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ブガッティ シロンがアウトバーンで417km/hを達成。3車線のデッドストレートの高速道路で、1,500馬力のブガッティ シロンが時速417kmという驚異的な数値を叩き出した。高速走行の裏話を紹介!

アップデート: 現在、ドイツ連邦運輸省は417km/h走行についてコメントを発表している。AP通信の取材に対し、運輸省は道路交通規則(StVO)の第1項について言及している。これは、「交通に携わる者は、いかなる者も、他の者に危害を加えず、危険にさらさず、妨げず、いかなる状況下においても、迷惑をかけないように行動しなければならない」と定めている。
追記: 「すべての道路利用者は、道路交通法の規則を遵守しなければならない」、そして、「車両を運転する者は、車両が常に制御できるような速度でのみ運転することができる」と、定めている。
「アウトバーン(高速道路)A2」の区間には、速度制限がなく、ブガッティ シロンのチェコ人オーナー、ラディム パッサーはコントロールを失っていないため、いかなるルールも破っておらず、したがっていかなる処罰も恐れる必要はないはずだ。
しかし同時に、この最高速度運転によって、一般的な速度制限の議論が再燃しそうだ。

これが、日曜の早朝、3時55分、ウィッテンベルク付近での出来事だ

ラディム パッサーは、時速400km超のスピードトライアルを敢行した。
そして、おかしな話かもしれないが、彼は安全を第一に考えていたのだ。
「アウトバーンA2」の10kmの区間。
デッドストレート、3車線、日曜の早朝、交通量はほとんどない。
ここが高速走行の舞台となる。
この区間は、スピードジャンキーであるパッサーにとって、初めての記録挑戦ではないので、熟知している場所でもある
「シロン」のほかに、パッサーは、1001馬力の先代「ブガッティ ヴェイロン」も所有する、ガソリンヘッドだ。
「ヴェイロン」の最高速度は407km/hだ。
ブガッティオーナーの99%は、自分のクルマがそんなに速く走れることを知っていれば十分だが、パッサーは、合法的に、そしてできるだけ安全に、可能な限りの限界を試したかったのだ。
しかし、このプロジェクトは困難を極めた。

2015年、パッサーはヴェイロンで402.5km/hを達成する

2011年4月の早朝、気温が低すぎたために、タイヤ空気圧センサーが誤作動を起こし、パッサーの「ヴェイロン」の最高速度挑戦という最初の試みは失敗に終わった。
それからわずか1年後、パッサーは再び「ヴェイロン」でヴィッテンベルクにやってきたが、今度はギアボックスのトラブルでストップしてしまった。
しかし、チェコ人にとって、あきらめることなどもっての他であった。
3年後、3度目の挑戦。
そしてついに成功!
2015年5月、ついに400km/hを突破した。
計測器は402.5km/hという驚異的な数値を示した。
これは当時、公道で達成した最高速度の世界記録でもあった。
しかし、パッサーはこれで満足することはなく、もっと速く走りたいと願っていた。

ブガッティがOKを出したシロン

2018年に「シロン」が納車されるや、ラディム パッサーは1500馬力のハイパースポーツカーで新たな最高速走行を試みたいとすぐに思った。
しかし、最終的な実現までには、さらに3年の歳月を要した。
そして、2021年7月、ついにその時がやってきた。
時速400kmでの走行に向けて、「シロン」はモールスハイムのブガッティ工場に送られ、完全なチェックを受け、ブガッティはゴーサインを出した。

綿密な準備に加え、プロジェクトには早期のスタートが求められる。
日曜日の午前3時55分、パッサーはチームや知人たちと一緒に出発する。
実際の高速走行は、午前4時50分に開始された。
先日アップロードされた動画では、ドライブの様子を最初から最後までノーカットで見ることができる。

200km/hから300km/hまで10秒以下

短い左ターンの後、パッサーは一気にアクセルを踏み込む。
驚異的なスピードで前進するシロン。
重ね合わせたスピードメーター(+GPS速度)の数字がやっと追いつく程度だ。
200~300km/hは、動画では10秒弱かかっている。
GPS速度が301km/hのとき、スピードメーターが315km/hを示しているのは興味深い。
スピードメーターがわずかにずれることは珍しいことではないが、映像の中でこの効果が突然逆転するのである。
まず、4基のターボチャージャーと1,500馬力の8.0リッターW16が、シロンをさらに、さらに加速させる。
時速340kmを超えると、最強のスーパースポーツカーでさえ最高速度がkm/h単位で伸び悩む領域だが、シロンのスピードメーターは5km/h刻みで動いているのだ。

“Have a nice day”

371km/hでGPSの速度とスピードメーターの速度が水平になる。
わずか数秒後、時速400kmの魔法の壁が崩れ落ちるが、「シロン」はひたすら加速し続ける。
2分34秒、ブガッティはGPSによれば417km/hという驚異的なスピードに達するが、スピードメーターはそれをわずかに下回る414km/hを示す。
その時、シロンはパッサーの知人が運転する黄色のポルシェ911(992)ターボSカブリオを追い越した。
時速417kmのブガッティが目の前を通過するのは、どんな気分だろう。
「シロン」のエアブレーキを兼ねた格納式リアウイングの下側には、「Have a nice day!」と書かれているのだ!
パッサーからのフレンドリーなメッセージだ。

Text: Jan Götze
Photo: autobild.de