今回は、「ひずみ波」についての説明です。
ひずみ波
正弦波以外の交流波形をひずみ波と呼びます。
周期性はあるが正弦波ではないものがひずみ波という認識で、方形波、三角波、全波整流波形、半波整流波形等もひずみ波の一種です。
一般的なひずみ波は以下のような式で表せます。
第1項のV0は直流成分で、第2項は基本波、第3項以下は高調波と呼びます。
第3項以下は基本波の整数倍の周波数を持っていて、基本波のn倍の周波数を持つ高調波を第n高調波と呼びます。
例えば、第3項のV2sin(2ωt+θ2)は第2項の基本波であるV1sin(ωt+θ1)に比べて周波数が2倍になっている為、第3項は第2高調波になります。
ちなみに、交流電源には基本波に奇数次高調波(第3、5、7高調波等)が含まれています。
ひずみ波の形状は、以下のようになります。(※ 基本波と第3高調波で構成された場合)
ひずみ波の実効値
ひずみ波の実効値は、ひずみ波に含まれる全成分(直流成分・基本波・高調波)の実効値を2乗して、足し合わせて、平方根にした値(2乗和の平方根)になります。
※ V1、V3、V5が各々の実効値であった場合のひずみ波の実効値の例。
最大値だった場合は1/√2する必要あり。
ひずみ率
ひずみ波が基本波に対してどの程度ひずんでいるかを表す割合をひずみ率と呼びます。
ひずみ率は、基本波の実効値に対する高調波の実効値の比となります。
ひずみ波の電力
ひずみ波の電力は、同じ周波数の電圧と電流の間で発生し、各々の電力の和が全電力となる。
逆に言うと、周波数が異なる電圧と電流の間に電力が発生することはありません。
以上、「ひずみ波」についての説明でした。
【基礎から学ぶ交流回路】
◎直流と交流の違い ~極性が変わらなければ交流ではない
◎正弦波交流 ~正弦波の周期と周波数
◎正弦波交流の位相のズレ
◎正弦波交流の平均値と実効値
◎交流電圧の平均値の求め方 ~正弦波編
◎交流電圧の実効値の求め方 ~正弦波編
◎交流電圧の平均値の求め方 ~三角波編
◎交流電圧の実効値の求め方 ~三角波編
◎整流形計器の平均値と実効値
◎正弦波交流のベクトル表示・フェザー表示
◎交流回路のオームの法則
◎交流電流の位相の変化 ~リアクタンス成分は位相がπ/2ズレる
◎R-L-C直列回路のポイント ~インピーダンスの三角形を描け!
◎R-L-C並列回路のポイント ~電流の三角形を描け!
◎交流回路の共振 ~直列共振と並列共振について
◎R-L-C直並列回路の共振
◎交流回路の電力 ~位相差による力率という考え方
◎交流回路のインピーダンスと電力の関係
◎交流回路のインピーダンスの複素数表示
◎交流回路の電力の複素数表示
◎交流ブリッジ回路と平衡条件
◎過渡現象と時定数
◎R-L-C直並列回路の定常状態の考え方
◎ひずみ波 ~基本波・高調波とは?
◎ひずみ波の消費電力 ~抵抗で消費される平均電力の求め方
◎変調 ~ひずみ波の使われ方とAM変調度の求め方
◎復調 ~ひずみ波から特定の周波数を取り出す方法