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男とクルマとアクションに酔いしれろ!! 映画『トランスポーター』を観る!!

 『グラン・ブルー』、『レオン』と数々のヒット作を監督したリュック・ベッソンだが、カーアクション好きとしても知られている。監督から製作に主眼を置くようになってから手掛けているのが、『TAXi』シリーズそして今回紹介する『トランスポーター』シリーズだ。

 リブート作品まで作られた人気シリーズをご紹介しよう。

文/渡辺麻紀、写真/TCエンタテインメント

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■運び屋の『最強』っぷりに説得力をもたせるジェイソン・ステイサム

シャープでスピード感溢れるアクションでお馴染みのジェイソン・ステイサム。彼の初シリーズ作となったのが『トランスポーター』だ

 『ワイルドスピード』シリーズ等、アクション映画で大活躍中の人気者、ジェイソン・ステイサム。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)で映画デビューを果たし、そのアクション能力を駆使して今でも第一線で大活躍している。

 今回ご紹介したいのは、そんな彼の初主演作&初シリーズ作となった『トランスポーター』(2002)。自らのルールに従い、どんなモノでも確実に、時間通りに運ぶことをモットーとしている最強の“トランスポーター(運び屋)”ことフランク・マーティンを演じている。

 その運ぶ手段は自分の愛車を自分で運転すること。本作でのフランクの愛車は黒のBMW735i(E38)で、駐車場に停められた同車を嘗め回すようなカメラで映し出すシーンから映画はスタートする。

 ちなみに、この車を愛でる描写は、シリーズ2作目『トランスポーター2』、ステイサムから『デッドプール』(2016)等のエド・スクレインにバトンタッチされたリブート版の1作目『トランスポーター イグニッション』(2015)にも継承されている。

 2作目から車はアウディになったが、どの作品でも車はピッカピカに磨かれて本当に美しい。

■意外と情に厚いフランクがちょっとかわいい!?

自身のルールにこだわり驚きの行動に出ることもあれば、わりとあっさりルールを破ってしまうお茶目さも持つフランク

 その愛車を使った最初の仕事は証券を強奪した一味3人を目的地まで運ぶことなのだが、その一味が4人になったことから、フランクのルールへのこだわりが明らかになる。3人のときの重量等を計算して時間を弾き出しているから、変更は絶対にNG。

 ルールその1は、最初に交わした契約を絶対に変更しない「契約厳守」。だからフランクは、一味が定員を3人に戻すまでテコでも動かない。たとえ警察が目の前に迫っても!

 結局は驚くべき手段で定員を3人に戻し、警察の追跡を交わしながらフランス、ニースの路地をフルスピードで駆け抜ける。

 ヨーロッパを舞台にしたカーアクションの場合はこんな路地のチェイスが多く、ハラハラドキドキが加速する仕組み。本作では、十台を超えるパトカーに追い詰められ、万事休す状態になったときフランクスが取る手段が最大の見せ場になっている。

 こうやってルールを守ることで仕事をパーフェクトにこなしてきたフランクが受けた次の依頼は50kg前後の謎の荷物の運搬。ところが、このブツで彼はルールを自ら破ることになる。

 ルール2の「依頼主の名前は聞かない」は守れたが、ルール3の「依頼品は絶対に開けない」を破ってしまうのだ。なぜなら、それが縛られ、さるぐつわをはめられたアジア系の若い女性(スー・チー)だったから。

 ルールを守らなかったためイヤな予感がしまくるフランクだが、それは大当たり。この女性を助けたせいで、次々と災難が降りかかるハメになる。

 一見、冷酷無比、冷静沈着にも見えるフランクだが、実は人情家でもあり、情に流されてしまうタイプ。この性格が彼のキャラクターを魅力的にし、ドラマを生む。ステイサムの初シリーズになった理由もその辺にあるのだと思う。

