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ロールス・ロイスの電気自動車「スペクター」の「ウインター・テスト」が完了。2021年9月に公道試験が、開始されると発表されて以来、その試験は400年間使用し続けることを想定し、世界をめぐる250万キロメートルの試験走行がなされるという過酷なプログラムである。そして、50万キロを超えるテストが行われ、その試験プログラムの25%が完了したと発表された。

ロールス・ロイス スペクター:ウィンター・テスト

北極圏からわずか55キロメートルの距離にあるスウェーデン・アリエプローグの施設では、外気温度がマイナス26度になり、さらにマイナス40度まで低下するという。その極限状態に「スペクター」は晒されたのだ。最初のプロトタイプが作成されるとエンジニアは極限状態で極めて基本的な、自動車として動作、機能することを確認する。当然気温の変化により、金属やラバー、プラスチックなどの素材が変化する。騒音・振動・ハーシュネス(NVH)試験、走行試験などを通して「スペクター」がロールス・ロイスの名に恥じないようなレベルに仕立てられる。

氷上のスペクター。
寒さでスピリットオブエクスタシーも凍てつく。

「ロールス・ロイスの新型車の発表には毎回大きな期待が寄せられますが、スペクターは間違いなく、ロールス・ロイスの近代史の中で最も期待される製品です。それは、このクルマが単なる製品にとどまらないからです。このクルマはロールス・ロイスの明るく大胆な電動化の未来を象徴する存在であり、パワートレイン技術の劇的な変化を意味するものなのです。
このような理由から、わたくしたちはスペクター自身と同じくらい重要かつ歴史的なテスト・プログラムを作成しました。ロールス・ロイスのように考え、ふるまうようにスペクターを教育する、という並外れた仕事は 万キロメートルにも及びますが、これはロールス・ロイスを 年以上にわたって使用することを想定したものです。今日、わたくしは、この旅の パーセントが完了し、その結果はわたくしたちの最も野心的な期待に沿うものであったことを確認いたしました。」

ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者、
トルステン・ミュラー・エトヴェシュ

雪上のスペクター。

「スペクターを支えるオール・エレクトリック・ドライブトレインの改良は、まさにエンジニアリングの定義への挑戦です。内燃機関から脱却することでひとつひとつのコンポーネントの処理能力を大幅に向上させ、分散型インテリジェンスを実現することができるのです。わたしたちは、マルチ・コントロール、マルチ・チャンネル、高度に相互接続された電子制御電動パワートレイン・アーキテクチャーの恩恵を受けるこの前例のない時代を、「ロールス・ロイス (サンテンゼロ)」と呼んでいます。
わたしたちの仕事は、ロールス・ロイスのように考え、ふるまい、対話する方法を各コンポーネントや各システムに教え込むことです。そのため、エンジニアリングの多くはワークショップからデジタル空間へと移行します。ここアリエプローグでわたしたちは、真のロールス・ロイスを創造するための大切な基礎を築きました。これは当ブランドにとって大きな前進であるだけでなく、電動化にとっても大きな一歩となります。スペクターはまだ初期段階にありますが、この技術によって、ロールス・ロイスの体験を身に付けさせることができると確認できました。」

ロールス・ロイス・モーター・カーズ、エンジニアリング・ディレクター、
ミヒヤー・アユービ

ファストバックスタイル。ボディのシルエットがよくわかる。
エレクトリック・スーパー・クーペ「スペクター」の後ろ姿。

スペクターのテストプログラム完了まで、あと200万キロ走行する。

Text:アウトビルトジャパン
Photo:ロールス・ロイス・モーター・カーズ