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今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選

 つい先日、日産シーマの生産終了という報道に、驚きと時代の流れを痛感した人も多いことだろう。2022年の秋から強化されるエンジンの騒音規制により、かつてのように高性能・高出力だけでは生き残れない時代だ。

 ユーザーが望む・望まないを問わず、自動車の「EVシフト」への流れは今後ますます加速していく可能性が高いと思われる。今から30年後といえば2052年。令和でいうと34年だ。

 30年後の未来「間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選」をまとめてみた。

文/松村透
写真/トヨタ、レクサス、ホンダ、マツダ、スズキ

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■なぜ、いま平成1ケタのクルマが取り上げられているのか?

 各メディアで平成1ケタの国産車に関する記事や特集を目にする機会が非常に多い。単に懐かしいというだけではない。当時を知る世代はもちろんのこと、産まれる前にあたる20代のクルマ好きをも虜にする魅力があるからだ。

 そして何より、このネタをテーマにすると比較的PV(ページビュー)が稼げるという大人の事情も見え隠れする。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
初代NSXに続き、2代目NSXもいずれ「懐かしの名車」として語られる日が訪れるはず

 それはさておき、いまあらゆる記事で取り上げられている平成1ケタのクルマというと、定番のスポーツモデルだけでない。

 パイクカーと呼ばれるような日産Be-1やパオ、フィガロをはじめ、セラ、軽自動車のABCトリオ(AZ-1/ビート/カプチーノ)など、バラエティに富んでいたことを再認識したくなる時期なのかもしれない。

■令和4年現在、新車で買える国産車だっていずれは同じような道をたどるはず

 ある国産旧車乗りが、最近のMT車にはシフトダウン時に自動的にブリッピングしてくれる「オートブリッピング機構」があると知り、かなり驚いたと同時に「(意外にも)案外便利かも」とつぶやいた。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
初代ロードスターと現行ロードスター。誰もがその時代を代表する名車として紹介しても異論はないだろう

 便利になることで乗り手が退化することもあるだろう。カーナビがいい例だ。もはやカーナビがないと知らない場所に行くのが不安で仕方ないという人も少なくないと思う。

 便利になった分、最近のクルマはつまらなくなったといわれることが多い。それこそ「いまの若いモンは・・・」のボヤキと一緒で、これはいつの時代も変わらないのかもしれない。

■今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな新車7選

 最初にお伝えしておくと、ここにエントリーする予定だった日産GT-Rは含めていない。

 なぜなら、日産のGT-Rページに「「NISSAN GT-R」2022年モデルは、世界的な半導体不足と新型コロナウイルス感染拡大による諸外国でのロックダウン等により、一部の部品供給が大幅に制限されている中、非常に多くのご注文をいただいている関係で、新規の商談並びに、ご注文の受付を停止させていただいております。」と明記されているからだ。

 あくまでもこの記事を掲載した時点での話ではあるのだが、現時点では新車を購入することはできない。このまま生産終了となってしまうのか・・・。

レクサスLC/レクサスLCコンバーチブル
・発売開始:2017年3月
・エンジン:V型6気筒DOHC、V型8気筒DOHC
・排気量:3456cc、4968cc
・最高出力/最大トルク:299ps/36.3kgm、477ps/55.1kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4770×1920×1345[1350]mm
・新車の価格帯:1327万円〜1500万円
・中古車の平均価格:1025万円

 レクサスの変革の象徴として生み出したフラッグシップクーペ。

 GA-Lプラットフォームやマルチステージハイブリッドシステム、Direct Shift-10ATなど、最先端技術の採用に加え、徹底的な作り込みによって、独創的なデザインや、すっきりと奥深い走りを実現。

 運転する喜びを提供し、ユーザーのライフスタイルをより豊かにするクルマとなることを目指して開発された。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
海外のハイブランドメーカーのクルマと並んでも引けを取らないほどの美しいデザインを誇るレクサスLC
今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
内装のいたるところにレザー素材がおごられ、シンプルながらも豪華さと上品さを演出

