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 ハイブリッド非搭載のル・マン・ハイパーカー(LMH)を開発しWEC世界耐久選手権への参戦を目指すバイコレスは3月31日、ドイツ西部のツヴァイブリュッケン飛行場において、『ヴァンウォール・バンダーベルLMH』のシェイクダウンを行った。

 オーストラリア籍で、拠点はドイツに置くコンストラークター、バイコレス。そのオペレーション・ディレクターによれば、この最初のテストで新型LMHは時速300kmをマークしたという。同飛行場は以前はレーストラックであり、1990年代後半にはADACスーパー・ツーリングが開催されていた。

 バイコレスは過去数カ月にわたってこのマシンを開発しており、3月25日にはその実車の画像を初公開していた。現在、開発プログラムはトラックテストの段階へと移行している。

バイコレスが公開した『ヴァンウォール・バンダーベルLMH』
バイコレスが公開した『ヴァンウォール・バンダーベルLMH』

 この車両はWEC最高峰ハイパーカークラスに参入し、トヨタ、プジョー、グリッケンハウスなどのLMH車両、そして同クラスに来季より正式に参戦が許されるLMDh規定の車両と、競い合うことを目指している。

「大きな挑戦だったが、クルマは最初から走ることができて、とても素晴らしかった」とオペレーション・ディレクターのボリス・バーメスは語った。

「とても速い速度を出すこともできた。この飛行場で可能な300km/hまで上げることができた」

「すべてがうまく機能していることを確認するために、メカニカルな側面の電気システムをいくつかチェックした。雨が降っていたので、そのようなコンディションですべてがきちんと機能するか確認するのは難しく、とても興味深いものだった」

「それは、車両全体をチェックすることだった。古い飛行場サーキットのレイアウトを周回することもできた」

 このシェイクダウンは元LMP1ドライバーのクリストファー・ブシューが担当したが、オフィシャル開発ドライバーのトム・ディルマンとエステバン・グエリエリがまもなくテスト業務を引き継ぐ予定だ。

 開発および多くのデータ収集を進めるため、バイコレスは来週ヨーロッパ内の公認サーキットで初めてクルマを走らせるものと理解されている。

 バーメスはこのシェイクダウンが、バイコレスにとっての重要なマイルストーンであると述べている。

「我々は少人数のグループと、白紙から、クルマを作った。大きなチャレンジだった。シェイクダウンは、チーム全員にとって素晴らしいフィーリングだった」

「次のステップは正式なサーキットに車両を持ち込み、そこで開発をして、すべてのシステムをチェックすることだ」

 バイコレスは2023年のWECフル参戦を目指し、この夏の間、LMH車両で定期的なテストを実施する予定だ。

 バイコレスは2022年シーズンのエントリーリスト入りを狙っていたが、そのエントリー申請は「基準を満たしていなかった」と選手権側に拒否されていた。

 FIAとACOフランス西部自動車クラブは最近、LMDh車両が2022年のWECのイベントにレース・バイ・レース(1戦ごと)でエントリーすることを許可しているが、バイコレスはこの発表に基づいて、2022年のWECのレースで『ヴァンウォール・バンダーベルLMH』を走らせることに関心を示したと理解されている。ただし、FIAからの発表で触れられているのは、LMDh車両についてのみだ。