■スパイもビックリのギミック満載のBMWも見所

腕っぷしも強いフランクだが、肝心の運転技術も特A級。1作目ではBMWを、2作目以降はアウディをドライブする

 そこで気になるのは愛車のBMW。仕事仕様に、ナンバープレートが回転式になっていて、スイッチひとつですぐに違うナンバーに変更することが可能だし、エンジンをかけるのもコードを入力するタイプ。ほかの人間が運転できないシステムになっている。

 また、車自体もマニュアルの6速ギアボックスに改造されたレアもので、生産台数も8500台ほどだといわれている。だからというわけでもないのだろうが、劇中でもフランクが丁寧に掃除し磨き上げるシーンが用意されていて、彼の車愛がちゃんと伝わって来るのだ。

 カーアクションの大きな見せ場は冒頭のパトカーとのチェイスシーンだが、そのほかにも海や空を舞台にしたアクションもあってバラエティに富みまくっている。

 しかも、ドライビングを含め、アクションのほとんどをステイサム本人がやっているというのも大きなウリのひとつで、彼のブレイクするきっかけになったのもうなづけるのだ。

 製作は『フィフス・エレメント』(1997)等で知られるフランスのリュック・ベッソン。監督はフランス人のルイ・レテリエと、香港出身のコリー・ユン。ユンがアクションパートを担当したせいで、アクション部分は香港色が強く、ヒロインも香港女優のスー・チーという異色っぷり。

 こういった采配もベッソンのもので、本人曰く「いろんなカルチャーが交差しているのが本作の特徴。そうしようとしたわけではなく面白い才能を集めていたら結果としてそうなった。

 イギリス野郎が初めて主演を張り、ヒロインが英語のおぼつかない香港女優で、警官役がフランスのオヤジ役者、ルイという若造が初めてメガホンをとり、アクション大好きな香港人がそのサポートをする。この現場が私をエキサイトさせてくれるんだ」

 その言葉通り、映画も英語、フランス語、中国語が飛び交うからインターナショナル度が高い。いまどきの多様性を20年前にすでに実践していた作品ともいえそうだ。

●解説●

 どんなものでも確実に届けるトランスポーターことフランク・マーティン。依頼人から預かったその荷物は何と女性。ワケありの彼女を助けてしまったことで家は壊され、謎の連中に追われてしまう。果たして彼女の正体は? そして、依頼人の本当の目的とは?

 本作の大ヒットによってシリーズ化され『トランスポーター2』(2005)、『トランスポーター3 アンリミテッド』(2008)が製作され、12年から14年まで、『プリズン・ブレイク』のクリス・エヴァンスがフランク役を務める『トランスポーター ザ・シリーズ』がTVでオンエアされた。

 2015年には『トランスポーター イグニッション』がリブートというかたちで製作されている。

 フランクを演じたジェイソン・ステイサムは飛び込みの世界選手権のイギリス代表を務め、プールで練習中にカメラマンの目にとまり、イギリスのブランド、フレンチコネクションのモデルとなった変わり種。

 そのフレンチコネクションが『~スモーキング・バレルズ』のスポンサーだったことから映画に出演。以来、役者として活躍している。

 特徴的なハスキーボイスについてステイサムは

 「ハロッズの側でフェイクの宝石や香水を売る露天商をやっているとき、いつも声を張り上げていたので声がつぶれてしまった。そのときの経験は役者になってとても役立っている」といい、「オレにはフランクのようなルールはないが、“昔やったことに無駄はない。過去は活用するもの”という人生訓はある」とも。

 このフランクはベッソンがステイサムを念頭において作ったキャラクター。「『スナッチ』(2000)でオレが見せた瞬発力を感じさせるアクションが気に入って、このキャラクターを作ってくれたようだ」と言っている。

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『トランスポーター』
ブルーレイ ¥1,980(税込)/DVD ¥1,320(税込)
発売元:TCエンタテインメント 提供:アスミック・エース
販売元:TCエンタテインメント
(C)2002 EuropaCorp – TF1 Films Production. ALL RIGHTS RESERVED.

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