日本で買えるアンダー400万円のスポーツモデルは少なそうに感じるかもしれないが、それはクーペ系の話で、広い意味でスポーツできるモデルはたくさんある。
本企画では前後編合わせて8人の自動車評論家にそのなかから日本車10台、輸入車3台を選んでもらった。今回はそれを集計した結果浮かび上がった31台の精鋭たちをご紹介。
順位付けなどではなく、魅力的なモデルはすべて登場させる方向で展開。意外なモデルも選ばれているぞ!!
※本稿は2021年12月のものです。価格帯に(※)がついているものは、400万円オーバーのグレードが存在することを示しています。またRAV4 PHV、リーフe+は、補助金を含んでアンダー400万円としています。
文/国沢光宏、岡本幸一郎、松田秀士、斎藤 聡、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年1月26日号
■国沢光宏氏のオススメ13台
・GRヤリス
・GR86
・RAV4
・リーフe+
・エクリプスクロスPHEV
・ロードスターRF
・インプレッサSTIスポーツ
・BRZ
・フォレスタースポーツ
・スイフトスポーツ
・MINIクーパーS
・プジョー208
・ルーテシア
●GRヤリス
トヨタがEV普及に向けホンキで動き出した。我が国における2030年代のエンジン搭載車全廃は確実な流れになったと考えていいだろう。EVになったらマニュアルミッションってあり得ないです。
そしてWRCも2〜3年後から変革に向けて動き出すハズ。たぶんGRヤリスの生涯生産台数は5万台を大きく超えない。ならばエンジン好きには最後の宝物。遠からず出ると言われる進化型が出たら真剣に購入を検討すべき。
●リーフ
電気自動車の本格的な普及までにもう少し時間がかかる。それまでの繋ぎにいかが?e+なら航続距離の不満なし! 東京都など環境問題に前向きなら国の補助金80万円に加え60万円出るから実質140万円引き。
しかもアリアの登場で値下げするというウワサも。クルマとしても楽しい。なんたってサスペンションとタイヤ替えただけで筑波1分10秒台のホットハッチですから。300万円くらいで買えるならオススメです。
●フォレスタースポーツ
質実剛健なSUVを考えている人は、ここにきて値引きも拡大中のフォレスタースポーツなど面白いかもしれない。パワーユニットに電気デバイスを使っていないため、その気になれば2050年のガソリン販売停止まで乗れる。
スバル車、20年以上乗っている人が少なくないですから。特に年間走行距離が少ないとか、雪国に住んでいるというなら頼もしい相棒になってくれるんじゃなかろうか。
●RAV4
国沢光宏イチオシのクルマです。筆頭はPHV。国の補助金50万円。東京都だとさらに60万円! どんなSUVを買うよりお得だと思う。もはや絶版車になってしまったボルボXC60のディーゼルを手放せないため乗り換えないけれど、そうじゃなければ飛びついている。
家に充電インフラがない場合、追加されたばかりのハイブリッドのアドベンチャーがステキ。車高少し上げ、オフロードタイヤを履くと自然災害に強いクルマになります。
●ルーテシア
欧州市場ではゴルフとベストセラーカー争いをしているほど売れている。日本だと理解できないだろうけれどルーテシア(欧州名クリオ)はモータースポーツのベース車両として使われており、しかも高いポテンシャルを持つ。
WRCの下のクラスだと「勝つならクリオ」といったイメージ。スポーツパーツもたくさん出ている。デーモントゥイークスなど海外通販サイトでパーツ買って楽しむなんていかがか?
■岡本幸一郎氏のオススメ13台
・GRヤリス
・GR86
・ノートオーラNISMO
・シビック
・エクリプスクロスPHEV
・ロードスター
・マツダ3ファストバック
・BRZ
・スイフトスポーツ
・コペンGRスポーツ
・MINIクーパーS
・ゴルフ
・アバルト595
●マツダ3ファストバック
Cセグのスポーティなハッチバックが日本にもいくつかあるなかから、どれを選んでもよかったが、「スポーティ」というキーワードに則して、最もスタイリッシュな車種を選んだ次第です(笑)。
実際にドライブフィールもなかなかスポーティで楽しい。最新版のSKYACTIV-Xは官能性能も高まっているし、他社にはないGVCによる意のままのハンドリングを楽しめるのも強みだ。
●スイフトスポーツ
この価格でこの走りを実現したのはたいしたもの! とにかく興味があるなら乗ってみてほしい。パワフルなエンジンにキビキビとしたハンドリングで、ひとたび乗ってしまえば誰しも虜になるはずだ。
1.4Lターボエンジンは低回転からグイグイひっぱるタイプで、力強さを直感させる味付け。シャシー性能も高くて、思いっきり振り回して楽しめる。こんなクルマが約200万円で買えるとは、なんてシアワセなことか!
