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災害時に活躍するアウトランダーPHEVで復興道路・三陸道を走る

 2011年3月に発生した東日本大震災から11年が経過した。これに先立つ2021年12月18日、未開通区間だった岩手県普代〜久慈間の25kmの開通し、三陸沿岸道路(以下三陸道)が全面開通した。

 これにより、宮城県仙台市から青森県八戸市までの沿岸部が復興道路である三陸道で結ばれ、水産物の輸送や観光客の集客効果に期待が高まっている。

 そこで、今回は先行受注開始から約3カ月で累計1万台超を受注した三菱アウトランダーPHEVで全面開通した三陸道をドライブし、沿岸の復興状況をリポートする。

文、写真/萩原文博

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国道45号線のバイパス機能を果たす三陸道

災害時に活躍するアウトランダーPHEVで復興道路・三陸道を走る
気仙沼港付近の防潮堤と気仙沼湾横断橋

 今回走行した三陸道は、宮城県仙台市の仙台港北ICから青森県八戸市の八戸JCTまでの約359kmの高速道路で、仙台港北IC〜鳴瀬奥松島ICまでの約26.1kmは有料道路だが、ここから八戸是川ICまでは無料で走行できる。

 この三陸道の全面開通によって仙台市から八戸市までは約5時間13分となり、開通前から約3時間20分短縮された。また、仙台市から気仙沼市までが約50分短縮、宮古市までは2時間短縮となるなど物流への効果は非常に大きい。

 今回、この三陸道を走行するのに選んだパートナーは三菱アウトランダーPHEV。2021年12月に販売開始し、好調な受注を続けているモデルだ。

 三菱はこのアウトランダーやエクリプスクロスに設定されているPHEVを活用し、自治体へ支援活動である「DENDOコミュニティサポートプログラム」を展開している。

 この活動は、全国の自治体と災害時協力協定を締結することで、災害発生時に停電が発生している地域に速やかにPHEVを届けて給電活動に役立ててもらうというもの。三菱のPHEVは車内にコンセントが装備されていて、スイッチ1つで最大1,500Wの給電が可能で、家庭用の電気製品が使用できる。

 また、V2H機器と接続することで、PHEVの電力を建物全体に供給可能。満充電、ガソリン満タンで最大択12日分の電力を確保することができる、まさに走る蓄電池なのだ。

 東日本大震災が発生した当時は、被災地ではガソリンが不足。2009年に発売したBEVの三菱i-MiEVが輸送手段として活躍した経緯もあり、三菱の最新モデルであるアウトランダーPHEVをパートナーに選んだ。

最新のADASと高い走行安定性により、ロングドライブでも疲れにくい

災害時に活躍するアウトランダーPHEVで復興道路・三陸道を走る
アウトランダーPHEVの走行シーン

 2代目となるアウトランダーPHEVは、全長4,710mm×全幅1,860mm×全高1,745mmのボディに従来の5人乗りに加えて、GとPグレードには7人乗りの3列シートモデルを用意している。

 搭載しているPHEVシステムは2.4L直列4気筒エンジンと前後に搭載された2つのモーターを組み合わせた新世代のシステム。駆動用バッテリーの出力を先代モデルより約40%高めることで、電動車らしい滑らかで気持ちの良い走行を実現している。

 駆動用バッテリーの総電力量を20kWhと大容量化することで、満充電時のEV航続走行距離は83〜87kmと先代モデルより大幅に延長。また、エアコンなどを使用する際でも十分な高速距離を確保し、充電頻度の低減にも貢献している。

 今回、3日間で約1,600kmを走行したが、最も良かったと思う装備が、高速道路同一車線運転支援機能の「MI-PILOT」だ。

 レーダークルーズコントロール(ACC)と車線維持支援機能(LKA)を統合した機能で、日産ではプロパイロットと呼ばれるが、アウトランダー用にキャリブレーションが行われていて、疲労が少なく快適に移動することができた。

 途中の岩手県宮古市付近では撮影スポットに向かう際に、三陸道を降りてリアス式海岸特有の高低差のある一般道の下り坂をモンテカルロラリーさながらに走行したが、これだけ大きなボディのアウトランダーPHEVがしなやかな身のこなしでコーナーを抜けていく。

 軽いハンドリングは高速道路ではやや安定性に物足さを感じたが、こういった峠のステージでは威力を発揮し、圧巻の走行パフォーマンスを披露してくれた。まさにランエボを彷彿させる回頭性の良さだ。

三陸道にSA・PAはなく隣接する道の駅を利用

 今回は三陸道を仙台市から八戸にむかって北上するルートを走行。仙台港北ICから鳴瀬奥松島ICの有料道路区間は全線片側2車線だが、そこを過ぎると片側1車線となり、途中で部分的に追い越し車線が設定されるようになる。

 また、三陸道はトイレなどの施設を設置したサービスエリアが併設されていない。その代わりに三陸道沿線には道の駅が設置されていて、トイレや食事などはインターチェンジで降りて、道の駅を利用することになる。

 そして、三陸道を走行する上で覚えておきたいのは、低コストで作ったこともあり、片側1車線の区間ではインターチェンジがコンパクトになっていること。そして、南三陸町の歌津北ICからは、すべてのICに出口と入口があるわけではないのだ。

 例えば、2020年に開業したBRTの赤岩港駅と、“かなえおおはし”の愛称がついている気仙沼湾横断橋の撮影のため降りた気仙沼港ICは、仙台方面からの出口と仙台方面への入口しかない。このように入口と出口が仙台方面、八戸方面しかないICがあるので事前に調べておくとよいだろう。

 立ち寄った気仙沼港では大きな防潮堤が湾沿いに設置され、高台に上らないと海を見るとはできなかった。そして大きな被害を受けた陸前高田では、道の駅高田松原と東日本震災津波伝承館が併設されている施設を訪問。

 ここでは震災伝承施設として、旧道の駅高田松原のタピック45や陸前高田ユースホステル、そして約7万本あった松のなかで唯一生き残り、復興のシンボルとなっている奇跡の一本松などがあり、被害の大きさを伝えてくれる。

 また途中休憩で道の駅のみやこやたろうには急速充電器も設置されていて、BEVやPHEVの充電ができる。普段はシャッターが閉まっているので、利用者が開けて、使用後はシャッターを閉めるというルールとなっていた。

 今回、朝8時半に仙台港北ICをスタートして、様々な施設に立ち寄り、八戸に到着したのは、夕方の6時頃。目立った渋滞もなく、路面状況も良いため非常に走りやすい。しかもこれだけの長い距離を無料で走行できるのは、観光客だけでなく、沿線の住民の人が利用しやすくするという考えもあるのは間違いない。

 東日本大震災から11年が経過し、インフラの整備は進んでいた。しかし街の活気はもうひとつ感じることはできなかった。あとは、観光産業が復活して街が元気になることが本当の復興となるのだろうと感じた旅だった。

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