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昨年、フェイスブックから社名を変更した米メタ・プラットフォームズの株価が3日(アメリカ時間)、急落。株価の下落率は26%にも上り、時価総額にして2400億ドル(約26兆6000億円)近くを1日にして失った。ブルームバーグによると、1日の時価総額の減少額としては米国企業で過去最大。

今回、メタが失った資産は、日本企業でたとえれば時価総額ランキング3位のキーエンス(時価総額約14兆4000億円)と4位のNTT(時価総額約12兆1000億円)の2社が1日で吹き飛んでしまうほどの金額だ。

Fritz Jorgensen /iStock

メタの一人負け

2日に発表された2021年の第4四半期(2021年12月31日締め)の決算が減益だったことを受けて、メタ株が売り込まれた。発表によると、メタの売上高は前年同期比20%増の337億ドル(約3兆8,700億円)、純利益は8%減の102億8500万ドル(約1兆2000億円)だった。同社が力を入れる、仮想現実・拡張現実部門は営業赤字が拡大した。同社は、アップルのプライバシー規約変更や競争激化を減益の理由に挙げている。

今週は、メタのほかに、アルファベット(Google)、アマゾンも第4四半期の決算を発表している。アルファベットの売上高は32%増の753億(約8兆6500億円)ドルで、3四半期連続で過去最高を更新した。アマゾンの売上高は前年同期の1256億ドル(約14兆4300億円)から1374億ドル(約15兆7800億)に、利益は72億(約8270億円)ドルから143億ドル(1兆6400億円)に拡大している。

マイクロソフトは先月25日に、2022年の第2四半期している。売上高は前年同期比20%増の517億(5兆4900億円)ドル、純利益は21%増の188億ドル(約2兆1600億円)だった。アップルは先月27日に2022年の第1四半期決算を発表。売上高が前年同期比11%増の1239億4500万ドル(約14兆2800億円)、純利益は20%増の346億3000万ドル(約3兆9900億円)だった。

いずれの会社も増収増益で、決算発表後には株価は上昇した。つまり、いわゆる「GAFAM」(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)の枠組みの中では、メタだけが一人負けの格好となっているのだ。

ザッカーバーグ氏の求心力も低下

ザッカーバーグ氏(Anthony Quintano / Wikimedia CC BY 2.0)

こうした状況を受け、メタ株の保有者と見られるユーザーを中心に、ネットでは同社創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏の責任を問う声が目立った。

実はザッカーバーグ氏は、これまでに幾度となく社外から交代を要求されている。2018年4月と7月には、株価下落や個人情報が不正に流用された問題にからんで、機関投資家や株主から交代を要求された。フェイスブックを舞台にしたロシアの米大統領選挙への干渉を巡る問題の時には、世界30余りの人権団体から経営陣の一掃を求められている。

加えて、ザッカーバーグ氏の社内での求心力も低下しつつあるとささやかれている。米ニュースサイト「ビジネスインサイダー」は昨年11月、独自入手したメタの社内調査結果の内容を報じた。それによると、「引き続き会社にとどまる意思がある」従業員は半数に満たないことが明らかになった。ザッカーバーグ氏をはじめとした「経営陣を信頼している」と回答した従業員も、同じく半数に満たなかったという。

2004年2月に、ザッカーバーグ氏を中心にフェイスブックを創業してから18年。GAFAMの中で、創業者がいまだにトップなのはメタだけだ。ほかの4社はトップ交代後、利益も株価も右肩上がりだ。過去に株主総会で「会社を独裁制のように経営している」と非難されたことのあるザッカーバーグ氏に、交代の意思はあるだろうか。