もっと詳しく
電気自動車大激戦区は600万円ゾーン!! 日産vsベンツvsボルボvsレクサス 一番お買い得なのは…??

 2022年1月17日、アウディは電気自動車(以下EV)のe-tronシリーズ第3弾として、Q4 e-tron、Q4スポーツバックe-tronを発表。2022年秋以降に販売開始する。

 アウディのEV戦略の中心車種という位置づけのとなり、車両本体価格は599万~716万円で、50台限定の1stエディションはすでに完売となった。

 また、2021年11月に日本導入を発表していたボルボのEV、C40リチャージも1月20日よりオンライン販売を開始。こちらの車両本体価格は719万円となっている。

 テスラモデル3が2021年1月に価格改定を行い、429万~717万3000円と一部グレードで大幅に車両本体価格が安くなったが、現在EVは予算600万円付近で大激戦が繰り広げられている。

 その予算600万円で手に入る日産アリア、メルセデス・ベンツEQA、レクサスUXの3モデルの中からベストバイは一体何か。

文/萩原文博、写真/日産自動車、ボルボカ−・ジャパン、萩原文博

【画像ギャラリー】予算600万円で買える最新EVを画像で紹介(29枚)画像ギャラリー


発表は2020年、まもなく販売開始のアリア

日産アリアのフロントスタイル

 日産がリーフに続く、主力EVとして発表したのがアリア。発表したのは2020年7月とすでにかなり時間が経過している。日本専用のリミテッドの予約注文を開始したのが、約1年後の2021年6月。そして11月にバッテリー容量66kWの2WD車B6の価格が539万円と発表され、発売は2022年3月下旬となっている。

 注目のe-4ORCE搭載車が未だに販売開始が不透明な中、エントリーモデルであるB6の発売を急いだのは、すでに販売開始しているレクサス UXやメルセデス・ベンツEQAの存在の影響が大きいのは言うまでもない。

 アリアB6のボディサイズは全長4,595mm×全幅1,850mm×全高1,665mm(プロパイロット2.0装備車)。車両重量は1,920kgで、搭載するリチウムイオンバッテリーの総電力量は66kWh。搭載するモーターの最高出力は218ps、最大トルク300Nmを発生し、WLTCモードでの一充電走行距離は470kmとなっている。

 ラウンジのようなインテリアは、2枚の液晶パネルを採用し、スイッチ類をできるだけ排除したスマートでモダンなデザインとなっている。

 車両本体価格539万円のアリアB6 2WDの見積もりと取ってみると、ボディカラーはダークメタルシルバー以外すべて有償色となり、ブリリアントシルバー/ミッドナイトブラックの2トーンカラーは5万5000円。NissanConnect プロパイロットプラン+ が2万5520円、そしてメーカーオプションのプロパイロット2.0のセットオプション、46万5300円を加えると593万5820円となる。

 これに諸費用を加えたアリアB6 2WD車の乗り出し価格は約603万1954円となる。

 しかし、EVは「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象となっている。令和3年度の対象となるのは、令和3年11月26日以降に新車新規登録(登録車)又は新車新規検査届出(軽自動車)された自動車となる。

 補助金の上限額は軽自動車を除いたEVは上限60万円、軽EVは上限40万円。しかし車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両。また外部給電器やV2H充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両は異なる。

 この条件どちらかを満たす車両の補助金の上限はEVが上限80万円。軽EVは上限50万円と上乗せされるのだ。乗り出し価格約603万1594円のアリアB6 2WD車の補助金は満額80万円となり、乗り出し価格が約524万円と大幅ダウンする。

UX300eはレクサス初のEVながら、完成度は抜群に高い

レクサスUX300eの走行シーン

 同じく補助金が上限いっぱいの80万円となっているのが、レクサスUX300e。車両本体価格は580万円~635万円となっている。

 UX300eのボディサイズは全長4,495mm×全幅1,840mm×全高1,540mm。車両重量は1800kgで、搭載するリチウムイオンバッテリーの総電力量は54.4kWh。搭載するモーターは最高出力203ps、最大トルク300Nmを発生し、WLTCモードでは367km走行可能となっている。

