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まだまだ大雪は来るぞ!! 一瞬で視界が消えるホワイトアウト遭遇時の対処法

 2021年の暮れから2022年にかけて、大雪のニュースが毎日のように報じられている。異例の寒波、南岸低気圧などの影響で、普段降雪が少ない地域でも、積雪が観測された。スリップ事故やクルマの立ち往生など、雪が交通へ与える影響は計り知れない。

 こうした「雪」と同時に気を付けたいのが「風」である。風雪や吹雪と呼ばれるが、近年ではホワイトアウトという名称の方が馴染み深い。一瞬で視界がゼロになる恐怖は、体験したものにしかわからないだろう。

 今回は、風雪の多い積雪地に住む筆者が、ホワイトアウトの恐怖と、遭遇時の対処方法を解説していく。

文/佐々木 亘、写真/AdobeStock(トップ写真=fotoyou@AdobeStock)

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■大雪でなくてもホワイトアウトは発生する

冬場に雪と風が相まって発生することが多いホワイトアウト。雪だけでなく、山岳地で雲の中に入った時や、濃霧などで視界がゼロとなることもホワイトアウトという(jessicahyde@AdobeStock)

 目の前が真っ白になり、視界がゼロとなる状況をホワイトアウトという。冬場に雪と風が相まって発生することが多いが、山岳地で雲の中に入っても同様の現象が発生する。濃霧で視界がゼロとなることも、ホワイトアウトというので覚えておこう。

 また、降雪時の吹雪で発生するイメージが強いが、晴天でもホワイトアウトが発生する可能性はある。記憶に新しいのが2021年1月19日に東北自動車古川IC付近で発生した多重事故だ。約140台のクルマが衝突し、1人が亡くなり、18人が病院へ搬送された。

 現場では3cm~5cm程度の積雪が観測される程度の降雪状況。古川地区は豪雪地帯ではなく、当時は大雪という気象条件でもなかった。しかし、当日は風速20mを超える暴風が吹き荒れており、最大瞬間風速は27.8mを記録している。ここで発生したのは地吹雪だ。

 現場周辺は水田地域であり、風を遮る建物などは、ほとんどなかった。ここにパラパラとした吹き飛ばされやすい新雪が降り、強風で新雪が舞い上がったことにより、ホワイトアウトが発生したとみられる。

 降雪していようが晴れていようが、雪と風が合わさるとホワイトアウトが発生することを肝に銘じ、いつでも万全の対処ができるよう、ドライバーは備えておく必要があるだろう。

■市街地や郊外でホワイトアウトに巻き込まれたらどうする?

積もった雪が強風で巻き上げられて視界を遮られるのが地吹雪。ヘッドライトやフォグランプ、ハザードランプは全て点灯し、自車の存在を周囲に知らせよう(Andrei Stepanov@AdobeStock)

 一般道路でホワイトアウトに遭遇した際、また降雪や地吹雪などで視界が悪い場合はどうすればいいのか。

 まず大切なのは、自分のクルマの存在を周囲に知らせることだ。ヘッドライトはもちろん、フロントフォグランプ、ハザードランプも点灯し、自車の存在をアピールする。

 リアフォグランプ装着車は、こちらも迷わず点灯したい。視界不良の際に、リアフォグランプは役に立つ。赤色の強い光は、ヘッドライトやフロントフォグよりも目立ち、周囲への強いアピールになるだろう。

 ただし、豪雨や濃霧、ホワイトアウトでもないのにリアフォグランプを点灯し走行するのは迷惑極まりない行為だ。使いどころを考えて、効果的に使用したい。

 そして、可能な限り道路から離れ、周囲の駐車場や安全地帯で停車したい。視界ゼロのまま走行を続けるのは非常に危険である。安全が確保できる場所で停まり、外の状況が良化するのを待つのが、大切な対処法だ。

■高速道路では、止まらないほうが良い?自動車専用道路でのホワイトアウト対策

ホワイトアウトで急停車するのは後続車の追突を招くので禁物。ライト類は全て点灯しながら、すぐに停車できる速度でゆっくりと進む(v_sot@AdobeStock)

 一方で高速道路に代表される自動車専用道路では、対処方法が少し異なる。近隣施設の駐車場など、安全確保ができる箇所がない自動車専用道路では、ホワイトアウト時に急停止すると、後方からの追突を食らってしまう。

 前方が真っ白になった時には、まず自車のスピードを落とすことが必要だが、完全停止はもう少し後だ。前述のライト類を全点灯しながら、すぐに停車できる速度でゆっくりと進んでいく。自車位置を周囲に知らせるためにホーン(クラクション)を使用するのも有効だ。

 微速でもいいのでゆっくり前進しながら、路側帯の方へクルマを寄せる。追い越し車線にいた時は、無理に左に寄らず、右側のガードレールへクルマを寄せていこう。大切なのは、前方のクルマを気にしながら、ゆっくりと安全に、時間をかけて停車までクルマを運んでいくことだ。

 全車両がカメのように、少しずつ前へ前へと進んでいけば、大規模な追突事故や多重事故は防ぐことができる。絶対的な安全地帯に止まれない状況では、止まるよりも少しずつ動く方が大切なこともあるのだ。

■安全走行はドライバーの知識と判断で生まれる

ホワイトアウトの危険性がある場合には『自動車に乗らない』というのもひとつの手だ(Paylessimages@AdobeStock)

 降雪する場所であれば、どこでも発生可能性があるホワイトアウト。暴風でなくとも、雪と風が合わさる気象条件では、クルマの運転がシビアで危険になるということは覚えておくといいだろう。

 さらには、これに「夜」という条件が加わると、視界はさらに悪くなる。軽度の雪でも視界不良が発生する確率は高くなるのだ。

 こうした条件に年に数回おかれることがある筆者は、まず「目立つ」ことを優先する。そして、雪×風×夜といった、悪条件が掛け合わされる時には、クルマを使わないという判断も大切だ。ハンドルを握るドライバーには、十分な対処法を身に着けるとともに、賢明な判断を常にお願いしたい。

 冬道の安全走行を支える大黒柱は、あなた自身の無理をしない気持ちから生まれるのである。

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