トヨタGRヤリス
・発売開始:2020年9月
・エンジン:直列3気筒DOHC、直列3気筒DOHCターボ
・排気量:1490cc、1618cc
・最高出力/最大トルク:120ps/14.8kgm、272ps/37.7kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3995×1805×1455mm
・新車の価格帯:265円〜456万円
・中古車の平均価格:488.8万円

 TOYOTA GAZOO Racing WRT(World Rally Team)に学んだ「WRCで競争力あるクルマづくり」や、開発初期からの社外プロドライバーによる評価によって、世界のあらゆる道でも思い通りに操れ「誰もが安心して意のままに運転できる」クルマとして誕生。

 マスタードライバー・モリゾウの「トヨタのスポーツカーを取り戻したい」という想いのもと、「モータースポーツ用の車両を市販化する」、という逆転の発想で開発したトヨタ自動車初となるモデルだ。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
カタログからして熱量が違うGRヤリス。買えるなら買っておきたい・・・そんな気にさせてくれる1台だ
今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
ラリーカーのベースとはいえ、室内はいたって実用的。一生モノとして手に入れる価値がありそうだ

トヨタGR86
・発売開始:2021年10月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:2.387cc
・最高出力/最大トルク:235ps/25.5kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4265×1775×1310mm
・新車の価格帯:279.9万円〜351.2万円
・中古車の平均価格:351.9万円

 スバルBRZとクルマのベースを共有しながらも「ドライバーの意のままに操れる『手の内感』」「限界域でのリニアな応答、キビキビした走り」といった「GRらしい走りの味」を持たせることに注力。

 86の伝統を継承しつつ、スバル開発陣と切磋琢磨しながら「GRらしい走りの味」を追求した結果、86は「さらなる高い次元でのダイレクトで気持ちのいい走り」へと進化したのがGR86といえるのだ。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
令和版86として数々の歴史を紡いでくれるはずのGR86
今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
差し色は赤。ステッチも赤。スポーツマインドを刺激してくれるGR86の内装

マツダロードスター
・発売開始:2015年5月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1496cc
・最高出力/最大トルク:132ps/15.5kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3915×1735×1235mm
・新車の価格帯:262.3万円〜323.1万円
・中古車の平均価格:245.3万円

 コンセプトは「人生を楽しもう-Joy of the Moment, Joy of Life-」-「SKYACTIV(スカイアクティブ)技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を採用した新世代商品の第6弾となるモデルにあたる。

 人がクルマを楽しむ感覚の深化に徹底的に取組み、「人馬一体」の楽しさを追究した、後輪駆動(FR)の2シーターライトウェイトオープンスポーツカー。

 新開発の直噴1.5Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5」をフロントミッドシップに搭載し、前後重量配分を50:50としている。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
軽量版の990Sが注目を集めているロードスター。これも一生モノとして手に入れる価値があるだろう
内装色によって雰囲気がガラリと変わるのは初代譲りか。Vスペシャル仕様の登場が待たれる

ホンダN-VAN
・発売開始:2018年7月
・エンジン:直列3気筒DOHC、直列3気筒DOHCターボ
・排気量:658cc
・最高出力/最大トルク:53ps/6.5kgm、64ps/10.6kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3395×1475×1945[1960]mm
・新車の価格帯:127.6万円〜176.2万円
・中古車の平均価格:152.8万円

 「N-BOX(エヌボックス)」のプラットフォームを最大限に活用し、軽バンに求められる広い積載スペースと積載作業の効率性を追求したN-VAN。

 燃料タンクを前席の下に収めるホンダ独創のセンタータンクレイアウト採用により荷室を低床化し、高さのある荷物の積載にも対応できる空間を確保している。

 その他、軽バン初のセンターピラーレス仕様により、助手席側に大きな開口部を設定し、テールゲートと使い分けることで、さまざまなシーンで荷物の積載作業をさらに効率よく、スムーズに行うことを可能とした。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
商用だけでなく、遊びゴコロ満載の乗用車としても妙に気になる存在のN-VAN
今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
内装はいたってシンプル。素っ気ない分、いろいろと手を加えてみたくなる

