今回は、「ねじ部品」についての説明です。
初めに
身の回りのありとあらゆるものにはねじが使われています。
飛行機・自動車・TV・エアコン・洗濯機など、何にでもです。
ねじといえば、螺旋状になっていてプラスドライバーやマイナスドライバーを回すことで物を固定するあの部品を思い浮かべますよね?
今回は、そんな当たり前のように身の回りに存在するねじについてまとめていこうと思います。
『そんなまとめるようなことあるの?』と思うかもしれませんが、結構あるんですよ。
ねじって何?
個人的にはねじと聞くと日向は木の葉にて最強のコラが真っ先に頭に思い浮かびます。
そもそもねじって何だろうという話からです。
ねじとは、物を固定したり締め付けたりする為の部品のこと…ではないです。
厳密には、物を固定したり締め付けたりする為に表面に一様に入れられた螺旋状の切り込み部分がねじです。
つまり、切り込みが入った細長い棒状の部分のことを本来はねじと呼ぶようです。
ねじを回す為の頭部分をヘッド、ねじにヘッドが付いた部品をボルトと呼びます。
下図の左側がヘッド、右側がねじ、全体がボルトというイメージです。
なので、私達が普段ねじと呼んでいるものはどちらかというとボルトに当たります。
本来の区別は以上の通りなのですが、私のような一般人でそこの区別を明確にしている人は皆無ですし、そもそも”ねじ”という言葉は螺旋状のものを指す言葉でもあるようなので、使い方として間違っているわけでもないようです。
あまり深く意識する必要はなさそうですね。
ねじだろうがボルトだろうが意味が伝わればいいんですよ。
また、ボルト・ワッシャー・ナットなどのねじに関わる部品のことをまとめてねじ部品と呼びます。
ワッシャーとナットの説明は後でします。
ねじとアクチュエータの関係
固定や接合をする役目を持つ部品がねじだと思われがちですが、回転することで何かを移動させたりするようなものもねじと言えます。
回転運動を直線運動に変換して物体を移動させるねじを送りねじと呼びます。
モータやジャッキがまさにこれです。
例えば、スライド式のアクチュエータ(工場見学で一度は見たことがあるであろう2点間の往復運動という単純な動作をする電動機)の中にはモータが入っていて、そのモータにはボールねじと呼ばれる長い・でかい・重いの3点揃ったねじが取り付けられています。
このボールねじの切り込みのパターンを変化させるとモータ1回転ごとにスライドする距離も変化します。
ねじ1回転ごとに進む距離のことをリードと呼び、リード4と記されているアクチュエータはモータ1回転につき4mm進むことを表しています。
一般的には移動速度が速いほどパワーが弱くなりますが、その辺りの説明をしだすと話が完全に脱線するのでこの辺りでストップしておきます。
おねじとめねじとねじのサイズ
ねじを横から見ると、切り込みにより山と谷ができます。
この山部分をねじ山と呼びます。
そして、切り込みの入った円筒状のねじのことをおねじ(雄ねじ)、おねじを嵌める為に穴の内面にねじ山を設けたものをめねじ(雌ねじ)と呼びます。
私達が普段ねじだと思っている部品がおねじ、ねじを嵌める穴がめねじということです。
ちょっと難しい言い回しにすると、締結物がおねじで被締結物がめねじです。
おねじの外径(山の径)とめねじの内径(谷の径)を呼び径と言う為、めねじの径はおねじの外径を以て表されます。
呼び径とはねじの太さのことです。
よくM4ねじ、M8ねじというような単語を耳にしませんか?
あれが呼び径、つまりねじの太さを表しているわけです。
例えば、M4ねじと言ったらねじの太さが4mmのねじを指していることになります。
ねじのサイズは以下のように表します。
M4 × 10
この場合、「M4」部分が「呼び径(ねじの太さ)」、「10」部分が「ねじの長さ」を表しています。
ねじの長さの単位は[mm]ですが、inch表示されている場合もあります。
ねじの長さは被締結物(めねじ)内に嵌め込まれる部分の長さを指しているという点は注意が必要です。
大体のねじはヘッドを含まない部分のねじの長さを表しています。(下図左側)
ですが、皿ねじ(ヘッド部分が円錐状になっているねじ)はヘッドまで含んだねじの長さを表しています。(下図右側が皿ねじ)
皿ねじはヘッド部分まで被締結物にピッタリと嵌め込まれるのでこのような違いがあります。
また、おねじの内径(谷の径)は有効径と呼びます。
ワッシャーとは?
