電力大手10社が先月28日、2022年3月の電気料金を発表した。発表によると、3月の電気料金は標準家庭の場合、東京電力が283円、中部電力が292円、関西電力が55円の値上がり。北陸電力を除く9社で値上がりすることになる。
電力料金値上がりの原因を電力各社は、火力発電に使うLNGや液化天然ガスなど、燃料の輸入価格上昇が続いたためとする。日本では、発電量の75%以上を火力発電に依存している。
再エネ賦課金が10年間で15倍!
ただ、消費者が電力料金の値上がり感を覚える理由は、燃料価格の上昇だけではないだろう。再生可能エネルギー発電促進賦課金、通称「再エネ賦課金」の存在をご存じだろうか。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電を推進していくために作られた制度で、電気を使うすべての人から徴収されている。要は、「原発から再生可能エネルギーによる発電に転換するためには金がかかる。その金は国民が支払え」というものだ。
再エネ賦課金の徴収は、福島第一原発の事故翌年の2012年から始まったが、年々、その金額は大きくなっている。2012年度は1kWhあたり0.22円で、標準家庭の負担は年額792円だった。
ところが、2016年度には1kWhあたり2.25円、標準家庭の負担は年額8100円に値上がり。値上がりはその後も続き、2021年5月分~2022年4月分までの2021年度の再エネ賦課金は1kWhあたり3.36円、標準家庭の負担は年額1万2096円だ。2012年と比べると実に15倍に膨れ上がっている。
つまり、このところの電力料金の値上がりの理由は、燃料の輸入価格上昇と再エネ賦課金の上昇のダブルパンチというわけだ。ネット上でも、再エネ賦課金の上昇を批判する声が目立つ。
再エネ賦課金が高すぎる!早く原発再稼働しろよ
再エネ賦課金だけは、納得行かねえ。さっさと原発まわせ。
野党が訴えるべきは、太陽光偏重のエネルギー政策の是正、消費税よりも高い再エネ賦課金の是正、そして原発再稼働じゃないの?
元経済産業省官僚で、政策アナリストの石川和男氏もツイッターで、「311震災の翌年に導入された再エネ買取制度による賦課金がクソ高い」と指摘している。
このNHK記事は、以下の本質的な問題点を報じていないので、追記しろ。
1️⃣311震災後の原子力発電所の政治的な強制停止状態が改善されていないので、原子力を代替する化石燃料費用がバカ高い。
2️⃣311震災の翌年に導入された再エネ買取制度による賦課金がクソ高い。
https://t.co/IQCdBH6yQP— 石川和男(政策アナリスト) (@kazuo_ishikawa) January 29, 2022
原発再稼働の声に柏崎市民は…
こういった現状を、原発立地地域の住民はどのように考えているのだろうか。サキシルでは、柏崎刈羽原発のある柏崎市民(50代、会社員女性)に話を聞いた。
「早く原発再稼働してほしいというのが正直なところです。柏崎にも古くからの飲み屋街がありますが、この10年ほどで急速に衰退してしまいました。商店街も同じです。原発が再稼働されれば、作業員の方もまた集まるでしょうし、街も少しは活気づくのではと思います。ただ、おおっぴらに原発再稼働賛成と言えないような空気はありますよね」
なお、直近の柏崎市長選挙は2020年に行われているが、原発再稼働に条件付きで容認の姿勢を見せていた桜井雅浩氏が、再稼働反対派が擁立した元参議院議員、近藤正道氏を破り再選を果たしている。桜井氏は次点の近藤氏に2万票以上の大差をつけ、得票率は73.8%に上った。
再稼働容認を明らかにしている原発立地地域の首長は、桜井氏だけではない。福井県高浜町、静岡県御前崎市、愛媛県伊方町、福井県敦賀市、佐賀県玄海町、島根県松江市。濃淡こそあれ、いずれも原発再稼働派が首長となっている。
東海第二原発が立地する茨城県東海村の山田修村長に至っては、雑誌インタビューで、原発不要を主張する人に対して「全ての外部電源を遮断して、自家発電だけで生活してもらわなくては。自宅から一歩も出てはいけない」とまで述べている。
福島第一原発の例を挙げるまでもなく、原発には危険な側面も確かにある。取返しのつかない事故を起こす可能性もあるだけに、再稼働反対派が心配する気持ちもよくわかる。ただ、原発再稼働賛成の意見さえ言えないような社会はおかしいのではないだろうか。