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冬のドライブの極意はこれだ!! ~真冬の運転に必要な心構えを説く~

 冬の寒さも深まる2月、雪に降られた方も多くなってきたのではないだろうか。雪はもちろん道路にも積もり、場合によっては大幅に路面の状況を変えてしまう。

 そこで今回は真冬の降雪時、ドライブする時に必要な心構えについて解説してもらった!

文/斎藤 聡
写真/池之平昌信、西尾タクト

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■グリップしないタイヤで雪道を走るのは危険そのもの

 結論は「スタッドレタイヤを履く」、これ一択です(冬用タイヤも可、M+Sは不可)。これは物理的な話で、タイヤのゴムは気温が下がると硬くなります。気温が低くてもドライ路面ではそれなりにグリップしてくれますから危機感を覚えないのですが、雪が降りだした途端、全然グリップしなくなってしまいます。

M+S規格のタイヤはオールテレーンタイヤとも呼ばれ、クロカンSUVに新車装着されていることもある。浅雪程度であれば走れるが、深く積もった雪が相手だと厳しい

 シャーベット状になった路面も同様で、坂道どころか駐車場に入るためのわずかなスロープでさえタイヤが空転して前に進まなくなってしまいます。

 そんなグリップのないタイヤで、街中や高速道路を走ること自体が無謀なんです。「以前雪が降った時には大丈夫だった」とか、「雪が降り出したばかりだから大丈夫だと思った」とか、そんな言い訳が聞こえてきそうですが、事故を起こさなかったのがたまたまで、事故を起こして当然の状況です。そのくらい危険だということです。

■スタッドレスタイヤでも大雪には勝てない

 大雪になるとスタッドレスタイヤでも走りにくくなったり、走れなくなったりすることもあります。これは走行の可否がケースバイケースなのでなかなか厄介です。

 北海道によくみられる軽い雪だと10cm以上積もっていても走れますが、湿気を含んだ重い雪だと10cmも積もると抵抗が大きすぎて前に進めなくなることもあります。こんな場合、いったん止まってしまうと再スタートとできなくなることもあります。特に上り坂は注意が必要です。

湿気を含んだ重い雪の場合、10cmも積もると抵抗が大きすぎて前に進めなくなることもある。スタッドレスタイヤを履いているからといって油断は禁物だ

 これも実話なのですが、軽く下ってそのあと登る窪地のようなところで、いったん停止したばかりににっちもさっちもいかなくなった数台のクルマを見ました。

 運転しているのがFF車だったので経験上、これは止まったらダメなやつだと思い、道幅が広かったことにも助けられ、止まらないようにルートを選び止まっているクルマの脇を抜けて窪地を走り切ることができました。

 たとえ動かなくなってしまったクルマを助けるためでも、ミイラ取りがミイラになってしまっては元も子もありませんので、自分の置かれた状況を冷静に判断して安全を確保したうえでないと、さらにほかの人に迷惑をかけることにもなりかねません。

■雪道はグリップ限界の低下幅が大きい

 昨年から今年初めにかけてボクは北海道の雪上ハンドリングサーキットにいました。そこでレクチャーをしていたのですが、気になったのはスピードのコントロールの甘いドライバーです。

 道内の方は巧いのですが、首都圏からいらした方は滑る路面の加減がわからず、減速しているつもりでも路面に対してスピードが速すぎる方が一定数いらっしゃいました。

 舗装路でのスピード感のまま圧雪路を走ってしまう方も何人かいらっしゃいました。舗装路面だとタイヤのグリップ限界ははるか上にあるわけですが、雪道の場合はわずか数km/hの違いでグリップ限界をあっさり超えてしまうこともあるわけです。

圧雪路は舗装路に対して路面μが小さい。舗装路と同じ調子で走るとオーバースピードだ

 それだけ路面のグリップ(μ)が低いのですが、それが実感としてわかっていない方がいるわけです。

■雪道のグリップ限界を確かめる方法

 雪道の運転に慣れない方にお薦めの効果的なグリップ限界の感じ方は、ブレーキを強めに踏んでABSを効かせてみることです。ボクも雪道に入ってまずやるのがABSを効かせてみることです。もちろん後続車がいないことを確認してです。

 できれば停止するまで(ここ重要です)、ABSを効かせ続けてみるといいと思います。同じ圧雪路でも、路面によって案外強めに減速感が出るところもあれば、減速感があまりなく、ABSだけがガリガリ言っているなんて路面もあります。

 ちょっと効かせただけではわかりにくいので、(状況が許せば)、完全停止するまで踏み続けます。特に20km/hを下回ってからの減速感は、ブレーキの効きとして実感しやすいようです。

■「縦グリップ」を感じ取れ

 人間は偉いもので、縦ブレーキでグリップの様子がある程度わかると横グリップもある程度想像がつくんです。少なくとも舗装路と同じように曲がるとしても滑ってしまうだろうな、という想像というか、イメージができるんです。

 だから縦と横のグリップバランスの悪いスタッドレスタイヤをボクは高く評価しません。

 ハンドリングサーキットでも幾度か雪上でABSブレーキを体験してもらうと、カーブでのオーバースピード度合いがぐっと少なくなるんです。

『極意』というほど大げさなものではありませんが、雪道を走る時に注意しておいてほしいのは『止まること』なんです。舗装路では止まるのは当たり前、特に街中の日常的スピードならブレーキを強く踏めば短く止まります。

 でも雪道ではブレーキを踏んでも止まりにくいし、止まらない場所や路面もあるんです。ですから、いつも止まることを意識して走るのが大切なんです。ABSを効かせるブレーキも1回だけじゃなく、シャーベット路、山の裏側(北斜面)街中など、路面が変わったら(安全を確認したうえで)試してみるといいと思います。


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