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最近、売られている杏子(あんず)は甘さも酸味も弱弱しい。だが、採れたての杏子の酸味は鮮烈だ。それが効いているのがフローベールの『ボヴァリー夫人』だ。ありふれた不倫物語をこれでもかと執拗(しつよう)に描写し、名作にしてみせたフローベールは、杏子を使って見事に不倫を終わらせた。 誠実…