ホンダは3月21日、ホンダおよびアキュラブランドで販売される量産車両、およびIMSAやインディカーなどのレース車両の開発テストを目的に、およそ1億2400万ドル(約152億円)をかけて新たな風洞施設『ホンダ・オートモーティブ・ラボラトリーズ・オブ・オハイオ(HALO)』をアメリカ・オハイオ州に開設し、運用をスタートさせた。
オハイオ州中央部の自動車試験場トランスポーテーション・リサーチ・センター(TRC)内に開設されたHALOは、空力、空力音響、レース車両の評価という3つの独立した最先端の試験機能を備えた風洞施設だ。
ホンダのEVおよび低燃費車両の開発を強化する一環として開設された風洞だが、独自の交換可能なモジュラー・グランド・プレーン・システムを採用したことで、量産車両用に設計された5ベルト仕様のローリング・ロード・システムと、高性能スポーツカーとレース車両をテストする1ベルト仕様のワイドベルト・システムの双方を備えた。これにより、量産車両だけではなく高性能スポーツカーやレース車両の空力テストも可能となった。メインファンは直径8mを誇り、最大で310km/hの風速試験が可能だ。
![ワイドベルト・システムを使用したインディカーシリーズ『ダラーラDW12』の試験風景](https://cdn-image.as-web.jp/2022/04/06165331/asimg_IndyCar-Aerodynamics-Testing-Side-Profile_7a624d46fb6992d-660x440.jpg)
![ホンダの新たな風洞『ホンダ・オートモーティブ・ラボラトリーズ・オブ・オハイオ』(HALO)』のメインファン](https://cdn-image.as-web.jp/2022/04/06165333/asimg_HALO-Wind-Tunnel-Main-Fan-with-Associate_97624d46fcba2d1-660x440.jpg)
また、502個の外部指向性マイクとカメラ、キャビン内の54個のマイクで構成される音響アレイシステムにより、風洞試験中もリアルタイムに音響データの測定・収集が可能だ。エンジン音や排気音のないEV車両の場合、キャビン内では風切り音が目立つため、EV化が進む量産車両の設計において騒音低減は重要な要素となる。この音響アレイシステム導入により、キャビン内部、そして外部の騒音箇所を正確かつ迅速に特定できるようになったとのことだ。
ホンダは、HALOの空力試験機能について、「将来販売されるホンダのEV車の航続距離と性能を向上に寄与し、アメリカでもっとも燃料効率が高く、CO2排出量がもっとも少ないフルライン自動車メーカーとしての地位を継続的に前進させる取り組みをサポートします」としている。
![5ベルト仕様のローリング・ロード・システムによる量産車両の試験風景](https://cdn-image.as-web.jp/2022/04/06165334/asimg_Acura-MDX-Type-S-Aerodynamics-Testing_e8624d46fe0a0ef-660x440.jpg)
![502個の外部指向性マイクとカメラで構成された音響アレイシステムによる空力音響試験](https://cdn-image.as-web.jp/2022/04/06165335/asimg_Honda-CR-V-Hybrid-Aeroacoustics-Testing-Rear_80624d46ff98c1f-660x440.jpg)