創設2年目を迎える南半球のTCRリージョン選手権、TCRサウスアメリカ・シリーズが開幕。4月2~3日の週末にブラジル・ヴェロチッタで開催されたオープニングイベントでは、元インディカー経験者のアナ・ベアトリスことビア・フィゲレイドもデビューを果たし、コブラ・レーシング・チームのアウディRS3 LMSでの今季フル参戦が決定するなど、全18台のエントラントが集った。
その予選から強さを披露したのが、昨季使用したホンダよりクプラへのスイッチを決めたW2プロGPで、最前列スタートを切ったラファエル・レイス(クプラ・レオン・コンペティションTCR)がレース1でポール・トゥ・ウインを達成。続くリバースグリッドのレース2では混乱に次ぐ混乱を経て、PMOモータースポーツのリンク&コー03 TCR艦隊、ファブリツィオ・ペッツィーニとホセ-マヌエル・サパーグがワン・ツーフィニッシュを決めている。
北米を中心にシングルシーターのトップカテゴリーを経験したのち、地元ブラジルに帰還しSCBストックカー・ブラジルにも挑戦したアナ“ビア”フィゲレイドは、2021年もIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を含む複数のGTカテゴリーに参戦。このオフにはコブラ・レーシングの計らいにより、自身初のFFツーリングカーをテストする機会にも恵まれた。
「こうしてTCRにチャレンジすることができて光栄だわ。これは私にとっても2年ぶりの完全なチャンピオンシップシーズンであり、フル参戦の機会を与えてくれたコブラ・レーシングには心から感謝している。彼らと一緒に戦うことができてうれしい」と、意気込みを語った現在37歳のビア・フィゲレイド。
「生涯を通じてつねに親密な関係にあるブランド、アウディをドライブできることもうれしく思う。まずはこのクルマと仲良くなることを考えなくちゃね!」
昨季より残留のアダルベルト・バプティスタに加え、新人のギリェルメ・ライシュルとの3台体制となったアウディ陣営は、予選から“ルーキー”のフィゲレイドが先行。ポールタイムから1.044遅れの7番手グリッドを獲得し、チーム内で最上位のグリッドを持ち帰った。
日曜現地午前9時を回ったところで開始された今季最初のヒートは、早くもクプラを手懐けたレイスが独走。4番手発進からフロントロウ2番手のファン-アンヘル・ロッソ(スクアドラ・マルティーノ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)を出し抜いたペッツィーニがともに2番手争いに集中するなか、約5秒のマージンを築いた首位レイスが15周を走破し、2022年最初の勝利を手にした。
■リバースグリッド採用のレース2は波乱の展開に
続いて予選トップ10リバース採用のレース2は、スタート直後から波乱続出の展開となる。リバースポールのファビオ・カサグランデ(スクアドラ・マルティーノ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)と並び、フロントロウ2番グリッドに着いたフランコ・ファリーナ(PMOモータースポーツ/プジョー308 TCR)だったが、彼のマシンは技術的トラブルに見舞われ、立ち往生していることをレースディレクターに知らせるためスタート直前にドアを開け合図を送った。
しかし直後にシグナルのライトが消えると、スタートが中断されると信じて多くのクルマが静止したままのなか、レイス、ロッソ、サパーグの3台が絡む接触事故が発生。これによりロッソがリタイアを余儀なくされ、ここでセーフティカー(SC)が出動することに。
2周後に再開されたレースだったが、その直後にふたたび3台が絡むアクシデントが起き、今度はレイスの僚友アントニオ・ジュンケイラ(W2プロGP/クプラ・レオン・コンペティションTCR)がコース上にスタック。ここで車両撤去のため、ふたたびのSC導入となる。
これで時間を消費し、レース時間残り6分のところでリスタートが切られると、首位を行くパブロ・オテロ(PMOモータースポーツ/プジョー308 TCR)を、同チームのリンク&コー艦隊が立て続けにオーバーテイク。ペッツィーニ、サパーグ、そしてプジョーのオテロと、PMOがポディウム占拠のオーダーを作り上げる。
しかしレース後に「SCピリオド中の追い抜き行為」が発覚した3番手オテロは20秒加算ペナルティを課され、4位フィニッシュだった前戦勝者レイスが繰り上げの3位となり、スタンディング上でも2位ペッツィーニに対し7点リードの貴重な追加点を稼ぐ結果となった。
混乱に次ぐ混乱のまま終わった週末ファイナルヒートだが、注目のビア・フィゲレイドは初戦でチーム最上位の9位フィニッシュを達成も、レース2はトップ10圏外に沈むことに。続くTCRサウスアメリカ第2戦は、4月30日~5月1日に同じくブラジルのインテルラゴスで開催される。