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 4月2~3日の週末にアメリカ・バージニア州リッチモンド・レースウェイで開催された、2022年のNASCARカップシリーズ第7戦『トヨタ・オーナーズ400』は、そのイベント冠名どおり北米トヨタの故郷のひとつでもあるチェスターフィールドのトラックで、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が今季初優勝。2022年最初の勝利をこれ以上ない場所で記録すると同時に、ケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)とウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)をわずか0.552秒差で抑え、トヨタ・カムリが新車両規定“Next-Gen”での初勝利を飾っている。

 ロードコース決戦となった前週のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)に続き、0.75マイルのショートオーバルで開催された第7戦は、開幕から数戦を経た現状でも「新規定マシンのスピードをまだ探っている状態」としながらも、トヨタ陣営のJGR勢が好調さを披露。最初のプラクティスでカイル・ブッシュ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が最速タイムを記録した。

 しかし予選に入ると一転、ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)がこの4週間で3度目となるポールポジションを獲得し、バイロンに次いでカイルがトヨタ勢最上位の3番手に。

 背後にはチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)とエリック・ジョーンズ(ペティGMSモータースポーツ/シボレー・カマロ)を挟んで、マーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が3列目6番手に続く結果となり、驚速ブレイニーがここリッチモンドでは初、キャリア通算12度目の最前列から日曜決勝のスタートを切ることとなった。

 その日曜400周の決勝も、序盤のステージ1こそブレイニーがそのまま優位を保って制圧したものの、リッチモンドの地元戦では過去8シーズンで通算5勝、4人のドライバー全員が3年連続トップ10フィニッシュを記録しているJGR勢が逆襲。終盤の90ラップでバイロンがラップリーダーを記録したものの、24号車のシボレー・カマロZL1はアンダーグリーンの新品タイヤ交換でロスを喫すると、過去5年間でリッチモンド3勝を誇るトゥルーエクスJr.がステージ2勝利をさらっていく。

■「今でも勝ったことが信じられない」とハムリン

最初のプラクティスではカイル・ブッシュ(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)が最速タイムを記録した
この4週間で3度目となるポールポジションを獲得したライアン・ブレイニー(Team Penske/フォード・マスタング)が、序盤のステージ1も制する
過去5年間でリッチモンド3勝を誇るマーティン・トゥルーエクスJr.(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)がステージ2勝利をさらっていく

 しかし、残り47周時点でニュータイヤを装着したハムリンが、そこから41周後に僚友から2番手の座を引き継ぐと、続くラップですぐさま首位バイロンのインサイドにダイブを決め、残り5周のロウ・ラインから鮮やかな逆転劇に成功する。

 すでに摩耗が進むタイヤに苦しんだバイロンは、さらにフレッシュなタイヤを履くハーヴィックのマスタングにもパスされ、最後の最後で勝利がこぼれ落ち、超僅差3番手でのフィニッシュとなった。

「今日は可能な限り一生懸命に走ったよ。このFedExカムリのチーム全体をとても誇りに思っているし、彼らクルーは全員、最後まで決してあきらめることはなかった」と、驚くべきことにこれが今季最初のトップ10フィニッシュとなった勝者ハムリン。

「僕の心に疑いの余地はなかったが──おそらく少しだけ──彼らも半信半疑なところがあったと思う。でも、クルーはこのクルマを最後まで正しい方向に導くよう手を加え続けた。この結果には『Wow』と言うしかないし、今でも勝ったことが信じられないほどさ」と続けた41歳のタイトル候補。

「他のトラックでもバランスを取るために、僕らのカムリは良きデータポイントが必要だった。明らかに、僕らはここでそれを手に入れたと思う」

 一方、レースウイナーと同じように最終盤でバイロンとトゥルーエクスJr.を仕留め、シーズン最高のフィニッシュを達成した2014年王者のハーヴィックも「今季ここまでで最もクリーンなレースができた」と手応えを口にした。

「クルマは速く、最後に“ショット”を決めることができた。ただ……ホワイトフラッグに近づいたときにさらにスワイプしたかったが、ラップダウンの車両が邪魔になり、わずかに路面からのグリップを失った。それでも僕たちにとって素晴らしい日であり、この勢いを継続出来れば良いね」

 3位バイロン、4位トゥルーエクスJr.に続き、ディフェンディングチャンピオンのカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がトップ5に入り、ポイントスタンディングではラーソンと7位フィニッシュのブレイニーが同点首位で並ぶことに。

 一方、NASCARエクスフィニティ・シリーズ第7戦もJGRのチームメイト対決を0.116秒差で制したタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・GRスープラ)が勝利を飾り、トヨタ勢が両クラス制覇の週末パーフェクトを決めている。

122周をリードしたHendrick Motorsportsのウイリアム・バイロン(シボレー・カマロ/左)は3位、アレックス・ボウマン(右)は8位に終わる
「クルーはこのクルマを最後まで正しい方向に導くよう手を加え続けた。この結果には”Wow”と言うしかない」と勝者デニー・ハムリン(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)
Xfinity Series第7戦は、僚友ジョン・ハンター・ネメチェクを最終ラップで逆転したタイ・ギブス(Joe Gibbs Racing/トヨタ・GRスープラ)が勝利