ワッシャーとは、ねじ締めの際に被締結物との間に挟む部品のことです。
座金とも呼びます。
ねじのヘッド部分と被締結物の間に挟んで接触面積を増やすことで、ねじ締め時に単位面積当たりに加わる力を小さくしてくれます。
簡単に言うと、力を分散させてくれます。
例えば、爪楊枝と綿棒を同じ力で手に押し付けたら、先端が細い爪楊枝の方が手にめり込みますよね?
あれは、接触面積が小さいと一点に加わる力が大きくなるからです。
その関係で、ワッシャー無しでねじを締めた場合に接触面に過剰に力が加わることにより被締結物が歪んだり陥没してしまうことがあります。
その為、ねじを使う場合はとりあえずワッシャーも使っているという場合は多いです。
また、単純に被締結物の傷つき防止として使用するワッシャーもあります。
ちなみに、ねじのヘッド部分と被締結物の接触面のことを座面と呼びます。
ワッシャー(座金)の種類には、平座金・ばね座金・歯付き座金などがあります。
ナットとは?
ナットとは、おねじの固定に使用するめねじのことです。
※ めねじ:おねじを嵌める為に穴の内面にねじ山を設けたもの。
正六角形になっている六角ナットのことを一般的にはナットと呼びます。
他にも様々な種類があるものの、機械系の人でもない限りほとんど六角ナットしか見ることは無いです。
個人的には六角ナット以外には四角ナット(正方形のナット)くらいしか見たことが無いです。
普通はボルト1つにナット1つですが、ナットを2つ取り付けることで振動による緩みの防止効果を高めていることがあります。
これをダブルナットと呼んでいます。
ナットを2つ取り付けるとナット間に引張力が発生してより締め付けが強固になると言われています。
ねじの種類
ねじの種類についてです。
ねじの種類なので、螺旋状の切り込みの形状や構造の違いで分別されます。
三角ねじ・台形ねじ・角ねじ・ボールねじなど様々な種類があります。
ボルトの種類
ヘッドが付いたねじがボルトに当たる為、おねじの種類のような認識でもあります。
名前が「〇〇ボルト」ではなく「〇〇ねじ」となっているものもありますが、そういうものだと思ってください。
分類的にはボルトな気がするけど。
プラスねじとマイナスねじの違い
プラスねじとマイナスねじが存在しますが、日常生活では基本的にプラスねじしか使うことは無いかと思います。
実際、世間一般で広く使用されているのはプラスねじです。
では、何故プラスねじとマイナスねじが存在するのでしょうか?
まず、プラスねじとマイナスねじでは先に開発されたのはマイナスねじです。
マイナスねじは切り込みを入れることで溝を作っていて、プラスねじは金型に押し付けることで十字形の溝を作ります。
この違いから、最初は成型の手間がかからないマイナスねじが主流でした。
ですが、実際にドライバーでねじを回したことがある方はわかると思うのですが、マイナスねじはプラスねじと比較して回しづらいです。
一本線が十字形に変わるだけで力の入り具合が全く違うんですよね。
この「プラスねじはより正確に締め付けが可能」という点が注目され、プラスねじとマイナスねじの主流は入れ替わりました。
では、何故わざわざマイナスねじを残しているのかが疑問になりますよね?
それは、プラスねじのデメリットに関係してきます。
プラスねじはプラスドライバーがフィットすることにより正確な締め付けが可能になるので、十字形の溝に汚れが詰まったり錆びたりすると途端に回らなくなります。
溝の汚れを取り除こうにも、十字形の溝から除去するのは難しいです。
それでも無理に回そうとすると、溝の形状が変化して所謂「なめた」状態になってしまいます。
その点、マイナスねじは溝が一本線なので汚れの除去が容易です。
なので、回しづらいというデメリットを加味しても環境によってはマイナねじの方が適している場合があるわけです。
こんな経緯でプラスねじとマイナスねじが存在しています。
以上、「ねじ部品」についての説明でした。