今回は、「フォトダイオード」についての説明です。
フォトダイオードとは?
順方向電圧を印加すると発光するダイオードのことを発光ダイオード、通称LED(Light Emitting Diode、直訳で光を放っているダイオード)と呼びます。
LEDについては昔青色LEDがニュースに取り上げられることがありましたし、昨今は電球型LEDなどが普通に家庭にも普及しているので何となく知っている人が多いかと思います。
それに対し、フォトダイオードというものも存在します。
名前からするとLED(発光ダイオード)と同じに感じますが、別物です。
フォトダイオードは、光を照射すると反応するいわゆる受光素子です。
光を受け取るとそれを電気信号に変換するわけです。
つまり、LEDとやっていることが逆なんです。
名前がフォトダイオードなのがややこしいですね。
受光ダイオードでよくない?
フォトダイオードの回路記号
回路記号は以下の通りです。
参考としてLEDの回路記号も記載します。
矢印が光の向きになっているので、光を照射されるフォトダイオードの場合は図1右のようになっているわけです。
LED(発光ダイオード)の場合、矢印の向きが逆になります。
フォトダイオードの種類と構造と原理
フォトダイオードには、PN型フォトダイオード・PIN型フォトダイオード・アバランシェフォトダイオード(APD)などの種類があります。
何れもpn接合を利用しているタイプで、中でも最も基本的なのはPN型ダイオードです。
ここでは、それぞれの特徴・構造・原理を記載していきます。
ダイオードの原理についてある程度知っている体で説明していくので、ダイオードの構造と原理にあまり自信が無い方は先に以下の記事を読むことをおすすめします。
PN型フォトダイオード・PIN型フォトダイオード・アバランシェフォトダイオード(APD)の基本的な構造は普通のpn接合型ダイオードです。
PIN型フォトダイオードとアバランシェフォトダイオード(APD)はこの構造に一手間加えた形となりますが、動作自体に大きな違いはありません。
PN型フォトダイオードを例に考えると、p型半導体とn型半導体の間の接合部付近には空乏層があり、空乏層には電界がかかっています。
※ 詳しくは暗電流の説明時に述べています。
この空乏層に光が照射されると、光電効果によってキャリア(電子・ホール)が移動するようになる為、電流が流れる仕組みです。
空乏層から発生したキャリアは、電子がn型半導体、正孔がp型半導体へそれぞれ移動します。
なので、電子がp型半導体からn型半導体へ、つまり通常のダイオードとは逆向きであるカソードからアノードへ電流が流れます。
キャリアの移動する向きは空乏層にかかっている電界により決まっています。
フォトダイオードの使用例
フォトダイオードは普通のダイオードと電流の流れる方向が逆になっているので混乱しやすいです。
一度簡単な使用例を見ておきましょう。
図2のように電源とフォトダイオードと抵抗を直列に繋いだ単純な回路があります。
このフォトダイオードに光を照射していない時は、電源と逆接続されたフォトダイオードにより回路に電流が流れることはありません。
ですが、フォトダイオードに光を照射するとフォトダイオードのアノードからカソード側に電子が移動する、つまりカソードからアノードへ電流が流れだします。
なので、フォトダイオードに光を照射した場合にのみ抵抗に電流が流れるようになります。
フォトダイオードがスイッチの役割をしているということです。
以上、「フォトダイオード」についての説明でした。
【基礎から学ぶ光電素子】
◎光電効果 ~物質に光を照射すると電子が飛び出す現象
◎暗電流 ~光が照射されていないにも関わらず流れる電流
◎LED ~発光ダイオードの基本
◎LEDと白熱電球の違い
◎蛍光灯の発行原理
◎フォトダイオード ~LEDとの違いについて
◎フォトトランジスタ ~フォトダイオードの電流を増幅する素子
◎フォトカプラ ~接地電位の異なる絶縁された回路間を光で繋ぐ素子
◎フォトボルカプラ ~起電力を生み出すフォトカプラ
◎フォトリレー ~フォトボルカプラとMOSFETをワンパッケージ化した製品