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 乗りバスレポート、今回はJR小岩駅と都営新宿線瑞江駅を結ぶ京成バスの路線3兄弟のうちの一つ、「小76」系統だ。「小72」「小73」「小76」3兄弟のうち小73系統はすでに記事にしたので、今回は3兄弟の2路線目。今回は小岩駅から瑞江駅に向けて乗車した。運行担当は京成バス江戸川営業所だ。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


3ルートのうち最も西側を走る

 小岩駅と瑞江駅を結ぶ京成バスの路線は3本あり、路線はほぼ重複なしで全区間が江戸川区内で完結することは小73の記事でも述べた通りだ。江戸川区は東西の移動は地下鉄や鉄道があるが南北の鉄道路線はない。

 江戸川区は例えば、環七通りに京成バスに委託してシャトルセブンを走らせていて、コロナ前までは増便に増便を繰り返して、特急の設定もあるほど盛況な路線もある。

小76系統

 シャトルセブンの話は別の機会に譲るとして、小73系統が柴又街道をひたすら、ほぼ直線的に小岩駅と瑞江駅を結んでいたのに対して、小76系統は小73系統の西側を走る。東西の位置関係でいうと、西から小76、小73、小72という順序になる。

小岩駅ホームにギリギリで付けるシャトルセブン

 小岩駅のバス停は3路線すべて別に設けられているが、小76系統ののりばはJRの改札の向かい側なので、横断歩道を渡ってから乗車する。途中にある1面1線のバスホームにはシャトルセブンや空港行きのリムジンバスが発車する。

 狭い小岩駅ロータリーにハイデッカーのリムジンバスが入線する場面は、教習所で猛練習した「狭隘路」によく似た状況だ。小76系統の基本は小岩駅から瑞江駅経由江戸川スポーツランドを結ぶが、行先が江戸川清掃工場の便や、瑞江駅は通らず葛西駅に向かう便も毎時1本程度ある。

フラワーロードだけが小73との重複区間

 小岩駅を出発した小76系統は、フラワーロードという長い商店街を千葉街道に向けて走る。この区間は小73系統と重複路線でもあり、京成タウンバスやリムジンバスも通るバス街道でもある。

FMえどがわのスタジオ

 江戸川区他の比較的広いエリアをカバーするコミュニティFM局の「エフエムえどがわ」のスタジオは商店街の中にあり、生放送中はパーソナリティが話している様子を眺めることができる。バスの行き違いで運よくスタジオの前に停車すればバスからもよく見える。

 ちなみに送信所は船堀駅の前にあるトキビルなので見通しがよく、空中線電力(出力)はたったの50ワットながら、海上であれば浦賀水道あたりまで受信できた実績がある。

 受信報告書を出せば距離に応じたデザイン違いの受信確認証を発行してくれるので、FMラジオの付いたスマホをお持ちの場合は聴取してみてはどうだろうか。

千葉街道で小73系統と別れる

 千葉街道に出ると、小73系統は左折して柴又街道を目指すが、小76系統は右折して鹿本通りを南に向けて走る。川は見えないものの新中川に沿って走り、しばらくすると首都高速7号小松川線の下を少し東に進路を取り、再び南に向けて瑞江駅の西側に出る。

 瑞江駅の前で反対側から走ってくる小73系と出会うことになる。葛西駅発着系統は首都高速をくぐり直進、一之江駅を経て葛西駅に向かう。

左折は小73系統・こちらは右折

鹿骨って鹿と関係がある?

 小76系統の経由地である「鹿骨」という地名は「ししぼね」と読み、意外にも歴史が深く奈良時代にまでさかのぼるという。言い伝えによれば漢字が示す通り鹿の骨を埋葬したことに由来する。

 鹿島神宮から奈良の春日大社に神獣である鹿を連れていく道中に当地で鹿が死んでしまったために、この地に葬ったのが由来とされる。現在では江戸川区の区民館(出張所)が置かれ地域の中心的な役割を担う。

「鹿骨」は由緒ある地名

 江戸川区には現代にも残る歴史ある地名が多く、例えば小松川は当時の川から採られた地名だが、現在でもよく食べられる小松菜の由来となった場所だ。小松菜の由来は諸説あるが、いずれにせよ江戸川区の名産品である。

 小松菜で作ったお菓子は瑞江駅ロータリーにある和菓子店でも売られていて、お土産品として人気が高い。

入出庫路線でも乗降は多い

 いったん瑞江駅に入った後、また元の道に戻り、小72系統や新小71系統の小岩駅・新小岩駅方面と同じルートで江戸川スポーツランドに向かう。江戸川スポーツランドは京成バス江戸川営業所があるので、瑞江駅から先は入出庫便のように見える。

瑞江駅・小76系統のりば

 しかし瑞江駅から江戸川スポーツランドの区間でも乗降は多い。歩くには遠く自転車でちょうどよい距離では、病院や買い物の用事で瑞江駅にくる高齢者はこの区間のバスが必要なので瑞江駅からの乗車もある。

距離も時間も3兄弟中2番目

 この3兄弟路線のうち小76系統は小岩駅・瑞江駅間に限れば距離は6km弱、時間は30分程度と、小73系統よりも距離も時間も若干長く、小72系統よりも短い。しかしこちらも鉄道空白地帯で区間利用が最も多いので通しでの距離は時間はあまり関係がなく、自宅や目的地に合わせて乗り分ける感じだろうか。

小76系統路線図

 3兄弟のうち2路線を選択して往復乗車すれば約1時間強なので、乗りバスにはちょうど良い時間だ。両端が鉄道駅なのでアクセスしやすく沿線風景も往復で異なる選択が可能なので、同じ行先で逆に走り去る乗りバスを体験してみてはいかがだろうか。なおこの系統には深夜バスの設定はない。

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