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新型軽EVが「生」で幕張メッセに登場!! マジでこのまま発売!! 三菱&日産軽EVの実力と可能性

 日産が「2022年度初頭に発売」としている、軽サイズのバッテリーEV。この三菱版にあたると思われる軽EVコンセプトカー「K-EV concept X Style」が、先日開催された東京オートサロン2022で展示されていた。

 驚いたのは、専用エクステリアが与えられるとされている日産版とは違い、K-EV concept X Styleは、現在市販されている「eKクロス」と同じエクステリアだったこと。三菱版軽EVには、専用エクステリアが与えられないのか!?

文:吉川賢一
写真:MITSUBISHI、NISSAN、エムスリ―プロダクション

【画像ギャラリー】東京オートサロン2022で展示された三菱「K-EV concept X Style」と東京モーターショー2019で登場した日産「IMk」、かつて販売されていた三菱の軽EV「i-MiEV」(30枚)画像ギャラリー

市販版も、eKクロスのエクステリアで登場か

 三菱と日産の合弁会社「NMKV」で企画開発が進められてきた、軽規格のバッテリーEVは、駆動用バッテリーの総電力量が20kWhと、日産リーフ(40kWh)の約半分のサイズとなったが、軽サイズの軽いボディのおかげで、日常での走行に充分な容量を確保。また、万が一の停電の際には、蓄えた電力をV2H機器を介して家庭へ供給するという、非常用電源としても活用できる。

 最新の運転支援機能やコネクティッド機能ももちろん備わり、価格は、実質200万円からとなる見込みだという。

 今回の東京オートサロン2022で登場した「K-EV concept X Style」のエクステリアデザインは、細かいところでは、マットブルーとカッパーの2トーンの専用カラーや、フロントのメッシュグリルの穴のスムーズ化、フロントバンパーのフォグランプ形状や、フロントフェンダーの「EV」専用ロゴ、新意匠のホイールなど、eKクロスとの違いは何か所かあるが、それ以外はほぼ同じ。

 この点について、三菱自動車商品戦略本部CPSチーム商品企画担当マネージャーの佐藤大介氏に尋ねたところ、「(軽EVを)このままの姿で出すのかは、この場ではお答えできませんが、三菱では軽EVを特別視せずに、人気のスタイリングでお客様へ提供することが重要と考えています。」とのこと。

 フロントグリルのカラーを変えるなどはあり得るだろうが、日産の軽EVとは違い、三菱の軽EVはどうやらこのままで登場するようだ。車名は、「eK X(クロス) MiEV」になると予測しておこう。

 日産版の軽EVには一部で「サクラ」という車名が与えられるのではないか、と報じられているが、正式なアナウンスはまだ。これについても新情報が入り次第、続報をお知らせする。

駆動用バッテリーの総電力量は20kWh、日産リーフ(40kWh)の約半分のサイズだが、軽サイズの軽いボディのおかげで、日常での走行に充分な容量を確保している

 インテリアに関しては、ウィンドウに濃いスモークが貼られており確認することができなかったが、バッテリーEV専用のメーター表示計に交換されるだろう。eKクロスやeKクロススペースではメーカーオプションだった三菱版のプロパイロット「マイパイロット(MI-PILOT)」や、オートホールド付電動PKBが標準搭載となるのかも注目したいポイント。

 日産版はというと、東京モーターショー2019で登場した、日産の軽EVのコンセプトカー「IMk」のインテリアは、タッチパネル付の2スポークステアリングホイールや、ファブリック調のインパネ表面素材、メーターやインフォテイメントモニターはダッシュボードに埋め込まれているなど特徴的だったが、市販型でどこまで再現できるのかは大いに期待したいところだ。

2019年東京モーターショーで登場した日産のコンセプトカー「IMk」のインテリア。スイッチ類を無くし、ファブリック調のインパネ表面素材にして、メーターやインフォテイメントモニターはダッシュボードに埋め込むなど、先進的だった。市販型ではどこまで再現できるのだろうか

バッテリー容量は「軽の使い方」を考慮して

 「K-EV concept X Style」の駆動用バッテリーは、フロントシートの下側から、本来燃料タンクがある付近まで積載されていた。リーフの半分となるこの駆動用バッテリーでの航続距離は、リーフの航続可能距離がカタログ値で322km(WLTCモード)であることと、軽自動車という軽い車重を考慮すれば、180~200km程度(カタログ値)になるはずだ。

 この航続可能距離について、三菱自動車国内営業本部 車種第一グループ マネージャーの吉川省吾氏に伺ったところ、「軽EVの満充電での航続可能距離に関しては、現時点ではお答えできないが、軽自動車ユーザーのクルマの利用実態は、日々の足グルマとして、往復数km以内の買い物や病院、役所、友人宅を行き来するような使い方がとても多いです。

 都心から離れた郊外となると、軽自動車はセカンドカー、サードカーとなり、ミニバンなどの大きめの乗用車をファーストカーとして持っており、遠出はそうしたクルマで移動します。軽EVでは、ユーザーの使い方を加味した適切なバッテリー容量に設定し、適切なコスト、電費となるよう、詳細に設定しております。」とのことだ。

 三菱としては、長距離を移動する場合には、クルマの製造段階から含めたCO2発生量が、バッテリーEVよりも抑えられるプラグインハイブリッドが適しており、その答えの例として、「アウトランダーPHEV」を用意しているという。

 筆者も、全車種バッテリーEV化がカーボンニュートラル実現のための唯一の答えではないと考えている。近距離移動に使われる軽はバッテリーEVに、長距離も移動する場合には燃費の良いクリーンディーゼルやストロングハイブリッド(プラグイン含む)と、使い分けるのが解だと思う。この点に関しては、非常に安心した。

充電コネクタは、これまで給油口だったところを改造している

中身は同じ軽EV、違うのは戦略か!? コストの問題か!?

 日産は、業績不振や不祥事といったよくないイメージから脱却するため、目下、ブランドイメージの回復に取組中だ。ブランドアイコンを変更し、長らく続けてきたVモーショングリルから、アリアやノート、ノートオーラ共通の新グリル形状や、日本向けキャラバンや、ナバラ、フロンティアといった海外向け日産車が採用し始めたインターロックグリルへとフェイスチェンジを行い、「企業イメージの刷新」を印象付けている。

 三菱はというと、デリカD:5を筆頭に、ひと目見てすぐに三菱車だと分かるよう、ダイナミックシールドコンセプトに基づくブランドフェイスを増産中だ。アウトランダーPHEV、エクリプスクロスPHEV、ミラージュ、eKクロスなど、直ぐに分かるファミリーフェイスで、統一している。

 今回の軽EVも、ダイナミックシールドコンセプトに基づく新しいフェイスを用意しようと思えばできたのだろうが、前出の佐藤氏がいうとおり軽EVを特別視せず、eKクロスのパワートレイン違いといった感覚で提供しよう、と考えたのだろう。

 ただ、「軽EV」という新しい乗り物(i-MiEVという開拓者はいたが)をいち早く手に入れたいと思うアーリーアダプターにはどちらが刺さるか、と考えると、筆者としてはやや不安に感じてしまう。販売台数が見込める日産とは違い、コストが見合わなかったのかもしれないが、チャレンジを見てみたかった。2022年4月、新たな軽EVが登場する日本市場、非常に楽しみだ。

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