BMWをベースとしたコンプリートカーを送り出すアルピナが、新型モデル「B4グランクーペ」を日独同時のタイミングとなるワールドプレミアを実施した。
2022年3月にアルピナは、ブランドの商標権をBMWに譲渡することを発表。その動向に、世界中のオーナーやクルマ好きたちが注目している。もちろん、今回の新型車は、純度100%のアルピナマジックだ。そんな激変のタイミングで発表された最新アルピナを紹介しよう。
文/大音 安弘、写真/ニコル・オートモビルズ
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■世界初公開された新たな4ドアクーペのアルピナ
アルピナ社の日本総代理店であるニコル・オートモビルズは、2022年3月30日、新型モデル「B4グランクーペ」を発表した。ステアリング位置は、左右の選択が可能で、価格は1375万~1416万円。同日より予約受注を開始しており、日本導入は、2022年後半を予定している。
BMWアルピナB4グランクーペは、BMWの4ドアクーペ、「4シリーズグランクーペ」をベースに開発された振るコンプリートカーだ。最新モデルでは、クーペは4ドアクーペのみとなっており、このほかに8シリーズグランクーペをベースとした「B8グランクーペ」も日本導入されている。
■控えめだが、クールで上品な内外装
BMWアルピナの特徴のひとつが、オリジナルデザインを引き立てつつ、独自のアクセントを加えたエクステリアだ。BMWの高性能モデルと張り合えるスペックを備えながら、専用仕様となるエアロパーツのデザインは控えめ。
フロントスポイラーのアルピナロゴとサイドに映えるアルピナデコライン、特徴的な20本スポークデザインのアルミホイールなどのさり気ない演出が、エンスージャストの心に特別なクルマであることを訴えかける。実にクールな装いなのだ。
リアスタイルも、同様に控えめのリップスポイラーが装備され、バンパーデザインも4シリーズのデザインと調和するもので、派手なアクセントはなし。エキゾーストシステムは、専用の4本出しとなるが、口径も常識的なサイズで、バンパーとの一体感を見せる。
ボディカラーでは、BMW純正色に加え、伝統のアルピナブルーとアルピナグリーンも選択することができる。
インテリアも同様にエレガントさを重視したもの。基本的なデザインはベース車と同様となるが、専用デザインのブルーのデジタルメーターやインテリアトリム、アルピナ車を示す専用メタルエンブレムなど特別感を演出する。
さらにオーダーによる高品質なレザー内装やさまざまなインテリアカラーコーディネートなどに仕上げることも可能だ。
■伝統の専用チューンとなるエンジンと足回り
搭載される3L直列6気筒ツインターボエンジンは、4ドアセダンとツーリングワゴン「B3」に搭載されるものをベースとしているが、新エキゾーストシステムと刷新されたソフトウェアにより、さらなる高性能化を実現。最高出力は、33psアップの495ps、最大トルクは30Nmアップの730Nmを発揮。
共同開発を行ったZF製8速ATとの組み合わせで、0-100km/h加速は、わずか3.7秒。最高速度は301km/hにも達するという。エンジンチューニングでは、安定した性能発揮をサポートするクーリングシステムも専用化されているのもポイント。
この高い信頼性が世界のクルマ好きのビジネスマンからも、ビジネスエキスプレスとして高い信頼を受ける要因のひとつとなっている。
もちろん、サスペンションや標準となる4WDシステムにも、手が加えられており、強化されたブレーキシステムは、さらなるアップデートとして、ドリルドローターが組み合わされる高性能ブレーキシステムも用意。
また、足元の伝統的なデザインの専用アルミホイールは、20インチという大径にもかかわらず、1本約12kgという軽量さだ。
組み合わされるタイヤは、ピレリ製の高性能タイヤ「Pゼロ」の専用チューニング仕様で、タイヤ側面には専用品を示す「ALP」の文字が刻印されている。さらに冬期シーズン向けの専用ウィンタータイヤもピレリから提供されるという。
■アルピナは永遠に……
最後にアルピナの今後について触れておきたい。BMWへブランド譲渡されることとなったアルピナは2026年以降、BMWの高級車ラインナップのひとつとして加わることになるという。
しかし、2025年末まではこれまで同様、現アルピナ社で車両開発と製造は継続されるという。それは2026年以降も生産地こそ異なるが、現在のようなアルピナ色の強いモデルが残る可能性も高いとも受け取れる。さらにいえば、2025年までに、現体制による新たなBMWアルピナ車の投入予定もあるそうだ。
将来の展望について、現在のアルピナ社は今後、ボーフェンジーペン社と名称を変え、創業家によるファミリー企業の経営を継続していく。新たにクラシックカー関連事業への投資やこれまでと異なる新たなモビリティの開発にも挑戦していくとしている。そのなかでこれまでの経験と技術を他ブランド社にも提供されるというから興味深い。
そのうち、クラシックカー事業では、アルピナレストア事業にも取り組む計画だ。もちろん、歴代アルピナ車のパーツの提供はしっかりと継続されていくとのことなので、ひとまずオーナーは安心してよさそうだ。
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