新型メルセデスEクラスは、小さなSクラスにフルモデルチェンジする。Cクラスに続き、次期Eクラスも兄貴分を模倣している。6代目は2023年に登場し、再びエステートとしても登場する予定だ。しかし、残念ながら、V8はラインナップから落とされる!
メルセデスは、2021年に30万台以上の「Eクラス」を販売した。
「W213」シリーズは2016年から発売されており、2020年春に大規模なモデルアップデートがあったとはいえ、そろそろ6代目の出番ともいえよう。
新型「Eクラス(W124)」は、2022年末に発表され、2023年から販売される可能性が高い。
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新型Eクラス、再びエステート仕様に
新型「Eクラス」には今回も、サルーン(W214)とエステート(S214)が用意されているのも、ドイツの人々にとっては重要なポイントだ。
最近、メルセデスがドイツでまだ人気の高いエステートをラインナップから外すという噂が増えているが、それは早くても2030年頃からの次の、しかし1世代後の話であり、まだ最終的な決定は下りていない。
そのころEクラスがあれば、の話だが。
次世代型「Eクラス」では、「クーペ」と「カブリオ」の2つのモデルバリエーションが廃止される。
厳密には、次世代以降は「CLE」として、かつての「CLK」のように、「Cクラス」と「Eクラス」のハイブリッドとして走り出すことになるのだ。
Eクラスは小さなSクラスになる
新型「メルセデスEクラス」は、まだ大きくカモフラージュされた最初のプロトタイプがつい先ごろ目撃されたばかりだ。
今後、「Eクラス」は「Cクラス(W206)」よりも、「Sクラス(W223)」をよりベースとすることになる。
目立つラジエーターグリルと細いヘッドランプを持つフロントは、骨太で気品があるように見える。
ボディと同一平面上にあるドアハンドルなどのディテールは、すでに現行メルセデスの一部モデルでおなじみだし、2分割のテールランプをクロームバーでつないだリアも見慣れたものだ。
新型「Eクラス エステート」は、その美点に忠実である。
外観は以前よりスポーティになったものの、デザインは引き続き、実用性に従ったものだ。
1,800リットルを超える収納スペースは、今後も継続されるだろう。
さらに冒険好きな人には、全輪駆動、板金、SUVのテイストを取り入れた上級の「オールテレイン」バージョンを用意し、エステートのさらなるこだわりを表現している。
ホイールベースは3m近くあり、トレッドも若干広くなっているため、さらに快適なドライビングが可能になっている。
「Sクラス」のように10度も操舵することはないだろう。
しかし、5度あれば、少し背の低いEクラス(5m弱)が実際よりもずっと扱いやすく感じられるはずだ。
Eクラス向けMBUXの次世代モデル
次期「Eクラス」では、さらにデジタル化が進む。
音声コントロールと人工知能をさらに進化させた次世代「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエキスペリエンス)」システムが動き出す。
特に後者は、旅の行き先を推測し、常に適切なプレイリストを提案することになっている。
「Sクラス」と同様に、ドライバーは3DメーターとAR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイを見て操作する。
さらに、さらに大きなインフォテインメントシステム(おそらくまた縦型)があり、助手席にも専用のスクリーンが用意される。
もちろん、最新世代のアシスタントも搭載される。
一方、「Eクラス」は、今のところ自律走行は「Sクラス」とその電動派生モデルである「EQS」に任せ、レベル3の機能はモデル生産期間中に追加することを計画している。
メルセデスはディーゼルにこだわる
新型「Eクラス」には、もちろんプラグインハイブリッドドライブが設定され、それには100km以上の電動航続距離と高速DC充電が搭載されている。
長距離の移動では、4気筒の内燃機関が役に立つ。
メルセデスが今後もガソリンとディーゼルの組み合わせに依存するのかどうかは、まだわからない。
ひとつだけ確かなことは、現行モデルでバッテリーによって生じていた起動時の気になる段差がなくなるということだ。
しかし、内燃機関のファンでも安堵のため息をつくことができる。
なぜなら、メルセデスは次期型「Eクラス」もガソリンエンジン、そしてやはりディーゼルエンジンモデルとして登場させるからだ。
頻繁に運転する人のための実用車として、メルセデスは「Eクラス」のディーゼルエンジンを引退させることはできないし、するつもりもないだろう。
一方、新開発のエンジンは予定されておらず、2リッター4気筒と排気量3リッターの直6が残り、いずれも48V駆動で260~430馬力の出力を発揮する。
ちなみに、純粋な「Eバージョン」として、「EQE」が、セダン専用ではあるものの、用意されている。
メルセデスAMG E 63にV8は搭載されない
しかし残念ながら、メルセデスは「Eクラス」でも人気の高いV8を廃止する。
現在も「E 63 S」で612馬力を発揮しているので、新型「AMG E 63」にはV8が搭載されないことになり、AMGファンは我慢を強いられる。
とはいえ、新型AMGがパワー不足になることはない。
つまり、「eターボチャージャー」を含む4気筒ターボ(M139)で、最高出力204馬力「eモーター」がサポートする。
そのため、パワートレインは最大650馬力と800Nmを超える性能を発揮するはずだ。
価格上昇の可能性が高い
もちろん、正式な価格はまだ先だが、我々は、新型「メルセデスEクラス」が55,000ユーロ(約720万円)前後から販売されると想定している。
現在、「E 200 d」セダンは50,605 ユーロ(約663万円)、エステートは 53,490ユーロ(約700万円)から販売されている。
しかし、アッパーバージョンに様々な装備を加えれば、すぐに8万ユーロ(約1千50万円)以上の価格にはなるだろう。
メルセデス・ベンツのフルモデルチェンジには法則性があり、まずは「Sクラス」がフルモデルチェンジされ、その数年後に「Cクラス」がフルモデルチェンジ、最後に「Eクラス」がフルモデルチェンジという順番を繰り返しながら進化し続けてきた。その法則は今回も守られ、おそらく来年には「W214」というコードネームの新型「メルセデスEクラス」がデビューするはずである。
もう見たまんま、というか、「Sクラス」と「Cクラス」の中間で、それぞれのモデルのイメージを引き継いだフルモデルチェンジだから、街ですれ違ったとしても、いったい「C」だったのか「E」だったのか、新型なのかそうではないのか判別つかないようなボディデザインだろうし、内容もおそらく「S」と「C」に準じた、エレクトロニクスデバイス満載なものになることも間違いない。価格も向上するだろうし、大きさも大きくなる可能性もあるが、一番安堵したのは、ガソリンモデルだけではなく、ディーゼルエンジンモデルもまだまだちゃんと用意されることで、そういう意味では正常進化の一台といえよう。
ではこの「W214」、最後の内燃機関の「Eクラス」になってしまうのだろうか?そればかりはなんともわからないが、個人的にはまだ最後ではなく、この次の「W215」にも何らかの形でエンジンのついたモデルも残るのではないのか、というのが希望的観測であり、様々な現状などを考えたうえでの個人的な予想である。そんな「W214」の登場まであと一年くらい。情報が入り次第追ってレポートしたい。
Text: Michael Gebhardt and Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Daimler AG