BTCCイギリス・ツーリングカー選手権に参戦するBTCレーシングは、昨年末に追加のTOCA BTCCライセンス(参戦枠)を授与されたにもかかわらず、2022年シーズンも引き続き3台体制でのエントリーを維持すると表明。新たにMスポーツが製造を担うTOCA共通エンジンを搭載するFK8型ホンダ・シビック・タイプRのシートには、エースのジョシュ・クックと、フル参戦2年目を迎える女性ドライバー、ジェイド・エドワーズの残留もアナウンスされている。
名門チーム・ダイナミクスと並ぶホンダ系チームのこの動きは、今季より新たなチームマネージャー契約に署名したダニー・バクストンによって確認された。自身もBTCCに参戦した元ツーリングカードライバーであり、その後、トム・フェリアーと共同でスクーデリア・ヴィットリア・チームを設立したバクストンは、2010年よりマクラーレンに入社。現在は同社のカスタマー・レーシング部門責任者を務めている。
その役割と並行して、2022年は「BTCCで3台体制を敷くフルエントリー活動を含む、BTCレーシングのすべてのモータースポーツ活動を監督する」業務を託された男は、新たなTOCA BTCCライセンスを手中に確保しつつ、引き続き3台のシビック・タイプRでシーズンを戦うことを決めた。
「私と(チーム所有者の)スティーブ・ダッドマンは、ここ数年かなり親密な関係を保っている。つい最近にも彼と話す機会があったが、彼はレースチームのエキサイティングな将来の計画を立てていて、それがとても興味深い内容だったんだ」と語ったバクストン。
「私はプロジェクトが魅力的であることにすぐに気づき、その場で合意に達した。彼らのように若い歴史を持ち、まだ野心に溢れた段階でチームに加わることに非常に興奮しているよ」
その3台のラインアップ最初のメンバーとして確認されたエドワーズは、2020年にパワー・マックスド・レーシングのヴォクスホール・アストラBTCCでスポット参戦を果たした経験を元手に、翌年よりBTCレーシングに加入。同年のスネッタートンでは、2006年以来となるシリーズポイントを獲得した女性ドライバーとなった。
「BTCCでの2回目のフルシーズンが待ち切れないわ。学んだことのすべてをさらに発展させることを目指しているし、私は数字を補うためにそこにいるわけじゃない。最初からそれを証明するつもりよ」と、意気込みを語ったエドワーズ。
■BTCホンダ3台目のシートは未発表
新チームマネージャーのバクストンも「エドワーズが2年目のチームに留まるのをうれしく思い、彼女がトラック上で成功することを後押ししたい」と続けた。
「私はまだチームに不慣れだが、ジェイドとは何年も前から知り合い、一緒に仕事をしてきた。彼女の実力がBTCCの水準にあることを充分に認識している。私の仕事は、ジェイドがクルマに乗るたびにパフォーマンスの可能性を最大限に引き出すこと。それが正しく実行されれば、彼女は素晴らしい仕事をするはずさ」
一方、3月末にドニントンパークで実施された公式プレシーズンテストでは、総合7番手タイムをマークしたクックは、チームとの4年目の契約にサインし、2021年に5勝を挙げてランキング3位に喰い込んだシーズンを上回る戦果を誓った。
「こうしてBTCレーシングに戻ってきて、チームでの4シーズン目を迎えることができて本当にうれしいよ。スティーブ・ダッドマン(オーナー)はこれを実現するために尽力してくれたし、僕たちの継続的なパートナーシップに心から感謝している」と続けた”予選最速男”のクック。
「昨年2021年はこれまでで最高の1年を過ごし、BTCCでのキャリアハイを記録することができた。2022年に向け、その勢いを維持して挑むのが待ち切れないよ!」
同じくエースの残留に際しても、バクストンは「引き続き今後1年間、彼と仕事をする機会が得られたことを光栄に思う」と歓迎の意を示した。
「私はジョシュとも長年一緒に仕事をしてきたが、現在のグリッドでもっとも一貫性があり、かつ控えめで、万能のプロドライバーのひとりに成長するのを目撃してきた。2022年も彼が最高の選手として、念願のタイトルに挑むのは間違いないね」
ラインアップ最後のドライバーとなる3台目のシートはまだ未発表ではあるものの、先のドニントンでは大ベテランの“悪童”ことジェイソン・プラトがBTCホンダのステアリングを握っており、昨季レギュラーを務めたセナ・プロクターに取って代わることになるか、ともに“勝てるドライバー”のどちらが起用されるかの憶測を呼んでいる。