●コペンGR SPORT
コペンといえばアクティブトップが最大の魅力。2シーターオープンだが、とっつきやすいキャラがイイ。なかでもGRスポーツのしなやかさを極めた走りはなかなか妙味。
同じくスポーティさを訴求するS系のハードな乗り味とは対照的で、派手なエアロは空力面に寄与していて、より高い次元のグリップ感と一体感を味わえる、文字どおり『意のまま』の走りを実現していることに感心した。
●ゴルフ eTSI
基本は実用車だけど、走りの実力は侮れない。シャシー性能が極めて高くて、タイヤが常に路面をしっかり捉えているので高速コーナーでも安心して踏める。48VのMHEVを組み合わせたパワートレーンの力強い走りも好印象だ。
なかでも見た目だけでなく足回りも専用でステアリングもクイックなRラインの走りが、スポーティさという意味ではとくに美味しいぞ。
■松田秀士氏のオススメ13台
・GRヤリス
・GR86
・リーフe+
・ノートオーラNISMO
・シビック
・ロードスター
・ロードスターRF
・レヴォーグ
・BRZ
・スイフトスポーツ
・218i
・メガーヌ
・アバルト595
●GR86
エンジンの2.4L化によって実用域のトルクがアップ。これによってコーナリングの終盤におけるアクセルONでの蹴飛ばし、リアトラクションのコントロール性が格段に向上した。
また、新型レヴォーグで培ったインナーフレーム構造の手法を取り入れ、ボディサイドのアウターパネルを後付けとすることでスポット溶接の箇所を拡大。さらに構造用接着剤を全長16mほど塗布し溶接部の密着性を高めている。
これらによってフロントストラット軸曲げ剛性が60%、車体のねじれ剛性が50%向上している。実際、コーナリング中も含めて荒れた路面を通過した時などリニアに路面情報を感じ取れる。プラットフォームは継承だが明らかにボディの塊感が増している。
●ノートオーラNISMO
専用パーツでかためられたエクステリアが嬉しい。これによってオーバーハングが前30mm/後5mm延び全長は+80mmの4125mm。全幅はオーラと変わらず、20mmのローダウンによって全高は−20mm減の1505mmとなった。
前後オーバーハングの延長はテコの原理によって、それぞれのタイヤにかかるダウンフォースを増強する。よって高速走行での安定感が増す。
さらにサスペンションの動きがベースのオーラよりも逆にスムーズ。NISMOは足が硬いという先入観が裏切られ、乗り心地もいい。硬けりゃいい、わけがないことを証明している。ドライブモードのECOがオーラのSPORTモード。やはりアクセルレスポンスを重要視している。
●ロードスター
スポーツモデルとしてはローパワーの1.5Lエンジン。そのトルクにギリギリの6速MT。これで軽量化できる。フロントWウィッシュボーン/リアマルチリンクでストロークのあるサス。ステアリングシステム前引きタイロッド。コンパクトでありながら本格派のハンドリングを持つ。
■斎藤 聡氏のオススメ13台
・GRヤリス
・GR86
・RAV4
・マーチNISMO
・エクリプスクロスPHEV
・ロードスター
・ロードスターRF
・BRZ
・スイフトスポーツ
・ジムニー
・トゥインゴ
・メガーヌ
・アバルト595
●マーチNISMO
コンパクトなボディに専用チューンの足回り、さらにハイグリップタイヤ=ポテンザRE-11を装備するマーチNISMO。これだけでも軽量ボディを利してきびきびした刺激的な走りが楽しめます。
マーチNISMO Sはさらに過激。強化サスペンションとハイグリップタイヤ=ポテンザは同様。これに加えて専用チューン(ECU)を施したHR15DEDエンジンに換装。116ps/15.9kgmは文句なしにパワフルです。
ボディ補強、専用スポーツシートなど、NISMOパーツも満載。ホットハッチの面白さが存分に味わえる一台です。
●ロードスターRF
クローズドのスポーツクーペ、オープンエアスポーツの2つの顔を持つロードスターがRF。2018年の年次改良でエンジンに大幅に手が入り速さと気持ちよさが増しました。
重心が低く軽量機敏なピュアスポーツのロードスターに対して、RFはメタルルーフを採用しているので重心が高め。機敏な走りは得意としません。しなやかな足回りを持っていてしっとりした走り味が身上のRFは、今どのタイヤにどのくらい荷重がかかっているかが手に取るようにわかります。
まるで体がクルマの一部になったかのような一体感が得られます。遮音性の高さはクローズドクーペ並み、雨の日の快適にドライブできるのもRFの魅力です。
●BRZ
2代目となったBRZは、プラットフォームを一新し、サスペンションにこだわり、より完成度の高いFRスポーツクーペとして登場しました。ポイントになるのは、2.4Lに拡大されたエンジンです。
もちろん速くもなっているのですが、速さよりもよりトルクフルなエンジンを搭載したことで得られるコントロール性が狙いなのだと思います。
実際アクセルオンオフによるクルマの姿勢コントロールがやりやすく、クルマを操っているという実感を強く感じることができます。
●メガーヌ
メガーヌR.S.にばかり注目が集まりがちですが、メガーヌINTENSの落ち着きのあるスポーティ感は魅力的です。低回転からフワッと開くようにトルクが盛り上がり軽々とクルマを加速。
足回りはルノーの特徴のひとつで、スポーツから街乗りまでひとつのセッティングでカバーする懐の深さが持ち味です。INTENSはしっとりしたどちらかと言えばおとなし目の味付けですが、いざ走らせると懐が深くスポーティな走りにも応えてくれます。快適とスポーツを上手にバランスさせたクルマです。
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