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夫は枕元に小さなラジオを置いている。夜の静寂、音を絞り、ささやくような話し手の声や懐かしい音楽のゆらぎに浸りながら眠りに落ちるのがなんともいいのだと言う。私はこの小さなラジオから、遠い昔の話を聴いている。 父が勤めをやめ、自宅の敷地で零細なトランジスタラジオの組み立て工場を始めた…