 UX300eのインテリアは、ガソリン車とUXとほとんど変わらない仕様となっているのが特徴。アクセルやブレーキペダルによる操作も、ガソリン車から乗り換えたユーザーが違和感を感じないように細やかな制御を行っている。エンジン音がしないだけで、乗っているフィーリングがガソリン車のUXと変わらない。

500万円台でメルセデス・ベンツの最新EVが手に入るのが驚き

メルセデス・ベンツEQA250の走行シーン

 そして、2021年4月に販売開始以降、大人気となっているEVがメルセデス・ベンツEQAだ。EQA250の車両本体価格は640万円で給電機能をもたないため、補助金は60万円とアリアやレクサスUXより低くなるが、580万円でプレミアムブランドであるメルセデス・ベンツの最新EVが手に入るのだ。

 EQA250のボディサイズは全長4,465mm×全幅1,835mm×全高1,625mm。車両重量は1990kg。搭載するリチウムイオンバッテリーの総電力量は66.5kWh。搭載するモーターは最高出力190ps、最大トルク370Nmを発生し、WLTCモードでは410km走行可能となっている。

 EQAのインテリアは、AクラスやGLAといったFFのアーキテクチャーを採用したモデルと同じデザインを採用し、エアコンなどの操作方法も同じ。レクサスUX同様にほかのメルセデス・ベンツから乗り換えても戸惑うことはない。

 EQAは航続距離を伸ばすために、大型の高電圧バッテリーを採用するだけではなく、効率的な回生制御を採用。ステアリングに装備されたパドルによって、回生ブレーキの強度は5段階の手動設定が可能となっている。

 メルセデス・ベンツの第2世代EVとなるEQAはモーター駆動らしさを前面に出した圧倒的なパフォーマンスではなく、ガソリン車と同じような加速フィーリングを繊細な制御によって実現。

 通常のモードではアクセルを踏むと、背中がシートに貼り付けられるようなモーター独特の加速性能は影を潜めて、ガソリン車のような自分の体に染み付いた加速フィールを実現しているのが特徴だ。

 アリアにはまだ試乗したことはないが、レクサスUX300e、メルセデス・ベンツEQAに乗ったが、これらは個人的にEV2.0と思っている。それは初期のEVのようなガソリン車との差別化を前面に出すのではなく、ガソリン車から乗り換えるユーザーがスムーズに乗れるようにパワートレインやインテリアの操作系を揃えているのである。

 これは、すでにEVは特別な乗り物ではないというメーカーのメッセージとも取れる。そう思うと、スイッチ類を廃したアリアのインテリアはこのトレンドからは外れているように感じてしまう。

 補助金を利用すると500万円台で手に入るEV3モデルだが、EVの場合何と言っても急速充電器のインフラの設備は欠かせない。この点については日産が一日の長があると言いたいところだが、大容量化したバッテリーを搭載したEVでは、大容量の急速充電池の設置が必要となる。

実力は拮抗しているが、ベストバイはEQA250

EQA250のフロントスタイル

 今後のインフラの整備の期待。クルマのパフォーマンスそしてインフラの設備などを考えて、アリア、レクサスUX、メルセデス・ベンツEQAの3モデルでベストバイはメルセデス・ベンツEQAとしたい。

 その理由は、メルセデス・ベンツというブランド力だけでなく、EQAの非常に制御の効いたまるで調教された競走馬のように意のままに動かすことができることが挙げられる。

 EVならではのスムーズな加速と高い静粛性の魅力に加えて、ガソリン車と同じようにペダル操作できることが大きな理由だ。さらに、輸入車ながら今回の3モデルで全幅が最も小さい1,835mmという優れたパッケージングも付け加えておきたい。

 こうして見ると、EVは国産車より輸入車が高いというガソリン車での常識は通用しなくなっていると言える。

【画像ギャラリー】予算600万円で買える最新EVを画像で紹介(29枚)画像ギャラリー

投稿 電気自動車大激戦区は600万円ゾーン!! 日産vsベンツvsボルボvsレクサス 一番お買い得なのは…??自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。