ホンダの米国法人であるアメリカン・ホンダモーターが新型HR-Vを現地時間4月4日に発表した。
ただし、現在販売されている、日本ではヴェゼル、グローバルモデルではHR-Vと呼ばれているモデルとは別モノで、北米市場向けのモデル。ヴェゼルとCR-Vの中間に位置するサイズの2代目HR-Vとなる。
はたして新型HR-Vはどんなモデルなのか? 日本発売の可能性はあるのか?
文/柳川洋
写真/ホンダ
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■ヴェゼルの海外仕様HR-Vと違う、北米市場専用モデルの2代目HR₋V
現行の北米HR-Vはフィットと同じプラットフォームだったが、新型は11代目シビックがベースとなり、大型化され、カローラクロスに対抗すべく市場に送り出された。
2021年アメリカで販売されたホンダ車は約131万台。そのうち、現行HR-Vは13.7万台、CR-Vは約36万台。CR-Vが大ヒットを続けるなかで、現行の北米HR-Vの販売がいまひとつだっただけに、今回のフルモデルチェンジしたHR-Vはホンダからするとかなり気合が入った意欲的なモデルとなっている。
新型HR-Vのエクステリアデザインは、丸みを帯びたフロントグリル、少し長めのフロントフード、流れるようなルーフラインが特徴。
11代目シビックをベースに、先代よりもより大きく、ホイールベースが長く、トレッドもワイドな形になってスポーティかつ若い世代にピッタリのクルマに仕上がっている。
アメリカン・ホンダモーターの販売担当者は新型HR-Vについて、以下のようにコメントしている。
「フルモデルチェンジした2023年モデルのHR-Vは、クラスを超えた意欲的な品質性能を達成することで、新たな世代にホンダのファンを作り、ホンダブランドになじんでいただくためのはじめの一歩となる重要なモデルです」。
また「若い買い手、ファーストバイヤー、様々な文化のバックグラウンドを持つ買い手に乗っていただくことで、HR-Vがこのセグメントでのリーダーとなるでしょう」とも述べている。
アメリカン・ホンダの説明では、デザインでは「アドベンチャー感覚」が強く意識されている。長く伸びたフロントフードから低く水平に流れるベルトラインがリアフェンダーの膨らみまで続き、その流れが躍動感を生み出している。
ワイドなLEDヘッドライトとテールライトが、HR-Vがアスリートであることを強調。彫り込まれたリアハッチと機能的なテールゲートスポイラーがクルマをよりスポーティに見せている。
またガラス開口部が大きく取られたおかげで視界に優れ、低い車体とドアミラーで車両感覚をつかみやすくした。最新のレーザー溶接技術のおかげで、ルーフ部分のモールディングが不要となり、より滑らかで美しいエクステリアを完成させることが可能となった。フロントワイパーは使用時以外にはフードに隠れるようにデザインされた」とのこと。
プロモーションビデオではまだ静止画を様々な方向から見せるだけにとどまっていたが、ややフロントフードが長くて乗用車的ではあるものの、丸みを帯びて可愛らしいオーソドックスなデザインと、アクティブさをイメージさせるブルーグレイやレッド、ホワイト、ブラックなどの外装色、L字のデイライトが仕込まれたシンプルでスムースなフロントLEDコンビネーションライト、ボディの側面にいくほど面積の広がる印象的なリアLEDライトなど、オーナーが愛着を覚えるようなスタイルに仕上がっている。
■シビックベースで、ボディサイズはヴェゼルとCR-Vの中間
この新型HR-Vは、今回アメリカンホンダから「北米だけでなくグローバルで販売が予定されています」と正式にアナウンスがあった。
北米専用HR-Vとしながらグローバルで販売する? 欧州で販売しているHR-V(日本名ヴェゼル)とどう区分けするのか、実にややこしいと思った方は多いのではないだろうか。
実はすでに日本でもZR-Vという車名で商標登録されており、日本および北米を除くエリアではZR-Vという車名で販売されることがわかっている。
ホンダ関係者によれば、2022年内にCR-Vの販売終了が予定されているが、その穴埋め的な存在として、2022年10月頃の販売を予定しているという。
ボディサイズはまだ明らかにされていない。ヴェゼルは全長4330×全幅1790×全高1580~1590mm、ホイールベース2610mm、CR-Vは全長4605×全幅1855×全高1680mm、ホイールベース2660mm。
ちょうど両車の中間となる全長4580mm前後、全幅約1800mm、全高1630~1650mmと予想される(シビックは全長4550×全幅1800×全高1415mm、ホイールベース2735mm)。
ちなみにライバルたるカローラクロスは全長4490×全幅1825×全高1620mm、ホイールベース2640mmだから、新型ZR-Vとのガチンコ対決になるのは間違いない。
パワーユニットの詳細に関しても今回の発表では触れられていなかった。先代北米HR₋Vのスペックは141ps/174Nmを発生する1.8L、直4エンジンを搭載していたが、新型HR₋Vは、おそらく現行シビック(北米)と同じ、2Lガソリンや1.5Lガソリンターボのほか、2022年3月24日に欧州で発表されたシビックe:HEV(システム出力184ps/315Nm)と同じ、2L+2モーターのe:HEV搭載が見込まれる。
■北米で2022年夏発売! 日本発売は2022年秋、価格は300万円以下か?
アメリカ市場での発売は2022年夏を予定している。価格については今回何も発表はなかったが、カローラクロスの税抜きの価格が22195ドル(約271万円)なので、それを意識したプライシングになるとみられる。ちなみに現行のHR-Vは21870ドル、約267万円からのスタートとなっている。
おそらく日本では、ガソリン2WDが199万9000~264万円、ハイブリッド2WDが259万~299万円というカローラクロスの戦略的な価格を考慮して、新型ZR-Vの価格も300万円以下に設定されるはずだ。
安全装備については、これまでのモデルにもホンダセンシング、衝突防止自動ブレーキや車線逸脱防止システムが搭載されていて、これを踏襲するものになるだろう。
コンパクトカーであるフィットをベースとしたSUVだとアメリカではどうしても限界があったため、今回シビックをベースに新型HR-Vの商品企画が進んだものとみられる。
第11代目のシビックは半導体不足のなかでもアメリカでの昨年の販売台数が26万台を超えるヒットとなっており、シビックをベースにSUV仕立てにした新型HR-Vも十分市場競争力のあるモデルとなるだろう。
もちろん、日本でも新型ZR-Vが発売されれば、ちょっとヴェゼルでは小さいと思っているユーザーも多いはずなので大ヒットモデルになるのは間違いない。
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