今回は、「交流ブリッジ回路と平衡条件」についての説明です。
交流ブリッジ回路と平衡条件
詳しく説明していきますが、結論から言えば「直流ブリッジ回路」では抵抗によって構成されていた回路が、交流ブリッジ回路ではインピーダンスによって構成された回路に置き換わるだけです。
※ 説明には上のブリッジ回路の図1を用います。
交流ブリッジ回路はブリッジ(橋渡し)している交流回路のことで、図の端子a-b間が橋渡し部に該当します。
交流ブリッジが平衡すると、a-b間の電位差が0[V]となり、a-b間の回路には電流が流れなくなる、つまり開放されているものとみなすことができます。
ブリッジ部分を開放すると回路が簡略化できる為、ブリッジ回路の平衡条件は知っておくと便利です。
交流ブリッジ回路の平衡条件は、ブリッジの対辺インピーダンスの積が同じになることです。
対辺インピーダンスとは、ブリッジしているインピーダンスZを基準にして、対角線上に位置するインピーダンスを指します。
つまり、Z1Z4=Z2Z3の時に平衡になります。
平衡条件の求め方については簡単にしか触れません。
気になる方は練習だと思って計算してみましょう。
Z1の両端の電圧=Z3の両端の電圧、Z2の両端の電圧=Z4の両端の電圧になれば、a-b間の電位差は0[V]となり、a-b間の回路に電流が流れなくなるなるので、回路は平衡します。
この関係を整理するとZ1Z4=Z2Z3が導き出せます。
練習問題を1問用意しましたので、実際に数値を当て嵌めて考えてみましょう。
・以下の交流ブリッジ回路が平衡している時、LをCを用いて表しなさい。
交流ブリッジ回路が平衡している時、ブリッジの対辺インピーダンスの積が等しくなります。
なので、まずは各インピーダンスの値を求めましょう。
インピーダンスで構成された回路の形にできたので、Z1Z4=Z2Z3を計算します。
以上より、答えはL=2Cとなります。
以上、「交流ブリッジ回路と平衡条件」についての説明でした。
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