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AMDでは2022年4月20日に3D V-Cacheを搭載したRyzen 7 5800X3Dを発売予定としていますが、一足先にCPUを入手したペルーのテック系サイトがベンチマークを行ってその結果を公表しています。

4月20日発売の3D V-Cache搭載、Ryzen 7 5800X3D

Exclusivo: Filtración de primeros benchmarks del Ryzen 7 5800X3D (xanxogaming.com)

AMDではComputex 2021にて3D V-Cacheを搭載したRyzen 9 5900Xの試作品を公開し、2022年1月に開催されたCES2022にてその市販版となるRyzen 7 5800X3Dを発表しました。

このRyzen 7 5800X3Dでは8コアを搭載するCPUダイを1つ搭載し、この中には32MBのL3キャッシュが搭載されていますが、CPUダイの上に64MBのキャッシュを重ねる3D V-Cacheを搭載。これにより合計96MBのL3キャッシュを搭載しています。

この64MBの3D V-Cacheが追加される事でAMDによるとゲーミング時のパフォーマンスは最大15%ほど向上するとComputexやCESで発表をしていますが、発熱の問題から動作クロックはベースとなるRyzen 7 5800Xに比べるとベースクロックが0.4 GHz、ブーストクロックは0.2 GHzほど引き下げられています。今回、

そんなRyzen 7 5800X3Dを先行して入手したペルーのXANXOGAMINGがベンチマークを行い、まずはGeekbenchやCinebenchなどシンセティックベンチマークの結果が公表されていますが、あまりスコアが伸びていないようです。

Cinebench R23やCPU-Zなどでは通常のRyzen 7 5800Xを下回るスコアに

Cinebench R23においてはRyzen 7 5800X3Dではシングルコアが1493pt、マルチコアが15060ptを記録しています。通常のRyzen 7 5800Xではシングルコアが1569pt、マルチコアが15228ptということで前者が5%ほど低く、後者では1%と誤差レベルに収まっていますがシングルコアでは動作クロック低下分の性能低下が確認できます。

CPU-Zに関してはシングルコアが617pt、マルチコアが6506ptと記録されています。CPU-Zの公式ではRyzen 7 5800Xはシングルコア650pt、マルチコアが6593ptが記録となっており、シングルコアは5%、マルチコアは1%下回るなどCinebench R23と同じ様な結果になっています。

一方、Geekbenchについてはシングルコア1639pt、マルチコアが10498ptが記録されており、シングルコアではRyzen 7 5800Xの1671ptを2%下回っているものの、マルチコアにおいては1.5%上回る記録を出しています。

Ryzen 7 5800X3Dではゲーミング時では10%以上のパフォーマンス向上が見込めるとAMDは発表していましたが、少なくとも単純なCPUの計算能力と言う観点では動作クロックが下がった分、Ryzen 7 5800Xに対して性能面でアドバンテージは無いようです。

BlenderではRyzen 7 5800Xを3.6%上回る

XANXOGAMINGによると、Blenderなどのレンダリング作業においてはRyzen 7 5800X3DはRyzen 7 5800Xに対して約3.6%スコアが向上しているとの事で、BlednerのOpen Data BaseではRyzen 7 5800Xがスコアの中央値が220.73ptである一方でサンプル数は少ないもののRyzen 7 5800X3Dでは246.06ptと約12%のスコア向上が見られるため、CPUをメインに扱う作業でも内容や最適化によってはRyzen 7 5800X3Dのパフォーマンスは大きく変わる可能性がありそうです。

Shadow of the Tomb RaiderではCore i9-12900KFを2割上回る性能を発揮

フレームレートなどをモニターするソフト、CapFrameXの開発チームと協力してXANXOGAMINGではRyzen 7 5800X3Dのゲーミング時のベンチマークを計測しているとの事ですが、その速報としてShadow of the Tomb Raiderの結果が掲載されています。

CPU

平均FPS

AMD Ryzen 7 5800X3D

228

120.0%

Intel Core i9-12900KS

200~

105.3%

Intel Core i9-12900K/KF

190~

100%(基準)

結果はRyzen 7 5800X3Dでは平均228fpsを記録する一方で、Intel Core i9-12900KSは200fps、Core i9-12900K/KFでは190fpsと言う結果になっているとの事です。そのため、Ryzen 7 5800X3DではCore i9-12900KSに対しては約14%、Core i9-12900K/KFに対しては20%上回る性能を記録しています。

Core i9-12900系とRyzen 7 5800X3Dのゲーミングベンチマーク自体は全く同じ環境では行われていません。Core i9-12900系はRTX 3090+DDR5と言う構成の一方で、Ryzen 7 5800X3Dの方はRTX 3080 Ti+DDR4と不利な環境にはなっていますが、性能面ではRyzen 7 5800X3Dの方が高い値を示している事からシングルコアなどでは3D V-Cacheのアドバンテージは無いものの、ゲームなど多くの命令が絶え間なく流れるような状況では3D V-Cacheは驚異的な性能を発揮するようです。

まだ、ここではShadow of the Tomb Raiderの結果しか出ていませんが、他のゲームでも計測しているようですので今後データが出れば紹介しようと思います。

 

Ryzen 7 5800X3DについてはGeekbenchやCPU-Zなどシンセティックベンチマークにおいてはスコアは動作クロックが下がった分だけ下がる傾向にあります。

ただ、Shadow of the Tomb Raider1本の結果しかないものの、コア数が倍、動作クロックがより高いCore i9-12900K/KFには20%以上、KSに対しては10%以上上回るなどAMDが発表した通り、ゲーミングにおいては3D V-Cacheは高いパフォーマンス向上に役立つようで、正直想像していた以上の結果になっています。

AMDではComputen2021ではAMDが3D V-Cacheを搭載するRyzen 9 5900Xをサンプルとして展示していたのにいざ発売となるとRyzen 7 5800XベースのRyzen 7 5800X3Dのみ発売すると発表し「なぜ?」となりましたが、このゲーミング時のパフォーマンスが他のゲームでも反映されるとすると、AMDとしてはRyzen 7 5800X以上のモデルを出すまでもなく勝てると考えたのかもしれません。

今後も他のゲームでのパフォーマンス結果をXANXOGAMINGは公開するとの事ですので、今後も何かあれば紹介しようと思います。

投稿 AMD Ryzen 7 5800X3Dの複数ベンチマーク出現。ゲームはCore i9-12900Kを2割上回るギャズログ | Gaz:Log に最初に表示されました。