もっと詳しく

Discord(ディスコード)は先週、最大規模のコミュニティでいくつかの新機能のテストを開始した。この音声ソーシャル / チャットのプラットフォームは、ゲーマー同士をオンラインプレイ上で結びつけることから始まったが、現在はカスタム絵文字、ライブイベント、トピックチャンネル、その他あらゆることが可能になる多数のサードパーティ製プラグインなどを備え、活況あるオンラインコミュニティを構築するための主要な手段の1つに成長している。

関連記事:Discordが新機能を発表、音声イベントのポータルとなる「Stage Discovery」機能や有料チケット制の導入など

サーバーが成長すると物事が扱いにくくなることを、同社は認識している。Discordで最も人気のあるコミュニティの中には、常に数十万人が同時に接続しているものもある(大ヒットした中国のRPG「原神」の公式サーバーは、記事執筆時点で30万人以上が利用しているが、これはほんの一例だ)。

Discordサーバーは、リアルタイムの掲示板フォーラムのようなものだが、人々が会話に参加したり離れたりするのではなく、大量の人々が一度にライブでチャットしている。小規模なコミュニティでは、これは非常にうまく機能しており、容易に会話を把握していられるが、サーバーの規模が大きくなると(時には非常に大きくなり過ぎる)、多くが混乱の中に失われてしまう。

大規模なDiscordサーバーに初めて参加する場合や、会話から一度離れてしまった場合、どのようにして追いつけばいいのかと考えて途方に暮れることがある。ほとんどの大規模サーバーでは、新たに参加するメンバーのための入門チャンネルや、関連する各々の会話に人々を導くためのトピック別チャンネルを用意しているが、大規模で完璧なソリューションはない。そこで、Discordはすべてをスムーズに進めるために、先週から一部の大規模サーバーで、3つの実験的な機能を試している

1つ目の新機能は「より整理された会話」のためのハブとして、サーバーにフォーラムのようなチャンネルを提供する。これは、Reddit(レディット)と同じように、この特別なチャンネルに非同期的に出入りして、会話の内容を見逃さないようにできるというものだ。また、古いコンテンツであっても、今でも関連性のあるものは表面化させ、進行中のスレッドに人々をループさせることで、時間の経過とともに会話のトピックを発展させることができる。

Discordがテストしているフォーラムのような新機能(画像クレジット:Discord)

フォーラムとは別に、Discordでは新しいホームページスタイルの機能もテストされている。この2つ目の新機能は、ホットなトピックを集めて、その時々のサーバーに関連するタイムリーなコンテンツを、TL;DR型の要約として提供する。今でも、多くのサーバーでは専用のニュースチャンネルを使用して似たような機能を達成しているが、それらのスペースはあまり活動的ではなく、重大な発表を強調する以上のことを提供していない場合が多い。

そして3つ目。Discordはモデレーションの面において、新しい自動化ツールをテストしている。これは、コミュニティがサードパーティのモデレーションツールで得ている機能の一部を、自社で提供するというものになる。具体的な内容はまだ明らかにされていないが、Discordで最も人気の高いモデレーションボットには、新しいユーザーを歓迎するプロセスを自動化したり、不品行をスキャンしたり、さらにはルールを破った人を追い出したりするものもある。ちなみに、プレミアムサードパーティ製Discordボットの中でも最も人気のあるMee6(ミーシックス)は、11月にDiscordが足を踏み入れたNFT(非代替性トークン)に対する反発を、現在自ら味わっているところだ。

Discordは2021年7月、オンライン上における暴言や嫌がらせを検知するAIソフトウェアを作っているSentropy(セントロフィ)という会社を買収した。この買収は、自社の自動モデレーション機能を強化すると思われていたが、今回テストされる新機能がこの買収から生まれたものかどうかは、確認されていない。

これらの実験的な機能は、今のところクローズドベータでしか利用できず、Discordはいくつかの大規模なサーバーを使ってテストを行っている。テストに参加したコミュニティは、必ずしも即座にすべての実験的な機能が有効になるわけではない。Discordは、新しいツールがさまざまなサーバーで、どのようにニーズを満たすことができるかを見ているからだ。

今回の実験的な機能の導入は、今後の展開のほんの一例に過ぎないかもしれない。とはいえ、Discordは他に何をしようとしているのか、ヒントを見せていない。同社は最大級のアクティブなオンラインコミュニティを擁しており、それらのサーバーの成長に合わせて、より便利な機能を提供するように、賢明に進化している。

Discordのグループ・プロダクト・マネージャーを務めるRick Ling(リック・リン)氏は、TechCrunchに次のように語っている。「私たちはDiscordを成長する地域のように考えています。小さな友人グループから、数千から数十万人のメンバーがいる音楽、ゲーム、教育のコミュニティまで、Discordをホームとするコミュニティのすべての形と規模に合わせて、設計しなければなりません」。

「私たちは、管理者やモデレーター、そしてコミュニティのメンバーたちが、自分たちのスペースを自分たちだけのものにできるようにすることを、非常に大事に思っています。彼らが集まり、居場所を見つけられるようなツールや機能への投資を続けていきます」。

画像クレジット:Tiffany Hagler-Geard/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)