4月9~10日、2021/2022年ABB FIAフォーミュラE世界選手権“シーズン8”の第4戦と第5戦となるローマE-Prixがイタリア・ローマで開催され、ミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)が2連勝を果たした。
ダブルヘッダーで行われたローマE-Prix。9日の第4戦では、ポールポジションを奪ったストフェル・バンドーン(メルセデスEQフォーミュラEチーム)がトップをキープしながら1周3.385kmのストリートサーキットを周回していく。
1周目にはエドアルド・モルタラ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)に接触されたオリバー・ローランド(マヒンドラ・レーシング)がバリアに衝突するかたちでコースを塞いでしまい、後続マシンに混乱が発生。その直後にマキシミリアン・ギュンター(ニッサンe.ダムス)が単独でターン11のウォールにぶつかり早くもセーフティカーが導入される。
レースは残り時間35分で再開され、首位バンドーンが2番手のロビン・フラインス(エンビジョン・レーシング)と3番手ニック・デ・フリース(メルセデスEQフォーミュラEチーム)を従えて走行するが、残り29分でフラインスがバンドーンをかわしてトップに立つ。
しかし残り14分、バンドーンはターン6とターン7のあいだの上り坂でアタックモードを使用してフラインスを抜き去り、首位の座を奪還するも、3番手につけるチームメイトのデ・フリースは苦戦を強いられ徐々にポジションを落としていく。
そんななか追い上げを見せたのは、9番手からスタートしたエバンスだ。レース残り12分というところで3番手まで浮上していたエバンスは、終盤にアタックモードを使用する戦略でバンドーンとフラインスをオーバーテイクしトップに躍り出る。
このローマで優勝経験もあるエバンスは、後続を大きく引き離してトップを守りきり、トップチェッカーで今季初優勝を手に入れた。2位にはファンブーストを使用して争いを制したバンドーン、3位には残り2分でポジションを上げたジャン-エリック・ベルニュ(DSテチーター)が続いた。
続く10日の第5戦でポールポジションを獲得したのはベルニュとなり、2番手にはジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE)が続き、3番手にはアンドレ・ロッテラー(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)がつけた。
レースのスタートではベルニュがトップをキープするが、2番手争いはロッテラーとデニスが抜きつ抜かれつのバトルが繰り広げる。しかし、その間隙を縫ったのは前日覇者のエバンスとなり、ロッテラーとデニスをかわして早くも2番手に浮上してくる。
その後はランキングトップのモルタラがターン19でウォールに接触してしまい、そのまま走行していたがドライブシャフトの故障が疑われリタイア、直後に元F1ドライバーのアントニオ・ジョビナッツィ(ドラゴン/ペンスキー・オートスポーツ)がコース上にストップしてしまったためセーフティカーが導入された。
レースは残り時間24分で再開すると、狙いすましていたかのようにエバンスがホームストレートでベルニュをオーバーテイクし先頭に立つと、フラインスとロッテラーも順位を上げてくる。
まずアタックモードを使用したのはフラインスとロッテラーとなり、アタックモードを温存するエバンスをオーバーテイクする。ロッテラーはその勢いのままトップのフラインスに襲いかかり、残り10分というところで首位に浮上する。
しかし、フォーミュラE初優勝が近づいていたロッテラーに待ったをかけたのはエバンスだった。レース終盤までアタックモードを温存したエバンスは、セーフティカー導入によるアディショナルタイムも加算された残り8分でブーストを使用し追い上げをみせる。
これでパワーアップを果たしたエバンスは、アクティベートゾーン通過によって一時4番手までポジションを落とすも、一瞬でベルニュとフラインスをかわして首位ロッテラーの背後に迫り、ターン7に向かう上り坂で先頭に立つ。
エバンスはそのままトップを守りきり2連勝を達成。2位はベルニュ、3位はフラインスという表彰台となり、ロッテラーは結局4位フィニッシュを果たした。
ローマE-Prixを制圧したエバンスは「これは純粋に努力の結果だ。ダブルヘッダーはバックアップが難しいから、2戦ともうまくいくかどうか分からなかったがレベルの高さを見せることができた」と語った。
「レースは昨日と全く同じで、マシンは完璧に機能していた。今日は気温が高くてアタックモードが長かったので、セーフティカーが入ったときに危うく追いつかれそうになったけど、チームのみんなには本当に感謝している」
ポイントランキングではベルニュがトップとなった2021/2022年のフォーミュラE。次戦は4月30日にモナコ・モンテカルロで開催される第6戦モナコE-Prixへと舞台を移す。