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 先日、西鉄旅行の企画で西鉄バス北九州と北九州市営バスの西日本車体工業製の58MC型路線バスで営業所を巡るツアーが2日間にわたり催行された。記者は直接参加して取材はしていないものの、バスマガジンweb読者に参加してもらい、撮影した写真の提供を受け、聞き取り取材をすることができた。今回は門司と青葉の両営業所を回る。

文:古川智規(バスマガジン編集部)


恒見営業所から門司営業所へ!

 西日本車体工業製・西鉄バス北九州と北九州市営バスの58MC2台で行く営業所巡りツーは砂津(小倉営業所)から恒見営業所へとやってきたのは前回お伝えした。記者が直接取材したわけではないが撮り鉄が「本業」のバスマガジンweb読者が撮影全コマを提供してくれたので話を聞いた。

三角形の停留所形状を生かして西鉄と市営がバス停に停車演出

 そもそも北九州市営バスの路線車が西鉄の営業所に入ること自体があり得ない光景で、市営バスが路線を持っていない門司区内を西鉄とタンデムで走るなど通常はない珍しい光景だ。

 その姿も撮影しておきたいところだが、いかんせんツアーに参加しているので乗車していては撮影は無理だ。そんな「マニア心」にも応えるのが西鉄旅行の演出だ。これについては後述する。

田野浦に市営バスが!

 門司営業所は営業上の停留所名は「田野浦」で、構内にバス停があり三角形の2辺をバスホームとして使用している。

田野浦停留所に市営バスが停車することはあり得ないレアな演出

 門司営業所では西鉄車も市営車もわざわざ田野浦バス停に付ける演出を見せた。市営バスが田野浦バス停に停まっている姿も通常ではあり得ない。

 そして門司営業所から門司港レトロ地区に行き、全員降ろされる。カーブの出口付近で降ろされた40名はそれぞれのレンズの焦点距離により撮影に備える。その間に2台の58MCは「回送」でもう一度カーブの入り口側に回る。

門司港でスタート展示!競艇ではありません

西鉄がアウトコースからまくりを決めにかかる(という演出)

 カーブ入口付近で他の車がこないタイミングを見て、2車線を使い2台の58MCが並ぶように信号待ちをする。青になった瞬間、2台の58MCがカーブめがけて突進してくる。とはいえ路線バスなのでそれなりの遅さだ。

市営がイン逃げを決めて勝ち(という演出)

 インコースは市営、アウトコースに西鉄が構え、最初はアウトコースの西鉄が市営をまくっていくように並ぶが、コーナーの出口では市営がイン逃げ切りで1着!周回方向は逆だがまるで競艇の1周1マークを見ているようだ。

イン・アウトを入れ替えてもう1周!

 これで路上撮影会は終わりかと思いきや、2台の58MCはどこかに行ってしまい、また同じシチュエーションで今度はインコースとアウトコースを入れ替えてのスタート展示。インコースに構えた西鉄をアウトコースの市営がまくりにかかり、西鉄が抵抗してイン逃げ切りという「演出」で「レース」は終了した。

市営がアウトコースからまくりにかかる(という演出)

 この他にも路上での撮影会は方向を分けて別の個所で行い、小倉北区の青葉営業所へ移動した。青葉営業所は小倉北区の浅野営業所移転にともない新設された営業所で、もともとは営業所ではなく車庫だった。そのため営業上の停留所名も「青葉車庫」だ。

イン逃げで西鉄の勝ち(という演出)

わざわざ営業車の中に入れ込む演出

 青葉営業所では現役の営業路線バスが並んでいる中に2台分の駐車スペースを空け、そこに58MCが駐車するという現役に見立てた演出があった。

 撮り鉄が「本業」の読者は「顔」を並びで撮らせるなら営業車が行き交うので制約はあるのは承知の上だが、その後に少し前に出して斜めからの全体像も撮りたかったと話してくれた。

日産ディーゼルB高・日野ブルーリボンII・58MCとの並び

 確かに実際は58MCを撮影するためのツアーのようだったが、ツアーの名称は全営業所制覇(午前・午後両方に参加すれば制覇できる)となっていた。

 それにしては営業所内を案内するわけでもなく他のバスを特に出してきて見せるわけでもなく、聞き取り取材をした限りはツアーの目的と名称が一致しなかった感は否めない。今後のツアー企画の質向上のために生かしていただきたい。

ドローンまで登場か!

 そしてこのツアーでのもう一方の参加者は沿道の撮りバスさんたちであろうか。読者は撮り鉄が「本業」なので、撮る方にも回るが電車に乗車しているときは有名な撮影地に撮り鉄がいるかどうかのチェックは欠かさないという。

 その「習性」のためなのか、バス乗車中でも沿道に撮りバスさんがいるのかどうか気になっていたようだ。

門司港レトロをタンデムを組んで走る58MC

 予想以上に沿道には撮りバスさんたちが駆けつけ、西鉄と市営のタンデムを撮影しようとしていたようだ。中にはドローンを飛ばして上空から撮影する猛者もいたようで、撮影の多様性がものすごいことになっていることを実感した。

 もっとも許可が不要な小型のドローンで、危険がないように海岸から海上を飛ばして撮影していたようで乗車している参加者からも思わず歓声が漏れていたようだ。

最近はバスマニア向けツアーが多いが…

 最近はバスマニアに向けたバスツアーをバス事業者や旅行会社が多く企画して催行している。バスファンにとっては喜ばしいことで、コロナ下で打撃を受けたバス事業者を少しでも支援できるのであれば趣味的要素が強いので、参加費用が高いか安いかは参加者の価値観次第だ。

西鉄車の運転席

 価値があれば参加するし、なければ参加しないというだけで、本誌web編集部でも積極的に同種のツアー企画は取り上げている。今回は読者が参加した感想を聞き取り取材した。

 バスが目的という趣旨ではガッツリとバスファン目的なのか、ファミリー層で参加できる乗り物大好き親子企画なのか、バスファン初心者でも楽しめる入口ツアーなのか、将来的にはそのようなカテゴリー分けをするのが良いと考える。

 これらのバスツアーがコロナ下での一過性のものではなく長続きさせ、あるいはバスツアーにおける「バスが目的」という市場を形成できるように願う。それとともに、多くの人に受け入れられるようなカテゴリー分けも存続のファクターになりうるというオピニオンを述べて本稿を締めくくりたい。

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