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基本的に”イメージ”を意識した内容となっておりますので、基礎知識の無い方への入門向きです。
じっくり学んでいきましょう!

今回は、「半導体」についての説明です。

半導体

導体(電気を通しやすい物質)と絶縁体(電気を通さない物質)の中間の性質を持つ物質のこと。
高い純度に精製された半導体である真性半導体と、電流が流れやすくなるように他の元素を少し混ぜた不純物半導体がある。
また、不純物半導体の中にはn型半導体とp型半導体という括りがある。
n型半導体は電子が多数キャリア、p型半導体は正孔が多数キャリアである。

半導体

半導体とは、導体(電気を通しやすい物質)と絶縁体(電気を通さない物質)の中間の性質を持つ物質のことです
トランジスタやダイオードと言ったIC(集積回路)などに使用されていて、これらの半導体製品自体を一般的に半導体と呼ぶこともあります。
抵抗率が大体10-6~107[Ωm]程度の物質で、温度変化に伴って抵抗率も変化します。
低温時は電気を通しづらく、高温時は電気を通しやすくなるといった具合です。
導体を熱すると抵抗率は上昇しますが、半導体を熱すると抵抗率が低下するんです
※ 半導体の抵抗率は資料によって範囲がバラバラになっているので、大体この程度というアバウトな認識でいましょう。

この電気抵抗率を制御できるという特性を利用して、電流を一方向にのみ流すことが可能なダイオードや、電気信号を増幅したりスイッチの役割をするトランジスタを作っているようです。
最初に考えた人は良い意味で頭がおかしいですね、ほんと。

単一の元素からなる元素半導体と2種類以上の元素からなる化合物半導体があります。
元素半導体としてはシリコン(ケイ素)やゲルマニウムといった4価(14族)の元素、化合物半導体としてはガリウムヒ素を使用した半導体などがあります。
主流はシリコンです。
ちなみに、原子は物質を構成する基本的な粒子であり、元素は物質を構成する基本的な成分を表しています。
例えば、金属が鉄(Fe)やアルミ(Al)でできているといったように、金属に含まれる成分について言及する場合はFe元素やAl元素で構成されると考える、といったところです。

高い純度に精製された半導体のことを真性半導体と呼びます。
真性半導体は電流が流れにくいので、電流が流れやすくなるように他の元素を少し混ぜた半導体のことを不純物半導体と呼びます。

不純物半導体の中にはn型半導体p型半導体という括りがあります。

真性半導体

高い純度に精製された半導体のことを真性半導体と呼ぶと述べました。
厳密には、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)といった4価の元素のみで精製されている純粋な半導体結晶が真性半導体です
4価の元素は、価電子(最外殻電子)が4個ある元素のことです。
何族の元素かによって最外殻電子が違うというのは中学か高校の化学で習ったかと思います。

図1

18族のように、最外殻電子が8個全て埋まっている電子配置が原子にとって最も安定した状態となります。ヘリウム(He)の場合は2個ですけどね。
原子間で電子を共有する化学結合のことを共有結合と呼びます。
真性半導体の場合、4価の元素同士で共有結合している為、価電子が全て結合に使用されます
真性半導体の平面モデルは以下のようになります。

図2

ここではシリコン元素を例にしています。
平面モデルでは外側の価電子が余っているように見えますが、立体で考えると余すことなく結合しています。流石に立体でモデルを描くのは時間的にもキツいのでご勘弁を…。
真性半導体を構成している元素は全て最外殻電子が8個埋まった状態になるので、この結合状態は非常に安定しています。
結合が安定しているということは電子の移動がないので、電流が流れなくなります
ただ、結合が安定しているとはいえ外部から一定量以上のエネルギーを供給すれば結合が解かれて自由電子が半導体結晶内を移動するようになります。
電子放出の要領ですね。

この時、電子の抜け穴が発生します。
負電荷である電子が抜けた穴なので、電子の抜け穴は正電荷を持った荷電粒子と見なすことができます
※ 「みなす」であって、荷電粒子ではありません。
この抜け穴のことを正孔せいこうまたはホールと呼びます。

電子と正孔は、半導体内で自由に移動可能なので、半導体内で電荷の運び手となるという意味でキャリアと呼ばれます。
真性半導体の場合、電子と正孔の数は等しいです

真性半導体はi型半導体と呼ばれていることがあります。
i型半導体のiはintrinsic(本質的な・内在的な)のiです

n型半導体

真性半導体は電流が流れにくいという話をしました。
理由は、キャリアである電子と正孔の数が等しいのでほとんど電荷の移動が無いからです。
なので、不純物を入れることにより電気伝導性に優れた半導体を作ることが可能です。

今、4価のシリコン(Si)元素結晶中に5価のリン(P)元素を混ぜたとします。
リン(P)元素は5価なので、価電子が5個あります。
キャリアの数が均等だった4価のシリコン(Si)元素結晶中に、それより価電子の多いリン(P)元素が混入した為、正孔より電子の割合の方が多くなります。
つまり、電子が多数キャリア、正孔が少数キャリアになります。

このように電子が多数キャリアである半導体をn型半導体と呼びます。
n型半導体のnはnegative(負)のnです。
また、リン(P)元素のように半導体結晶中に電子を与える不純物をドナーと呼びます。

ちなみに、5価のリン(P)元素と余剰分の1個の電子の結合は弱い為、結合の解かれた自由電子は結晶内を動き回るようになります。

p型半導体

真性半導体は電流が流れにくいという話をしました。
理由は、キャリアである電子と正孔の数が等しいのでほとんど電荷の移動が無いからです。
なので、不純物を入れることにより電気伝導性に優れた半導体を作ることが可能です。

今、4価のシリコン(Si)元素結晶中に3価のホウ素(B)元素を混ぜたとします。
ホウ素(B)元素は3価なので、価電子が3個あります。
キャリアの数が均等だった4価のシリコン(Si)元素結晶中に、それより価電子の少ないホウ素(B)元素が混入した為、電子より正孔の割合の方が多くなります。
つまり、正孔が多数キャリア、電子が少数キャリアになります。

このように正孔が多数キャリアである半導体をp型半導体と呼びます。
p形半導体のpはpositive(正)のpです。
また、ホウ素(B)元素のように半導体結晶中に正孔を与える不純物をアクセプターと呼びます。

ちなみに、シリコン(Si)元素結晶中に3価のホウ素(B)元素を混入すると、Si-Si結合にある電子はわずかなエネルギーで電子の不足しているホウ素(B)元素とB-Si結合を組みます。
これを繰り返すことにより、正孔があたかも結晶内を動き回っているように見えます
何が言いたいかというと、正孔は電子のように動き回っているように見えているだけで、実際に移動する粒子ではないということです
それでも正孔が移動しているとみなせることに変わりはないのであまり気にする必要はないですが、基礎知識としてしっかり抑えておきましょう。

以上、半導体についての説明でした。


【基礎から学ぶ電子回路】

◎電子放出と電子の運動
◎半導体とは? ~電子と正孔について
◎ダイオードの動作原理

◎理想ダイオードの特性とダイオードの近似回路
◎ダイオードのクリッピング作用 ~ダイオードで波形をカットする
◎ダイオードと並列に繋がれた回路の考え方
◎トランジスタの動作原理
◎トランジスタの静特性
◎バイポーラトランジスタとユニポーラトランジスタの違い
◎トランジスタの増幅作用

◎ダイオードとトランジスタの関係