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ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、レアメタルの一種「パラジウム」の価格が高騰している。パラジウムは歯科治療で銀歯の材料の一部にも使われており、歯科医療の現場では危機感が広がっているという。日本歯科医師連盟の高橋英登会長は3月31日、岸田文雄首相と面会し、金銀パラジウム合金の価格高騰に対策を取るよう要望した。

ayo888/iStock

現在のパラジウムの価格は、1gあたり1万円ほどで、金(1gあたり約8400円)を超えている。ガソリン車などで排気ガスを浄化する装置にもパラジウムは必要とされており、各方面に懸念が広がっている。

パラジウムはやばす。
排ガスの触媒だから車の生産止まるかも。それか、プラチナ増やしてコスト爆上げか。
あとは何とかなりそう。ロシアから買ったら廉価ってだけの物が殆どだし。

銀歯が以前より値上がりしていたと報告するツイートもあった。

歯医者行ってきた
銀の被せものしただけなのに、高すぎ!
被せものの原材料の一つ、パラジウム(主にロシアの原材料)が戦争の影響で3割増しくらいになってるのと、今日から診療報酬改定…
3700円くらいしたわ 3割で
ビックリしたわ

世界のパラジウム生産はロシアが44%、次いで南アフリカが31%を占めている。アフリカ諸国は中国との関係が強いと見られており、その点を危惧する声もあった。

ロシアがパラジウムの世界一の生産国であることは有名だけど、2位の南アは近年かなり中国寄りなんですよね。
地政学リスク、、、

こうしたなか、経済産業省は3月31日「ウクライナ情勢を踏まえた緊急対策」を発表。ロシアへの輸入依存度の高い品目として、LNG(液化天然ガス)が8.8%、石油が3.6%、原料炭が8%、パラジウムが43%、合金鉄が50%、フェロシリコンが33%となっている。

合金鉄とは、鉄と他の金属を混ぜ合わせた合金の総称で、フェロクロム(鉄とクロムの合金)やフェロシリコン(鉄とシリコンの合金)などがある。フェロクロムとフェロシリコンは、ロシアの世界シェアはそれほど大きくないものの、日本の輸入先としてロシアがトップにあがっている。どちらも世界シェアトップは中国だが、ロシアから輸入できなくなったからといって、中国への依存が高まるのも考えものであろう。

一方、日本は原油の輸入の70%以上をサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)に頼っており、ロシアは3.6%に留まっている。今後、ロシアから原油の輸入が難しくなったとしても、それほど甚大な影響はないように見える。

いつの時代も、戦争が起きればモノの値段は上がる。ウクライナ侵攻による物価上昇は、今後もしばらく続きそうだ。