もっと詳しく

国際協力機構(JICA)は3日、2040年に政府が目指す経済成長率を達成するには、現在の約4倍の外国人労働者が必要との試算を公表した。現状の受け入れ方式のままでは42万人が不足するという。

Omar Osman /iStock

4日付の朝日新聞が試算を報じると、ネット上では外国人労働者を受け入れる前に、ほかの手段で労働力を確保するべきという意見が目立った。

その前に、専業主婦を戦力化しませんか?

愚策。外国人に頼って反対に国が衰退する。他の手を考えて欲しい。

この30年、外国人労働者を入れて経済成長できたのかよ

その一方で、すでに日本は外国人労働者から選ばれる国ではなくなっているという意見も少なくない。

必要なら呼べると思っているあたりがもう…。タイやインドネシアからはもう期待できない。

もう日本に来てくれる外国人なんかどこにもいないよ

外国人がじゃなくて安月給で働く奴隷がだろ?

「姫川玲子シリーズ」で知られる小説家の誉田哲也氏は、次のようにツイートし持論を展開していた。

「何の根拠もない全くのデタラメ」とまでは言わないが、「政府シナリオ(GDP目標)を達成するために必要」というのであれば、それは外国人受入れをしたくて仕方ない特定層の願望と言わざるを得ない。親中企業、親中政治家とか。なぜなら、GDPの停滞は労働者不足ではないから。

民族的マイノリティの人権団体「多民族共生人権教育センター」の公式アカウントは、この目標を達成するためには、「給与・待遇を含めた日本の労働環境そのものの向上が不可欠です」と強調する。

4年間で45万人以上増加

企業の外国人採用ニーズは年々高まっている。厚生労働省がまとめた外国人雇用状況によると、2008年に486万人だった外国人労働者数は2019年には約166万人に、2021年10月末時点では、約173万人まで増えている。ここ数年の増加率は特に大きく、2017年から2021年までの4年間で45万人以上増えている。

背景には、2019年4月に新設された特定技能制度の存在がある。「特定技能」は、出入国在留管理庁が人手不足の深刻な業種で定めている外国人の在留資格。介護やビルクリーニング、産業機械製造、建設、自動車整備、農業、飲食料品製造など14の分野で外国人の在留資格が認められている。

現在の制度では、外国人労働者に上限5年までの在留資格を認めているが、昨年、日本経済新聞のスクープにより政府が5年の上限を撤廃する方向で検討していることが明らかになった。

FTiare /iStock

煮えきれない政府に経済団体の直言も

日本では、移民政策は存在しないと言われ続けている。しかし、前出の日経の報道によれば、新たな特定技能制度は、就労期限の更新が無期限で、家族の帯同も可能ということだ。これは、事実上の移民政策とも言ってもいい。事実上の移民政策をとっていながら、政府は正面から移民政策を議論することには及び腰だ。

そんな煮え切らない態度の政府に、新経済連盟(代表理事:三木谷浩史・楽天グループ会長兼社長)は、2019年に移民受入れに関する提言を政府宛に提出している。提言では、「日本は実質的に移民受入れ拡大に舵を切りながら、「移民政策」が存在しないため、在留資格制度・社会統合政策などに様々な歪み」と現状の政策の問題点を指摘。そのうえで、「「移民基本法」を制定し、客観性・透明性を伴った戦略的な受入れ・社会統合の枠組みを構築すべき」と主張している。

提言は、「「移民」については、その位置付けも含め、引き続き検討すべき将来的な課題として丁寧な議論を重ねていくことが重要である」と締めくくられている。なし崩し的な移民政策をとるのではなく、新経連の提言するように、丁寧な議論の上で客観性・透明性を伴った戦略的な受入れ・社会統合の枠組みを構築すべきだろう。そのことなしには、2040年に政府が目指す経済成長率や、それを達成するために必要な外交人労働者の数など、絵に描いた餅でしかない。