スズキジムニー
・発売開始:2018年7月
・エンジン:直列3気筒DOHCターボ
・排気量:659cc
・最高出力/最大トルク:64ps/9.8kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3395×1475×1725mm
・新車の価格帯:148.5万円〜190.3万円
・中古車の平均価格:241.1万円

 新開発ラダーフレームとFRレイアウト、副変速機付パートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションというジムニー伝統の車体構成を継承。

ブレーキLSDトラクションコントロールを全車に標準装備し、高い走破性能を実現した。新型「ジムニー」には専用にチューニングした「R06A型ターボエンジン」を搭載し、動力性能と信頼性を高めている。

 また、機能を追求した内外装デザインに、取り回ししやすいボディーサイズ。見切りの良さ、荷室空間の広さや使いやすさを進化させ、様々なニーズに応える使い勝手を追求した。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
季節や場所を問わず、あらゆる道を走破できる。まさにジムニーはオールラウンダーな1台
今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
キビキビとシフトチェンジする操作がたまらなく楽しい!ジムニーこそMTで乗りたい

スズキスイフトスポーツ
・発売開始:2017年9月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1371cc
・最高出力/最大トルク:140ps/23.4kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3890×1735×1500mm
・新車の価格帯:187.4万円〜214.1万円
・中古車の平均価格:146.1万円

 現行スイフトをベースに、日常での使いやすさを確保しながら、より高性能なホットハッチバックへと進化させたスイフトスポーツ。

 1.4L直噴ターボのブースタージェットエンジンや、軽量高剛性な新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」採用による70kgの軽量化、新開発サスペンションにより高い動力性能とハンドリング性能を実現。

 卓越した性能を感じさせる力強いデザインに加え、スポーティーなエキゾーストサウンド、専用セミバケットシートなどスポーツマインドを高揚させるスポーツ要素の演出も魅力的だ。

激安で高性能!! スイフトスポーツはなぜあんなに安い価格で作れるのか
新車価格は6MT車で201万7400円(全方位モニター用カメラパッケージ装着車は207万200円/2WD)はまさにバーゲン価格。まさにスズキの良心ともいえるスイフトスポーツ
激安で高性能!! スイフトスポーツはなぜあんなに安い価格で作れるのか
スポーツシートやメーターにはマルチインフォメーションディスプレイも装備されている

■まとめ:令和34年(2052年)、果たして日本のクルマ事情は・・・?

向こう30年の間に、ロードスターはどのように進化しているのであろうか・・・

 平成1ケタの時代から平成30年前後まで、たしかに日本車をはじめとするクルマは劇的に変化した。それは疑いようがない事実だ。そのいっぽうで、動力源の主力は内燃機関のままであったこともまた事実だ。

 ここ最近の世界的な流れとして、EVシフトへと加速していることはクルマ好きであれば誰もか知るところだろう。冒頭のシーマのように、時代の変化とともに、誰もが知るクルマが姿を消していく時代だ。

 その一方で、先日発表されたGRカローラ現時点では発売前(2022年後半発売予定)だが、GRスープラやスカイライン400Rといったスポーツ系をはじめ、センチュリーやMIRAI、ランドクルーザー300系、その他多くの実用車など・・・。いま、新車で購入できるクルマの多くが、熾烈な生存競争を勝ち抜いてきたモデルばかりだ。

今から30年後のEV全盛時代には間違いなく令和の名車になっていそうな国産新車7選
将来「爺ちゃんは昔、こんなすごいクルマに乗ってたんだぞ」と自慢できる国産名車はまだまだたくさんあるはずだ

 将来、自分の子どもや孫、そして次の世代のクルマ好きたちに「爺ちゃんは昔、こんなすごいクルマに乗ってたんだぞ」と自慢できる国産名車は他にもたくさんあるように思う。

 いまから30年後の未来がどうなっているかは誰にも断定できないが、少なくともその時代を代表する国産名車が存在してくれることを願うばかりだ。

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