交通事故や転倒、転落などで脊髄を損傷した場合、一命をとりとめたとしても深刻な後遺症は避けられません。なかでも首の頚髄を完全損傷すると、重度障害を残し首から下がまったく動かなくなってしまいます。そして治療を終えた急性期病院のベッドでは医師から「もう一生寝たきりですよ」と宣告され、そのまま介護施設や慢性期病院に送られて、介護保険を適用しながら施設で寝たきりの余生を送るのが通例となっていますが…。リハビリテーション病院で30年以上、脊髄損傷の患者のリハビリに携わってきた柴田元医師が、リハビリの現場で起きている問題について解説します。