつけるならば、シートコントロール類は使いにくく、改悪。(KO)
C200はガジェットを買うとクルマが付いてくる的な21世紀自動車文明のフロントランナー。20世紀で時が止まったままの老害筆者には評価不可能。老害としてひとつ申し上げると、ブレーキペダルのタッチは人生で最も頼りなく、シュトゥットガルト詣でをするほどのメルセデス信者の筆者は目の前が真っ暗に。

さて、そんな「Sクラス」の魅力を3分の2くらいは感じることができるかな、と大いに期待していた試乗した新型「Cクラス」は、なんとなく落ち着かない乗り心地、どうもびしっとしていない直進安定性、なんとなくがさつに響くエンジンなど、本来「メルセデス・ベンツCクラス」が持っていてしかるべき部分に欠けていたという印象が強い。まだ初期モデルで各部の煮詰めが間に合っていなかったのか、あるいはこちらの期待値が高すぎたからなのか、今一つピンとこないまま、Cクラスらしい魅力を今一つ感じないうちに試乗終了時間を迎えてしまった。

Sからすぐに乗り換えたという条件が悪かったからなのか、なんとも厳しいことばかり言ってしまったが、それでも頭の中にある「メルセデス・ベンツCクラス」はもっともっとメルセデス・ベンツ濃度の高いクルマだったはずで、誰もが安心して購入し、安心して乗ることのできる定食屋のハンバーグ定食みたいなクルマだったはずである。
今のままでは「なんだあ、ずいぶん肉の質落として、味も変えちゃったんだね」と思わざるをえない。
本来の「メルセデス・ベンツCクラス」の実力がこんなものではないと私は信じているし、今後必ずメルセデス・ベンツらしい絶え間ざる改良と煮詰めが進めば、今までがそうであったように、熟成された本来の「Cクラス」になると私は信じている。しばらく間をおいてから、再度じっくりと試乗してみたい。
ということで、現在のところ「C200アヴァンギャルド」は「S400d」の(ちょっとおまけして)半分くらいの感じであるというのがこの日の本音だった。(大林晃平)

メルセデス・ベンツC200アヴァンギャルド:
メルセデスからの新時代の自動車提案だが、ハイテクが進化しすぎてガソリン車なのに電気自動車のよう。操作系が独自すぎて初見殺し。
初期モノ故の煮詰め不足だったのか、イイモノ感も「Cクラス」が本来持っているはずの良さもあまり感じず。価格を考えると洗練さの欠如などに割高感を感じてしまう。これから他のメルセデスと同じように年々改良され、やっぱりメルセデス・ベンツはCかEかSこそ本物のセダン、と言われる日を待ちたい。(KO)

以下に数台、短いコメントとともに、今回試乗したモデルをご紹介!

アルファロメオ ジュリア ジュリア2.0ターボ ヴェローチェ

ネオクラ車が欲しいけど買えない皆さんに朗報。新車で買えて壊れなくてパーツ供給の心配のない生けるネオクラ車がジュリアなのです。1990年代までの黄金期のヨーロッパ車の乗り味を2010年代の技術で再現。良いとこ取りの一台。街中から箱根までとっても運転が楽しくて幸せです。
これぞ正統派スポーツセダン。踏んで気持ちよし、踏まなくてもよし。車内のクオリティも高く、コスパもよし。

アルピナB3ツーリング オールラッド

いつの間にか「モノのわかった紳士の嗜好品」という立ち位置になったアルピナ。別に間違っちゃいないけど、紳士はアクセルひと踏みで道交法違反になるハイパワー車には乗らない。上辺は紳士、その実は狂気。シャシーの良さは十分にわかりつつ、やはり印象的なのはエンジンだったB3なのです。(KH)
街乗りはウルトラスムーズ、一度深く踏み込むと暴力的な加速。これぞ万能スポーツ紳士ジ・アルピナ。直6、3リッタービターボは官能的。

テスラ モデル3

今までの自動車とは違う価値観で乗るべきクルマ。スイッチ類を極限まで減らすという考え方は否定しないものの、すべてを一枚のディスプレイに集約するというのは「走る機械」としてどうかと思ってしまうのも事実。個人的には残念ながら最後まで様々な部分で想い相容れず。(KO)

ランボルギーニ ウラカン、新型ゴルフ、新型エスカレード、などなど、まだまだ続きますよー。次回をお楽しみに!

Text: 大林晃平(KO) / 日比谷一雄(KH) / AUTO BILD JAPAN(アウトビルトジャパン)
Photo: 中井裕美 / 日比谷一雄 / 大林晃平 / AUTO BILD JAPAN