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暗号資産エコシステムにおいて、ウォレットはおそらく最も重要なタッチポイントであり、取引所やスマートコントラクトへのゲートウェイとして機能する。このため、人気のウォレットアプリを開発しているスタートアップは、消費者の暗号資産への投資機会に最も近い場所に位置していると同時に、骨の折れるオンボーディングの課題や過酷な詐欺環境など、Web3の未解決の問題の多くに取り組む責任を負っている。

Phantom(ファントム)は、Solana(ソラナ)エコシステムの主要なウォレットアプリの1つで、投資家やデベロッパーが過去1年間で価値が爆発的に上昇したEthereum(イーサリアム)の競合製品に注目した結果、勢いを得た(この比較的新しいトークンも最近の暗号資産の暴落で大きな打撃を受け、変動が激しいことが判明しているが)。

サンフランシスコの暗号資産スタートアップである同社は、このSolanaへの注目を、Paradigm(パラダイム)がリードする12億ドル(約1382億円)の評価額の1億900万ドル(約125億5000万円)の資金調達ラウンドに変えた。このモンスターユニコーンラウンドは、Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードする900万ドル(約10億4000万円)のシリーズAをクローズしてから6カ月後のことだ。当時のアクティブユーザー数は4万人だったが、現在は210万人に達しており、CEOのBrandon Millman(ブランドン・ミルマン)氏は、週に10万人のユーザーをコンスタントに獲得していると述べている。

Phantomの次の大きな野望は、マルチチェーン化と、Solanaエコシステム以外の別のブロックチェーンのサポートをウォレットに追加することだ。同社はリソースをどこに集中させるかについては明らかにしていないが、ほとんどの暗号資産デベロッパーが注目しており、MetaMask(メタマスク)のような競合他社が大きく立ちはだかるEthereumのEVMスタックと互換性のあるブロックチェーンのサポートを追加しようとしていることだけは明らかにしている。

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マルチチェーンへの対応はビジネスチャンスの拡大を意味するが、同時に複数のエコシステムへの対応も必要となり、現在約20名の従業員を擁するPhantomにとっては課題となる。しかし、同社チームは新しい資金で規模を拡大する予定だ。

「エンドユーザーに最も近い存在である当社には、ユーザーを保護し、教育する責任があります。この2、3カ月の間に行った作業の多くは、ユーザーの安全性に関わる機能の開発でした」とミルマン氏はTechCrunchに語った。

同社はモバイルでのプレゼンスを拡大しており、資金調達のニュースと同時に、一般にiOSアプリのロールアウトを開始し、今後数カ月のうちにAndroidネイティブアプリをリリースすることを発表した。PhantomのサイトとChrome拡張機能に付随するこれらのアプリは、暗号スペースに新しい消費者の波を呼び込むための取り組みの一環だが、エコシステムの中には、Web3スペースが技術的知識が少ないプレイヤーの波に対応できるかどうかを疑問視する声も少なくない。

「あらゆる観点から見て、スペース全体が非常に早い段階にあると言えるでしょう。このすべてがどうなるか、誰にもわからないと思います」とミルマン氏は語る。「スタック全体にわたって、まだまだ、プロのユーザー向けになっています。一般的には『まだコンシューマー向けではない』と言われることが多い分野ですが、我々はそのギャップを埋めるチームになりたいと思っています」。

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画像クレジット:Phantom

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)